オオトモのオヤブンサンの言葉は
完璧な韓国語だった。
「ヒョク、ほら、オヤビンがおすわり!って」
もう〜…分かってるよ。
この人、韓国語で話してるんだから。
てか、オヤブンだって言ってんのにオヤビンて言ってるしw
「、、、失礼します。」
オヤブンサンの前にドンヘと並んで座る
「あなた…オオトモのオヤブンサンも韓国語が話せるんですね」
マスターが先に行ってろって言ったのは
この人も韓国語が話せるからだったんだ。
「昔、韓国に居たからよ」
「韓国に?それで、ドンへを一緒にこの国へ連れてきたんですか?」
「オイラが連れてきた訳じゃねえよ。韓国に居たのは昔の話しだつったろ?」
「じゃあ、誰が何の目的でドンヘをに連れてきたんです?」
「あんちゃんは、この子の友達かい?」
「はい、、、あ、いや」
「オヤビンぽん!ヒョクはオレの大切な人なの!そんでヒョクはオレんこと宝物だってゆーてくれた!」
サンを付けるんだって言ってるのに
また、間違ってポンて言ってるし
「ああ、そっか、そうだったな。大切な人って言ってたな。そんで、あんちゃんにとって、この子は宝物か、、、。成程な。そりゃあ友達なんて簡単な関係じゃねえって訳だ。
で?あんちゃんは、その大切な宝物だっていう、この子を取り戻しにきたわけかい?」
「取り戻すって言うか…こいつはオレの側にいるのが自然だから…」
「成る程なあ…。この子も同じようなこと言ってたもんな」
てか、なんで、この人、ドンヘの事を名前で呼ばないんだろ?
さっきから、ずっと『この子 』って
「あのぉ〜…おれ、オヤブンサンに聞きたいことが沢山あるんです」
「聞きたいこと?まあ、オイラに答えられることなら答えてやるよ」
「ドンヘとオオトモイッカはどういう関係なんですか?」
聞きながらチラリとドンヘを見ると、、、
「ふぁぁ〜っぷふぃ〜」
な、なんと!大アクビ
「あんちゃんに会えて安心したもんだから、眠たくなっちまったんだろ?ここに来てから眠れてなかったみたいだからな。向こうの部屋で寝てるか?」
「ヒョクの側にいたい」
「なら、好きにしろ。えっと?あんちゃんが聞きたい事ってえのはなんだったっけな?」
「ドンヘとオオトモイッカの関係です」
「関係なんざねえよ」
「は?じゃあなんで連れてきたんですか?」
「だから、オイラが連れて来たんじゃねえってのに(笑)」
「でも、ドンヘはオオトモイッカの人間に航空券を貰ったって、なあ?」
ドンヘに確認しようとしたら
「寝ちまったな。あんちゃん、その子を部屋に運んでやりな。…っと、あんちゃんの細っこい腰と腕じゃ運んでやれねえか」
そんな事ないです!
と、言いたいところだけど
《寝た子は重い》って諺もあるし(無いけどw)
「オイ!マツイ!」
オヤブンサンが部屋の外にむかって声をかけると
デカイ男が部屋に入ってきた。
オヤブンサンが日本語で何か言うと
マツイと呼ばれた男は、そっとドンヘを抱き上げると部屋を出て行く
「あんちゃんも付いて行きなよ。話は明日でもいいだろ?」
「でも…」
「やっと会えたんだからよ?側にいてやんなよ。
あの子もあんちゃんの側に居たいって言ってたじゃねえか。目が覚めた時、近くに居てやんねえと、あんちゃんに会えた事は夢だったのかと思って悲しむだろ?」
「オヤブンサンは…顔に似合わず優しいんですね」
「アンタね。顔に似合わずってひでえ言い草だぞ?(笑)
「あ、すみません」
「いいから行け」
「はい」
頭を下げて、部屋を出た。
マツイという大男は黙ったまま ドンヘが自室として使わせて貰っているらしい部屋に入るとそっとドンヘを布団に寝かせてくれた。
「アリガトゴージャイマス」
お礼の言葉にも頷くだけで すぐに出て行ってしまった。
眠るドンヘの側に座る
「お前、痩せたな…。オレが側に居なかったから
寂しかったか?、、、オレも、そうだよ。
お前が居なくなって…寂しかった。めちゃくちゃ寂しかったんだよ」
なあ?
なんで、組の金なんか持ち逃げしたんだよ?
誰に金を渡したんだよ?
なんで、この国に連れて来られたんだよ?
聞きたいことは沢山あったけど
ドンヘの寝顔を見たていたら
そんな事はどうでもよく思えてきた。
つづく