体外受精の融解移植では、凍結した受精卵の成長度(当院では胚盤胞)と子宮内膜の変化状況を合わせる必要があります。

 

子宮内膜は、月経からの卵胞成熟に伴って増加する卵胞ホルモン(代表的なものとしてエストラジオール)によって次第に厚くなります。

 

子宮全体を縦方向に横から観察したように見る超音波断層像では、竹の葉状で厚さ8mm以上に観察されるようになります。

 

竹の葉の芯に見える線が子宮内腔で、その周囲に竹の葉状に前壁と後壁の子宮内膜が観察されます。

排卵が起こり、黄体ホルモン(代表的なものとしてプロゲステロン)が増加すると、子宮内膜は血流が豊富になり、また受精卵のための栄養液を分泌するようになります。これにより子宮内膜は超音波検査で竹の葉状全体が白っぽく観察されるようになります。

 

 

この黄体ホルモンの増加は、排卵直前から開始すると考えられています。

 

排卵周期の融解移植では、この黄体ホルモン増加(排卵)のタイミングを正確に見極めて融解移植日を決める必要があります。しかながら、

  • 排卵日が分からない
  • その時点で子宮内膜が薄くても待てない

ことも多く、融解移植を予定していてもキャンセルが多くなります。

 

また、「何時に排卵したか?」ということまでは配慮できず、当院では排卵日と考えられる日の翌日から5日目に移植するようにしています。

 
キャンセルが多い上に、ホルモン補充周期の融解移植と比較して、妊娠率が高いということはないので、当院の融解移植は、
  • 第一選択としてホルモン補充周期
  • 変更を余儀なくされる場合の第二選択として排卵周期
としています。