何かが違う、身延山久遠寺 | 乗り鉄親爺の寺巡り

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鉄道大好き親爺が列車や車で、写真を撮りしながら、大好きな作家五木寛之さんの「百寺巡礼」のように全国の寺巡りをしています。

2022年12月5日(月)

おやじの百寺巡礼≪No20≫ 

久遠寺(くおんじ)

山梨県南巨摩郡身延町

 

朝7時 自宅を出た。

白んでいた空がようやく明るくなってきた。

 

山梨県の身延町までは

3時間ほどかかるだろうか。

 

いくつかある峠を越えるまでは

慎重に運転しようと思った。

 

何しろ12月の寒空である。

 

浅間山の山頂は雪をかぶっていた。

 

清里高原を通り須玉ICから中央道、

そして

双葉JCを中部横断道で身延町へ入った。

 

門前町へ入る前に久遠寺の総門がある。

1665年建立、掲げられている扁額は

開会関(かいえかん)」と詠むのだそうだ。

 

いよいよ身延山久遠寺の世界に入る。

 

正式には「身延山妙法華院久遠寺」という

日蓮宗総本山である。

 

2㌔ほど門前町が続き、

急なカーブを曲がると

壮大な三門が突然現れた。

 

三門をくぐり杉木立に囲まれた真っすぐな参道を歩く。

 

正面に空へと一直線に続くように

立ちはだかる石段が見えた。

 

菩提梯(ぼだいてい)」だ。

 

この287段の石段は高さ104mだと言う。

一段一段が桁違いに高さがある。

 

途中「南無妙法蓮華経」の7文字になぞらえて

7区画に分かれている。

 

この区画のごとに休憩できる場所が無いと

高齢者に仲間入りしたの私などには

到底一気には登れない石段である。

 

三門から涅槃の地である本堂に至る所から

菩提梯と呼ばれ

登り切ると悟りの悦びが生ずるそうだ。

 

 

なんとか最後の石段を登り終え、息を整えていると

 

五重塔の前で作務をしていた寺人から

「空気が変わったでしょう、そう思えませんか?」

と声をかけられた。

 

本当にそのような気がする場所であった。

 

 

日蓮宗独特の木魚を打ち鳴らす甲高い音につられて

本堂に入りご本尊を拝観した。

 

本堂の中ではお題目を唱えている

信者の声が響いていた。

 

 

続いている隣の祖師堂報恩閣も拝観した。

至る所にある木彫りの装飾や天井絵が見事だった。

 

本堂を出て裏へまわり、

ロープーウェイで奥の院へ向かった。

ゴンドラは関東一の高低差763mを

一気に駆けのぼり

1153mの奥の院駅に到着した。

 

奥の院は霧に包まれていた。

晴れていれば、遠く富士山や南アルプスの山々が

眺められるという。

 

奥の院 思親閣(ししんかく)の門をくぐった。

 

日蓮聖人が故郷の千葉、小湊の両親を偲んだという「思親閣」。

霧の中に佇む姿は晴れた日には見られない趣があった。

 

 

再びロープーウェイで下界に降り、本堂脇の急坂を

御廟所へ向かった。

日蓮聖人の廟墓と住まわれていた草庵がある場所である。

 

 

身延山久遠寺発祥の地であるこの場所は

まだ木々の紅葉が少し残っていた。

 

久遠寺は何か違う。

 

私は日蓮宗の信者ではないが、なぜかそんな気がした。

 

山全体に霊気が漂っているのではないか。

一般に唱える「お念仏」と日蓮宗の「お題目」の違いも

少し理解できたような気がした。

 

春の枝垂れ桜で有名なこの久遠寺であるが

こんな季節に訪れることができたことに

 

うれしさと満足感でいっぱいになった自分がいた。

                                          (2022.12.7 記)

 

久遠寺(くおんじ)

(妙法華院久遠寺)

【宗 派】日蓮宗総本山

【山 号】身延山

【所在地】山梨県南巨摩郡身延町3567

【電 話】0556(62)1011

【拝観時間】境内6時~16時30分

      宝物館9~16時木曜休館

【拝観料】境内は自由 宝物館300円

【交 通】JR身延線身延駅より車で30分

【H P】 http://www.kuonji.jp/