裸の太陽を
追いかけてきたけど
ここから先はもう
西は終わりになる
THEE30TH です。
昨年、2025年から始まったミッシェル・ガン・エレファント のメジャーデビュー30周年記念企画。
<94k24bit,180g&4k>というテーマのもと、オリジナルマスターテープから新たにリマスタリングを施した96kHz/24bitでのハイレゾ配信、180g重量盤でのアナログ盤の再発売、MUSIC VIDEOの4K画質へのアップコンバートがおこなわれてきました。
そして2026年3月1日にリマスターCDボックス の登場です。
そんなリマスターCDボックスの発売を※勝手に 記念して始めた、オリジナル・アルバム紹介の第6回目です。
▼第5回目はコチラ。
CASANOVA SNAKE
2000年 5thアルバム
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前作「ギヤ・ブルーズ」から約1年3ヵ月。
オリジナル・アルバム未収録のマキシ・シングル&カップリングを集めた編集盤「RUMBLE」 の発売を挟んで発売された5thアルバムです。
今までアルバム・ジャケに日本語の表記をしてこなかったミッシェルが、初めて曲名をカタカナで表記した作品です。
初回盤はピクチャー・ディスクということですが、今回も初回盤とはまったく気にせず、ピクチャー・ディスクを所有していました。そりゃあ、リアル・タイムで発売日に購入すれば意図せずとも初回盤を買ってることになりますね。
ちなみに、今回のリマスターBOXの「カサノバ・スネイク」はピクチャー・ディスク仕様 で再現されています。
紙ジャケもアナログ・レコードを模したゲートフォールド仕様になっていて、こういうジャケットや盤のデザインを楽しめるのはレコードやCDなどの物理的アイテムの特権ですね。
収録曲:
デッド・スター・エンド
コブラ
ヤング・ジャガー
プラズマ・ダイブ
リボルバー・ジャンキーズ
ダスト・バニー・ライド・オン
裸の太陽
ラプソディー
夜明けのボギー
シルク
ピンヘッド・クランベリー・ダンス
アンジー・モーテル
GT400
ピストル・ディスコ
ドロップ
先行シングル「GT400」のノー天気な歌謡ロックっぷりから原点回帰なメロディ志向アルバムになるかと思いきや……オープニングから8曲目まで、怒涛のガレージ・パンクで一気に突き進む勢いまかせの超ド迫力高速ロック・アルバム でした。
GT400がミドル・バラード扱いされるほどの怒涛っぷりです。
チバユウスケさんのボーカルは、基本スタイルがガナリ声絶叫 というトンデモない歌唱法へ変貌しています。カッコよすぎです。
ラ行の巻き舌が最高 です。
ただ、ファンの間では賛否が分かれる作品だったりします。どちらかと言うと、否定的な意見が多い……気が?
前作「ギヤ・ブルーズ」の完成度に比べ、勢いだけで作り上げた感があり、楽曲も単調でメリハリが無い……とか?
圧が強すぎるとか、893みたい……とか?
冗談じゃないっ!
最高のアルバムですよっ!
…と、僕は声を大にして言いたいくらい大好きなアルバムです。
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曲名を連呼するだけのサビで、ここまでカッコいい楽曲を作れる才能はもはや奇跡としか言いようがありません。良い意味で。
批判的な意見として、歌詞にブランキー・ジェット・シティの浅井健一さん(ベンジー)の影響が見え、音楽性もブランキー的なロカビリー要素が強くなった……なんて言われることがありますが、ブランキーも浅井健一さんも好きな自分としては、ミッシェル(チバさん)とベンジーが重なったことはありません。
また、歌詞に単語羅列のヤッツケ感があるという意見もチラホラ見受けられますが、イヤイヤどうして、個人的には難易度の高い裏読み放題の難解歌詞満載だと思います。※ファンの妄言です。
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例えば、「ヤング・ジャガー」 でオレンジ・ミルクを欲しがる猫は白目をむいて、ビッグ・ナッツ・ミルクを欲しがる猫の口に泡がたまる※オレンジもナッツも猫には厳禁の食べ物 なんて一節が登場しますが、その後に、完璧なサイレン鳴らすヤング・ジャガーって、いったいどういう意味???
