最近、まちでよく見るもの……「民泊」 | ふるさと会のブログ

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山科の魅力を山科の歴史を通じて記録しようと思います。

ねこまねき

少し見ない間、知らない間に、まちの通りが大きくかわっていた、ということがある。

最近、地下鉄御陵駅周辺や渋谷街道を歩いていると、玄関にさがった大きなのれんに英文字が描かれていたりする見慣れない店舗をちょいちょい目にする。最初は「?」と思っていたが、外国人観光客などに宿泊を提供するいわゆる「民泊」と呼ばれる宿泊施設のようだ。

京都市では、近年、海外からのインバウンドを含め、年間5000万人を超える観光客が訪れる観光都市となり、宿泊施設の不足に伴い、空き家、集合住宅の空室などを「客室」として宿泊客に提供するいわゆる「民泊」が急増している。しかし現在、京都市には、旅館業法等、関係法令の許可を得ないで無許可で営業していると推測される宿泊施設が多数あるようで、騒音やゴミ問題など宿泊客のマナー問題が近隣住民の居住権を脅かすなどトラブル事例が多く発生していることも事実だ。

京都駅からJRで一駅、市街中心地から地下鉄で10分で移動できる山科は、まさに穴場で、今後もこうした状況は広がっていくのではないのか……。

 

実は我々夫婦は、世界各地でいわゆる「外国人観光客」の立場として、いわゆるこの「民泊」と呼ばれる宿泊施設にはさんざんお世話になってきたクチなので、あまり大きなことは言えない。

たとえば独立紛争が終結して14年、平和を取り戻したクロアチアでは、インフラ整備が十分追いつかないまま、〝アドリア海の真珠〟に魅了された世界中の人々が大挙して「ドブロブニク」を訪れるようになり、まちのあちこちの民家に、ベットの絵と「SOBE(ソベ)」と書かれたプレートが掲示されて、ごく普通の民家が客室を宿泊施設として提供していた。

発展著しいキューバの首都ハバナでは「カーサ・ファミリア」(カーサは家、ファミリアは家族)と呼ばれる民宿が市内のいたるところにあり、宿泊を予約して行かなかった私たちも一般住居の2階の一室に3泊ほど泊めてもらった。

かつて富豪たちがまちを築いたモロッコでは、富豪が手放した豪邸(邸宅)をそのまま宿泊施設に改造した「リアド」が大人気で、タイル装飾やガラス細工の窓などインテリア家具などはかつての豪邸のままで、空調の効きが悪いなど、少々の不自由さを差し引いても体験する価値ありだった。

世界各国のユースホステルは、その国の公共休閑施設を活用していたりするので、ドイツには古城ホテル、スウェーデンには船一艘まるごとホテル、カナダには元監獄のホテルなどがあり、これらは資料館見学と宿泊を兼ねているようなもので人気が高い。どこでも同じサービスを提供する高級ホテルよりもむしろ、その国特有の文化や伝統に触れる体験旅行がしたいと思う人々に支持されており、常に予約でいっぱいだった。

それで言うと日本を訪れる外国人観光客が、囲炉裏のある合掌造や、畳の生活が体験できる京町家などに泊まってみたいと思うのはごく当然なことでは?と思うし、ありきたりな日本観光ではなく、「銭湯」を体験したり、回転寿司を食べ、そば屋では最後にそば湯まで飲んでみてほしい、と思う。

 

世界じゅうの人々が他所の国を観光で訪れるようになり、それがその国にとっての産業収益になる、国際化、インバウンドは当面、とどまることがない世界的な流れだろう。訪れるほうも受け入れるほうも、「ただ安く滞在できたらいい」「儲かりさえすればいい、あとのことは知らない」という流れにならないように、国際交流がまちづくりとの関連でどうあるべきか、営業条件、周辺の住民との合意ルールづくり、一定の規制など、行政の役割はますます大きく、早急な対応が必要と思う。国際化についてどう考えるのか、我々市民の意識の改革も必要なのかもしれない。