SPOON 孤高のモダン・ロック | ぐれむりんの気ままなブログ

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SPOONは、

1996年にアルバム・デビューしたアメリカのテキサス州オースティン出身のインディー・ロック・バンドです。

ボーカル&ギターのブリット・ダニエルと、ドラムスのジム・イーノによって結成され、その後、アレックス・フィッシェルジェラルド・ラリオスベン・トロカンを加えた5人で活動中……と、ウィキペディアには書かれています。

……が、

実にお恥ずかしい話、僕は今までこのSPOONというバンドをホトンド聴かずにロック好きオヤジを名乗ってきました。

 

僕がSPOONをキチンと聴き始めたのは、2022年に発売された現時点での最新アルバム「ルシファー・オン・ザ・ソファー」だったりします。

 

いや、それ以前にも彼らの楽曲を耳にし、CDも買ってはいたのだけれど、なぜか心に響くことなく……1~2度聴いて「もういいや」って、CDラックの中にしまったきり……。

 

まあ、それは置いといて。

 

先ずは1曲、聴いてみて下さい。

できるなら、イヤホンを装着し、左右で、どんな音が鳴っているのか意識して聴いてみて下さい。

この、SPOON(スプーン)というバンド、ネットで調べてみると、ポスト・パンクとかモダン・ロックとか音響系とか色々な呼び方で紹介されているのですが、僕はどうにもこの手のジャンル分けというものが理解できず……と言うか、理解する気が無いのですが……SPOONを聴いて最初に思ったのは、(あくまで僕の中のイメージの音ですが)70年代のサウンドを今の録音技術で再現しているバンドってことでした。

 

例えば、ジョン・レノンの「心の壁、愛の橋」とか、デビッド・ボウイの「ハンキー・ドリー」とか、Tレックスの「電気の武者」とか、そういうサウンドです。

僕は90年代のグランジ/オルタナティブで洋楽にハマった世代なのですが、当時のロックは70年代の焼き直しと言わていたこともあり、90年代の(当時の)最新のロックを聴くのと同時に70年代の古いロックも色々と聴いていたのです。

 

と言っても、その頃はまだインターネットが無い時代だったから、聴いてる音楽は有名ドコロばかりだったのですが。

 

当時の僕は趣味のバンド活動なんかもしてたし、世の中はビジュアル系バンドがモテハヤサレていた時代で、そんな中で、誰も知らない(実は有名な)70年代のロックを聴いてる俺スゲーって、まさに重度の厨二病音楽リスナーだったわけです……。

 

音楽的無気力という言葉があります。

人は14歳の頃に聴いた音楽でその後の音楽的嗜好が決まり、33歳を過ぎると新しい音楽(ジャンル)を聴かなくなるという統計があるそうです。

 

僕の場合は14歳ではなく、10代後半で聴いた音楽ジャンルをオジサンになった今でも聴き続けている、その傾向が強い気がします。と言うか、明らかにそういう音楽ばかりを好んで聴いています。

 

ってコトで、

ある日、突然……

あれ?

SPOONって、

むちゃくちゃカッコいいぞ?

……と、オジサンになって気が付いたのは、まさに音楽的無気力の仕業なのかもしれません。

 

う~む、それにしても。

インターネットって便利ですよね。

 

90年代や2000年代初めには苦労して調べていたアーティストのバイオグラフィやディスコグラフィを簡単に知るコトができるんだもの。

 

そして、当時のコトを思い出しながら、「ああ、なるほど。だからあの頃はSPOONの音楽が心に響かなかったのか」なんて自己分析したりなんかして、客観的に自分の音楽的嗜好に向き合うことができる※SPOONを聴かなかった言い訳をしているだけなので実際にはそんな深く考えていませんわけです。

 

【ご注意下さい】

ここからの紹介文は、ネットで調べた情報をあたかも自分の知識のように書いているだけのシッタカ・バンド紹介です。

 

SPOONがアルバム・デビューした1996年は、カート・コバーン(ニルヴァーナ)の自殺という最悪の結末でグランジ/オルタナティブ・シーンが急速に衰退していった時代でした。

 

そんな中で発売されたSPOONのデビュー・アルバム「Telephono」は、ピクシーズに多大な影響を受けていることを感じさせるギター・ロック・アルバムです。

※ピクシーズは80年代に活躍したアメリカのインディー・ロック・バンドで、カート・コバーンが影響を受けたと公言していたバンドです。

アルバムのオープニング曲「Don't Buy The Realistic」です。

この曲を聴いた瞬間、

ピクシーズじゃんっ!