※リアル・タイムの頃は、ちょっとエッチな意味があるのかなって思ってましたが、単に猫に食べさせちゃダメな食品を彼女に注意(サイレン)されたことを歌ってるだけとか?
キャンディ・ハウスでも「鳴き声のするむこう植木を投げる」って、庭にいた猫の気を引こうと実際に植木を投げたエピソードを歌詞にしたって話もあったし……。
考え出したら、夜も眠れなくなっちゃいそうです。
ただ……
今回のリマスターBOXの中では、音質面で最もガッカリした作品 でもありました。
その理由はズバリ、旧盤で顕著だったキンキン響く高音 がそのままだったこと、そして、リマスターの効果がまったく感じられなかった ことです。正直、音圧が上がっている以外は旧盤とまったく同じ音……と思って油断していました。
と、言うか。
今回のTHEE30TH企画 がスタートした2025年当時はリマスターCDの発売はアナウンスされておらず、リマスターはハイレゾ配信とアナログ盤限定だと思っていたのです。
実はこの「カサノバ・スネイク」 という作品、旧盤CDはとにかく音質が不評 だったようです。音圧競争の真っただ中に発売されたためか、とにかく音量がバカでかく、キンキン響く高音 とスカスカで奥行きの無い中・低音 、そして音圧の上げすぎで発生するノイズ(音割れ) がそのまま収められたサウンド。よくこんな酷い音質の作品を発売できたな、と酷評するファンもいたくらいです……と言うのを、ネットが普及した後に知りました。※リアル・タイムの頃はまったく感じたことはなかったのですが……。
しかも、旧アナログ盤 もCD同様にキンキン高音が目立つ音だったらしく……。
※ってことは、これが当時のミッシェルが意図したサウンドってことですかね?
しかし、今回のTHEE30TH企画の「カサノバ・スネイク」アナログ盤 は、オリジナルにあったキンキン高音が抑えられ、中・低音が強調された音質に改善されていた……なんていうレビューをリマスターBOX発表前に読んでいたのです。
ってことで。
いよいよ、中・低音に厚みが増した「カサノバ・スネイク」をCDでも聴けるのかっ! と、期待に胸を躍らせていましたが、蓋を開けてみると……まったく旧盤と同じ音じゃん。詐欺じゃん。
そんな状態でした。
※ミッシェルは、CDとアナログのカッティング(マスタリング)を変えている、なんて情報もありますね。
もちろん、まったく同じとは言っても、実際に何度も聴き比べすると、ほんの少し音に厚みが出たかな……と感じる曲もあったりしますが、それこそ音が変わったと呼べるほどのものではありません。
前作「ギヤ・ブルーズ」の紹介の際に書きましたが、foober2000をiPodタッチに入れたのは、この「カサノバ・スネイク」を聴き比べするため……だったりします。
残念ながら、foober2000で音量を揃えても、旧盤との違いはホトンド分かりません。ユッタリ目の楽曲「シルク」で、中・低音域に厚みが増したのが分かったくらいです。
と、油断していたのですが、実は……
おっとその前に、念のために書かせていただきますが。今回の音質の「聴き比べ」については、「良い」とか「悪い」とかではなく、あくまで往年のファンが趣味で楽しんで やっていること なので、今回のリマスターBOXを批判するものではありません。
実は、僕はミッシェルの作品を聴いて違和感を感じていた時期 がありました。その違和感を感じ始めたのは、今から10年前に初めてモニターヘッドホンを買った時 だったと思います。
価格的には1万数千円と、安価な部類のモニターヘッドホンです。※モニターヘッドホンは音楽のレコーディングなどに用いられる原音に忠実な高解像度のヘッドホンです。
M40xは安価ながらも、インディーズ時代のYOASOBIが楽曲制作に使用していたくらいの高評価なヘッドホンでした。
いまだに、M50xBT2、R50x と共に僕が愛用しているヘッドホンです。購入から10年経った今も※メイン使用機種ではなくなりましたが 壊れることなく使えているコスパ最強のヘッドホンです。
【注意】 原油価格の高騰を受け、4月中旬からオーテク製品は一斉に値上げが決まったとWebニュースで読みました……。
今回の「聴き比べ」には、M50xBT2とR50xを使用しています。
実はモニターヘッドホンって、原音に忠実な高解像度なヘッドホン ゆえに、ショボい音はそのままショボく鳴らしてしまうヘッドホン だったりします……。いや、言い方っ!
