蘇民祭と東北最古の寺 | 乗り鉄親爺の寺巡り

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鉄道大好き親爺が列車や車で、写真を撮ながら、時々計画を立てて、大好きな作家五木寛之さんの「百寺巡礼」のように全国の寺巡りをしています。

2021年9月26日(日) 

おやじの百寺巡礼≪NO4≫ 

黒石寺(こくせきじ)

岩手県奥州市

 

早朝5時に自宅を出て、当地に着いたのは10時45分。

 

ご住職との約束の時間11時にギリギリセーフ だった。 

 

御朱印書きをされている前住職(女性)

に来訪を告げ、本堂脇にある

薬師如来坐像が収められている収蔵庫に入れていただいた。

収蔵庫の中には堂々とした薬師如来坐像が安置されていた。

 

なかなかの迫力である。

 

カツラの一本づくりだそうで、

126㎝の坐像は

あらあらしく厳しいお顔立ちで

いかにも東北の寺院にふさわしいお姿であった。

 

続いて本堂へ入れていただく。

奥の緞帳のような布の奥に、先ほど収蔵庫で拝観させていただいた

薬師如来坐像が鎮座していたという。

 

以前は33年に一度だけ御開帳したという薬師如来坐像、

「まあ、以前は一生に一度だけ拝むことができたということです。」

と前住職が説明してくれた。

 

現在は収蔵庫で常に拝むことができる。

ありがたいことだなと感じた。

 

本殿の奥にあまり大きくはないが

日光,月光菩薩が両脇に祀られていた。

そして

両脇には本堂の四方を守る四天王立像が立っている。

どっしりとした下半身に比べて、

お顔が極端に小さいのが特徴だそうである。

 

 

そういえば、本堂前の鋳物の狛犬も同様で足が極端に太く長い。

黒石寺の特徴かもしれない。

 

「神社」ではないのになぜ狛犬が?との私の質問に

笑いながら

「いただけるものは拒まないのです」と

副住職が笑いながら答えてくれた。

 

旧正月7日夜半から8日早暁にかけて行われる

全国的に知られている「蘇民祭(そみんさい)」の時に

村民が身を清める寺前の河原に降りてみた。

 

きれいな水がさらさらと流れていた。

真冬にこの川で体を清めるという。

 

恐ろしく冷たいだろうと、身震いすると

「いやいや、川の中のほうが暖かいのです。」

と前住職が笑っていた。

 

黒石寺へ通じる道の角には、

蘇民祭で活躍する男たちの像と

 

天台宗のお寺とわかる「一遍上人」の像が

送り迎えをしてくれている。

 

今の時期は稲刈りの真っ最中である。

 

稲刈り後の稲穂を干す風景がとても変わっていた。

まるで夜見たら「なまはげ」が大勢いるようで

なんだか不気味である。

「変わった干し方ですね。」

と作業されている農家の方にたずねると

「『ほんにょ』と言うんだ」

と答えてくれた。

 

「いまではこの地域でもめずらしくなってきたんだが、

この干し方で二週間も置いておくととれた米は、

「前沢米」といって、本当にうまいんさ」

と教えてくれた。

地元の方と話していると、

とてもほんわかした気持ちになる。

 

この時期にしか見られない

独特の農作業風景と

その奥に静かに佇む古刹「黒石寺」。

 

とても印象に残る寺となった。

                    (2021.9.28記)

 

黒石寺(こくせきじ)

【宗 派】 天台宗

【山 号】 妙見山(みょうけんざん)

【所在地】 岩手県奥州市水沢区

      黒石町字山内17

【電 話】 0197-26-4168

【拝観時間】9時~16時

【拝観料】 境内は自由、本堂は300円

            (要予約)

【交 通】 JR水沢江刺駅から車で15分

 

 《見どころ》   

   天平元年(729年) 

   僧・行基により創建

   東北では最も古い寺院のひとつである。

   前奈良法相宗薬師寺五代行基菩薩の開基で

   「東光山薬師寺」と称したが、

   延暦年間に焼失

   のちに慈覚大師円仁が復興して

   妙見山黒石寺と改名。

   天台宗の古刹である。

   付近の山に黒い石「蛇紋岩」

   が多くあり「黒石寺」と命名される。

   本堂は真冬(旧正月7日夜半~8日早朝)に行われる

   「蘇民祭(そみんさい)」で

   全国的に有名である。