ってツッコミを入れてしまいました。

 

いや、ええと……、これは決して否定しているわけではなく、ある意味、一周回って、今聴くと逆にカッコイイって意味での「ピクシーズじゃんっ!」です。

 

ただ、96年当時は、オルタナティブ・シーンが急速に衰退していたこともあり、このアルバムは「え?今さらオルタナ?」って感じでホトンド売れなかったそうです。

 

でも、一周回って今の耳で聴くと「むちゃくちゃカッコイイ」って感じる通り、楽曲のクオリティはかなり高いのです。

 

実際、SPOONの音楽性(クオリティ)はインディーズ向きじゃないと言われ、メジャー・レーベルと契約することになります。

 

そして発売された2ndアルバム「A Series of Sneaks」は……まったく売れず、バンドはすぐにメジャー・レーベルからクビを宣告されてしまいました。

 

そしてバンドは誓います……。

二度とメジャーなんか行かないっ!

 

それ以降、SPOONは20年以上に渡りインディー・シーンで活動を続けています。

 

ただ、まったく売れなかった「A Series of Sneakes」は評論家からの評価は高く、カルト的な人気作品なのだとか?

 

で、ここでバンドはちょっと軌道修正……ではないのですが、世の中に「ガレージ・ロック・リバイバル・ムーブメント」が興ったことで、当然、SPOONはサウンド的にガレージ・ロック・リバイバルの括りに入っちゃったわけです。

 

でも、元々はガレージ・ロック・バンドではないので、そのムーブメントにもイマイチ乗ることができず……評価と作品クオリティは高いけどパッとしないバンドという肩書きのまま活動が続きます。

 

……はい、そーなのです。

 

グランジ/オルタナティブ

ガレージ・ロック・リバイバル

 

僕がリアル・タイムでドハマリしていた2大ムーブメントです。

その2大ムーブメントの両方に乗り切れなかったSPOONは、当時の僕にとっては「心に響かない」バンドの筆頭だったわけです。

 

そりゃあ、CD買っても「もう、いいや」って感じで、すぐにCDラックに並べちゃうはずです。

 

ちなみに、SPOONのサウンドは

ポスト・パンク

モダン・ロック

なんて呼ばれています。

 

調べてみました。

 

ポスト・パンクとは、1970年代にパンクが登場した後、その流れを引き継いだロックの事で、モダン・ロックとは、90年代のグランジ/オルタナティブ以降に登場した、ラジオやMTVで放送しやすい普段着のロック・バンドが演奏する音楽なのだそうです。

 

ただし、どちらも明確な定義があるわけではなく、音楽業界や評論家が理屈上のジャンルとして名付けたものらしいです。

 

SPOONが「孤高のモダン・ロック・バンド」と呼ばれるのは、メジャーで手痛い失敗を経験した後も、インディー・シーンで地道な活動を続け、少しずつ人気を獲得しながら、気が付くとインディー・シーンの最重要バンドと呼ばれるまでの存在に上り詰めたから……だそうです。

 

インディー・バンドでありながら、全米チャートの1位を獲得するようなバンドですもの、その楽曲のクオリティの高さは折り紙つきってことですね。

 

ちなみに、ここからは、僕が個人的に思うSPOONの魅力です。

 

先ず、SPOONのソングライターであるボーカル&ギターのブリット・ダニエル「UKロック好き&ジョン・レノン好き」ということもあり、ビートルズ(特にジョン・レノン)好きには刺さる楽曲が多いと思います。

ただし、テキサス州オースティン出身のバンドなので、楽曲にブルース的な雰囲気を感じるものが多いです。

 

個人的にはこの、UK好きのUSバンドという(あくまで勝手なイメージですが)ミックス具合がすごくイイ感じに思います。

 

UKのバンド……、例えばオアシスやブラー、2000年代ではアークティック・モンキーズやフランツ・フェルディナンドのようなこれぞUKロックというメロディラインとは違う、US特有のリズムで刻む歯切れのいいメロディが心地よいですね。

 

 

ちなみにコチラの「I Turn My Camera On」はフランツ・フェルディナンドの「Take Me Out」にインスパイアされて作った楽曲だそうです。

個人的には「Gimme Fiction」収録の「Sister Jack」を聴いた時に、「あ、このバンド……カッコイイ!」ってなりました。

 

 

サウンド的には初期のオルタナ・ギター・ロック時代もカッコ良いのですが、メジャー撤退後のピアノを導入し始めた頃の楽曲がビートルズっぽくて好きです。

 

 

ただし、個人的には前々作「Hot Thoughts」のエレクトロ路線と言うか、電子音強めの作品は苦手でした……

 

 

最新作「Lucifer on the Sofa」では、原点回帰的なバンド演奏で聴かせるロックに戻っています。

 

 

でも、なんと言っても、SPOONの人気を決定的にしたアルバム「Ga Ga Ga Ga Ga」が最もオススメですね。

アルバム・タイトルからは想像もしない(?)良質のモダン・ロックが鳴り響いている作品です。

 

 

それにしても。

今はサブスクで簡単に音楽が聴けるのが良いですね。

気になったバンドやミュージシャンの作品を「試聴」感覚でお手軽に聴けるこの仕組みが90年代や2000年代初頭にあったなら……。

 

興味のある方は、是非、音楽的無気力となる33歳までに、一度はSPOONを聴いてみて下さいね。