顕著なのは、モノラル録音の音源です。
初めてモニターヘッドホンでモノラル盤ビートルズ を聴いた時は、あまりのショボさ※迫力の無さ にビックリしたくらいです。※音量を上げれば迫力のある音になりますが、耳が痛いです。
逆に、高音質で有名なノラ・ジョーンズ ※ジャズ・シンガー の作品を聴くと、鳥肌が立つくらい、ピアノの鍵盤を指が叩く音や呼吸音まで聴こえてきそうなほど音の洪水に包まれる体験をすることができます。ちょっと話を盛っています。
今回の聴き比べて、ふと、その事を思い出しました。
つまり、ステレオ的な音の広がりが少ない、モノラル的なサウンドを鳴らすミッシェルって、モニターヘッドホンだとショボい音になっちゃうってこと?
そこで今回、僕が取り出したのが……
これまたオーディオテクニカのヘッドホンATH-S220BT です。
5000円クラスとしては高評価なリスニング用ヘッドホンです。
……が、モニターヘッドホンに慣れた今の耳では、高音も低音も聴こえない音場の狭いモッサリした聴くに堪えれない音質のヘッドホンです。ゴメンなさい。意外と古い(?)機種なので、今は同価格帯でももっと高音質な機種があると思います。
このヘッドホンの唯一の利点は、無線と有線の二刀流ってことくらいでしょうか。
ただ、ミッシェルをリアル・タイムで聴いて熱中していた頃は、もっとショボいイヤホンを使っていた ことを思い出しました。
そこで今回は、敢えて、当時を思い出す意味で※と失礼な物言いで 低品質のヘッドホンで「カサノバ・スネイク」を聴いてみたのです。
驚きましたっ!
高音のキンキン・サウンドが聴こえない「カサノバ・スネイク」のカッコイイことっ! 最高かよっ!
まさに、当時熱中したあの頃の質感です。※という思い出補正。
そして盲点だった のは、音質の悪い、高音も低音域も聴こえない、中音域のモッサリしたヘッドホンで聴く「カサノバ・スネイク」は、逆に旧盤とリマスター盤の違いが明確に分かるようになっていたのです。
モニターヘッドホンで聴いた時とは違い、明らかに中音域の厚みが増しています 。多分、再現できる音場の幅が狭い分、それらが全て中音域という音域に集まっているのだと思います。
先ず、曲の出だし。
特にドラムなどが入っている曲は、最初の1音目から中音域のアタック感が分厚くなっているのが分かります。元々のヘッドホンが籠ったモッサリ・サウンドなので、旧盤自体のキンキンスカスカ感も無くなっていますが、リマスター盤は更にそこに中音域の厚みが増したサウンドになっていました。
モニターヘッドホンでは音質の区別がつかなかった楽曲も、聴き比べた瞬間に中音域の厚みが違っているのが分かります。
foober2000で音量が揃っているため、違いが明確です。
そうと分かれば。
もう一度、じっくりとモニターヘッドホンで聴き直しです。
……で、ここでちょっとしたハプニングが。
foober2000のリプレイゲイン(音量均一化機能)って、音量を揃える際に他アプリよりボリュームが小さくなっちゃうのですが、モニターヘッドホンで通常アプリ※僕の場合はカイザートーン で聴き直そうとしたさいに、いつもより大きめのボリュームで再生しちゃったわけです。かなり爆音再生になっちゃいました。
そこで、気が付きました。
今回のリマスター盤、音量を上げても音が滑らかなのです。
試しに、その時に流れていた「リボルバー・ジャンキーズ」と「ダスト・バニー・ライド・オン」の2曲を、いつもより大きめの音量で聴いてみました。※開放型モニターヘッドホンです。
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その後に旧盤の同じ2曲を聴いて、それからもう一度、リマスター盤の同じ2曲を聴き直してみました。かなりの爆音で。
確かに、中・低音域が若干強調され、ベースの音がよく聴こえます。そしてそれ以上に、旧盤ではジャリジャリしていたチバさんのボーカルが滑らかになっています。感覚的には、旧盤では声を張り上げた際にジャリジャリなっていた音割れが無くなって、キンキンと耳に突き刺さる感じが無くなっています。
デイジーのヘソの下の絵っ!
