夏の終わりの入院生活① | ふるさと会のブログ

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山科の魅力を山科の歴史を通じて記録しようと思います。

なにば 

 昨年人生で初めての長い入院生活を経験しました。これはその記録です。

 ある夏の午後、雨に濡れた石畳を小走りに急いでいた時に、見事にすってんころりん。左膝を石畳に打ち付けてしまいました。脚がじんじん痛みます。近所の整形外科で見てもらったところ、膝のお皿が割れていることが分かりました。その病院では対処できないとのことで、応急処置をしてもらい、音羽病院への紹介状を書いてもらいました。

 翌朝一番に音羽病院へ。レントゲンとCTの結果、膝のお皿が横方向にまっすぐ割れていて、診断名は左膝蓋骨骨折(ひだりしつがいこつこっせつ)でした。割れたお皿をくっつけるために手術をするかギプスを付けるかの選択を迫られました。手術の方がお皿がずれることなく確実にくっつくようなので、手術を選ぶと、「時間の空きがあるので、明日の午前中手術をしましょう」と言われ、即入院が決まりました。

 病室は2階。カーテンで仕切られたベッドが6つあります。カプセルホテルの2倍ぐらいのスペースで、棚や引き出しやテレビも備え付けられています。足の痛みもひどいのですが、ここにこもる日々が続くのだと思うと少し悲しい気分です。入院後、何度も血圧、酸素量、体温の測定がありました。看護師さんは測定した数値をその場でPCに入力していきます。

 病院では6時前後に夕食が出ます。野菜中心の御惣菜と味噌汁とごはんです。食欲もあまりないので、薄味で質素な夕食はありがたかったです。

 翌日は朝食と昼食抜き。手術前にシャンプーをしてくれました。そして、2種類の点滴を受けました。ひとつは脱水防止のための点滴、もうひとつは感染症予防のための抗生物質の点滴です。

 そして、ストレッチャーで手術室へ運ばれました。手術室に入るのは生まれて初めてでしたが、清潔な部屋に「ER」や「The Resident」などのアメリカの医療ドラマでよく見るタイプの設備が並んでいます。手術名は「観血的骨接合術」とのこと。要するに切って手術をするから出血が起こるということですね。

 まずは麻酔の注射。腰に麻酔を打たれて、なんだか変な感覚です。麻酔が効いているかどうかを確認するために麻酔医が30分の間に何度か脚の感覚チェックを行いました。完全に左脚の感覚が麻痺した状態で、整形外科医による手術が始まりました。脚の感覚はありませんが、頭ははっきりしているので、ずっとモニターを見て、手術の様子を自分で確認することができます。医師が2本の細長いピン(針状のもの)を少しずつ差し込んで、割れた膝のお皿を留めています。ピンの差し込みが終わったあとはワイヤーで結び、ピンを固定しました。しかし、感覚がないので自分の膝が手術を受けているという実感はまったくなく、他人の手術の映像を見ているような感じでした。

 看護師さんから手術は3時間ぐらいだと聞いていましたが、実際には麻酔の時間も含めて1時間ちょっとで完了したようです。出血量はとても少なかったとのこと。手術の後は膝を包帯でぐるぐる巻きにされ、左脚にニーブレースという固定器具がつけられました。これにより左脚は常にまっすぐな状態に保たれるのです。

 だんだん麻酔が取れていき、痛みが強くなってきました。痛み止めの点滴と脱水予防の点滴を受けました。点滴の多い1日でした。

 移動は車椅子です。トイレには看護師さんが連れて行ってくれました。車椅子も看護師さんのトイレ付き添いも初めての経験です。

 5時半ごろ夕食。この日初めての食事です。野菜だけでなく高野豆腐が入っていたので、昨日より少し贅沢な食事でした。ニーブレースで固定された脚がじんじん痛みます。この日から「歩けるようになること」が怪我人の私の最優先目標となりました。

 (つづく)