令和5年8月11日(祝)槍ヶ岳~大キレット~長谷川ピーク~A沢のコル~飛騨泣き~北穂高小屋~北穂高岳(長野県)
なんとか「A沢のコル」に到着してホッとするが、この先には更に最大の難所である
「飛騨泣き」が待っている。
その「A沢のコル」から少し登った安全な所で振り返って稜線を見た。
手前の一番高い尾根が「長谷川ピーク」で、よく見ると通って来た所に人が居る。
そこで少し休憩していると、30代位の男女の4人グループが上から降りて来た。
「今から「大キレット」に行くのですか?」って聞いたら
「明日行くので、とりあえずA沢のコルまで降りて様子を見に来ました」と言われた。
降りて来た感じが上級者みたいだったので、
「ここから上の北穂高小屋までどの位かかりますか?」って聞いたら
「ここまで1時間30分位だったので登りは2時間位かかると思います」と言う事だった。
その時が午後1時30分で、上まで2時間で登れたとして午後3時30分。
そこから、今日の宿泊先の「涸沢ヒュッテ」までの標準タイムが2時間。
そうなると午後5時の夕食に間に合わないので「涸沢ヒュッテ」に電話して
その旨を伝えたら「北穂高小屋に着いたら、また電話して下さい」と言われた。
そんなやり取りをしていると、さっきの4人グループが戻ってきて
自分は遅いので先に行ってもらって、更に気合を入れ直して北穂高小屋を目指して登る。
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ヘルメットに付けたGoProで所々動画を撮っていたが、スイッチを押し忘れたのか
何故が一番の難所である「飛騨泣き」の部分が抜けていた。
ただ、その飛騨泣きの一部の画像はあった。
そして、槍沢ロッジから先の登山道の岩にはずっと
迷わない様に「〇」や「↑」や「X」の印があって
それは大キレットの尾根にもあって、その印を頼りに進むと
安全と言う訳ではないが、身動きが取れない所に行ってしまう事は防げるようだ。
ただ「大キレット」には、その印がとんでもなく下まで切れ落ちている所に普通にある。
でも、その印を通らないと先に進めないので更に気合を入れて登る。
そして何とか「北ホあと200m」の所まで来た。
その時、大学の山岳部?の20代位の4人グループが追いついて来たので
そのグループにも「自分は遅いので先に行って下さい」って言ったら
「上までもう少しなので、一緒に頑張りましょう!」って言ってくれたので
暫く付いて行ったが、スグに置いて行かれた。
それでも上から「大丈夫ですか?」「このラインを通ったら安全ですよ」とか
色々と気にかけてくれた。
でも、その内に見えなくなってしまった・・・。
ちなみに、大キレットに入る前に全体を見た時の予想通り
最期の登りは遠くから見ると斜度があるが、目の前に現れると垂直の壁だ。
そんな垂直の険しい壁を息を切らしながら登ると「北穂高小屋」が見えて来た。
そして何とか登り切ると、その最後の取り付きの所に居た人が
「お疲れ様でした」と声を掛けてくれた。
その先に居た人にも「お疲れ様でした」と声を掛けられた。
ここから登ってくる人は、大キレットを通って来た登山者しかいないので
それを分かっていて声を掛けてくれたのだと思う。
そして、小屋の前のテラス席に先に着いた20代の4人グループも居て
「お疲れ様でした!」と元気よく声を掛けてくれた。
最初の2人も後の若者グループにも「ありがとうございます」とお礼を言った。
着いた時間は、何とか2時間で登る事が出来たので午後3時30分だった。
そして、バックパックを降ろしてテラスの椅子に腰をかけたら
張り詰めていた気持ちが一気に抜けて、精神的にも肉体的にも一瞬で崩れ落ちた。
そんな放心状態で暫くいたが「涸沢ヒュッテ」に電話しないといけない事を思い出し
電話をするが、電波状態が悪く繋がらない。
何度も電話するが全然繋がらないので、とりあえず北穂高小屋のスグ裏に登って
標高3,106mの「北穂高岳」に到着。
そこから登ってきた稜線を見るが曇っていた。
そして、テラス席に戻って電話をするが繋がらないので、とりあえず涸沢まで降りる事にして
もう一度小屋の裏に上がって、念の為に登山道の近くに居た人に
涸沢に降りる場所を聞いたら「今から涸沢に行くんですか?」と言われた。
「えっ?ダメですが?」って聞いたら
「途中まではずっと険しい岩場で、鎖場や長い階段もあって今から降りたら危ないですよ」
って言われた。
今の体力で、そんな険しい岩場を2時間も降りるのは自分でも厳しいと思ったので
とりあえず北穂高小屋に戻って「今日泊まれますか?」って聞いたら
「部屋が空いてないので、廊下で寝るなら何とかなります」って言われた。
廊下で寝るのは全然かまわないが、この山小屋は狭いので
他の人に迷惑が掛かると思って悩んでいると、受付の所に居た常連さんらしき人が
「今から降りれば日が暮れるまでに危ない所は終わるし、その先は樹林帯で道に迷う事は
無いし、もし日が暮れてもヘッドランプがあれば大丈夫ですよ」って言われた。
この時が午後4時30分で日が暮れるのが午後6時30分頃で
涸沢まで通常は2時間で行けるそうなので、その常連さんを信じて降りる事にした。
と言う事で、精神的にも肉体的にも限界を遥かに超えている自分に
最後の気合を入れて「涸沢ヒュッテ」を目指して「北穂南陵」を降りる事にした。
しかしこの時、ここからが今回の「3泊4日北アルプス縦走登山」最大の試練になる事を
分かっていなかった。



