べとついたスキン・リザードッ!
旧盤では、ピーク音量を超えてボーカルが潰れていたってことでしょうか……。まさに音圧競争の弊害ってやつですかね?
なるほどなるほど。
これが、可能な限りマスターテープを忠実に再現したリマスター音質ってことですか。って勝手に納得。
いや、でも。ちょっとね、その違いに気が付ける爆音が大きすぎ。僕のオジサン耳では聴くのがツライ音量でした。
実際、スピーカーじゃ音の違いに気が付きませんって。
……と、まあ。
色々と書いてしまっていますが。
これらの意見は、あくまで個人の……しかも29年もミッシェル・ガン・エレファントを聴いてきた往年のファンの意見です。
しかも音楽の理論も知識も無い普通のオジサンの感想です。
ミッシェルを知らない、あるいは最近になって聴き始めた、なんて若いリスナーの皆さんはオジサンの意見なんて聴かずに、好きなように彼らの作品を楽しんでください。←聴くのが前提かよってツッコミはご遠慮ください。
今回、THEE30THを※勝手に 記念してレビューを書き始めて改めて気が付きました。
僕がリアル・タイムでミッシェルを聴いていた頃は、今のようにネットは普及していなかったし、スマホもサブスクもYoutubeもなかったし、余計な情報(批判やウンチク)に惑わされることなく、楽曲の良さ※自分の好み だけを基準に音楽を聴いていました。今の僕が知っているミッシェルに対する知識の多くは、彼らが解散した後に、ネットの普及とともに得た知識ばかりです。
そもそも、旧盤だろうがリマスター盤だろうが、収録されている楽曲は全て同じですもの。どちらも同じ、カッコいいミッシェルの楽曲なのですよね。
と、勝手に締めの言葉みたいな事を書いてしまいましたが、スミマセン、お話はまだまだ続きます。
実はこの「カサノバ・スネイク」 は、ミッシェル・ファンの中でも評価が分かれる作品で、特に初期~中期のミッシェルが好きな方からは評価の低い作品だったりします。逆に(?)スラッシュやデスメタルのような過激な音楽が好き な方※つまり僕ですが には好まれる作品だと思います。もちろん個人の感想です。
全15曲中、テンポの遅い曲が「夜明けのボギー」「シルク」「ドロップ」の3曲だけで、しかも半インストの「夜明けのボギー」以外は唯一のバラード曲「ドロップ」でさえ絶叫ボーカルです。
そんなアルバムが万人受けするはずがありません。
そもそも、ミッシェルの音楽性自体がメジャー志向じゃありません。ミッシェルがバカ売れしたこと自体がおかしな話なのです。
以前、邦楽好きの甥っ子にミッシェル(チバさん)を聴かせたところ「(声が)うるさ過ぎて無理っ!」 とバッサリ拒否されたことがあります……。
そんなミッシェルの作品の中でも、多分、最もストレートで過激で勢いまかせの男気溢れるガレージ・パンク・ロック作品がこの「カサノバ・スネイク」です。
興味のある方は、是非、聴いてみてください。