【小説】ねじまき鳥クロニクル 完読 | ぐれむりんの気ままなブログ

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ねじまき鳥クロニクル 

 

村上春樹さんの最高傑作のひとつと言われる作品

ねじまき鳥クロニクル

を完読したのです。

 

 

 

 

 

僕が読んだのはキンドル版で、iPhoneの音声朗読機能を使ったいわゆる「聴く読書・モドキ」での読書(聴書)です。

 

文庫版と同じく

第1部「泥棒かささぎ編」

第2部「予言する鳥編」

第3部「鳥刺し男編」

からなる3冊構成の合本版です。

 

コロナ自粛の続く2022年のGWに購入し、1年かけての完読、と、なったのですが……

 

確かその時は、キンドルでセールが開催されていて、「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」「海辺のカフカ」「騎士団長殺し」「1Q84」「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」、そして「ねじまき鳥クロニクル」と村上作品を6作同時に購入してしまい※ポイント還元「実質半額セール」に釣られてしまいました、これまでに「騎士団長殺し」「海辺のカフカ」「世界の終りと~」の3作を読破。そして、読破4作目となったのが、今回ご紹介する「ねじまき鳥」なのです。

 

ええと、最初にズバリ、言わせて頂きます。

苦痛でした。

この作品、村上春樹の最高傑作と言われる作品のひとつなのですが、ハッキリ言って、読者を選ぶ作品だと思います。

 

完読するまでに5ヶ月以上かかりました。

 

第1部「泥棒かささぎ編」を読み終わり、面白さがサッパリ分からず半挫折状態……。

第2部「予言する鳥編」を途中まで読み……完全挫折。

 

その後、数ヶ月あき……

 

第2部「予言する鳥編」の続きから再読し、再び半挫折……。

 

その後、数週間あき……

 

第3部「鳥刺し男編」を読み始め、前2冊の退屈さが嘘のような急展開で読書が止まらなくなり、最後まで一気に完読です。

 

 

ええと、ちなみに(?)

話しは変わるのですが、アメブロの機能で「デザイン」なんて項目があることに初めて気が付き、今回はその機能を使ってブログを書いてみよう……と思ってるので、今回のブログはいつにも増して読み難さ全開かもしれませんのでご了承ください。

 

 

泥棒かささぎ編

主人公の「僕/岡田亨」(既婚・失業中)が家でラジオから流れるロッシーニの「泥棒かささぎ」序曲に合わせて口笛を吹きながらスパゲッティ―を茹でている時に奇妙な電話がかかってきます。女性の声でテレフォン・セックスにでも誘うような謎の迷惑電話です。

 

そして、妻のクミコさんからは、失踪した飼い猫「ワタヤ・ノボル」を探す催促、クミコから猫探しを相談された謎の美人(?)占い師の姉妹「加納マルタ」「加納クレタ」の登場、家の裏にある袋小路の路地で猫探しをする「僕」が出会う不思議な女子高生(不登校)「笹原メイ」、クミコの兄で「僕」が苦手意識を持つ経済評論家の「綿谷昇」などなど……

 

そして、妻・クミコの突然の失踪……

 

物語の序盤は、これぞ「村上ワールド」とでも言うような謎だらけで魅了的な登場人物と事件(?)がテンコ盛りで、とにかく読んでいる手が止まらなくなっちゃいます。

 

……ですが

 

とにかく、話が進みません。

 

やがて「僕」は、失踪したクミコさんの行方を探す中で、ふたりの結婚を後押ししてくれた占い師「本田さん」との繋がりから、日ソ国境紛争(1930年代)で本田さんと共にノモンハン事件を戦った「間宮中尉」と出会い、そこで起こった凄惨な話を聞くことになり……。

 

 

予言する鳥編

ええと、ハッキリ言いますが、第2部「予言する鳥編」の内容はほとんど「うろ覚え」です。

第1部「泥棒かささぎ編」は、確かに「村上ワールド」全開でそれなりに楽しめたのですが、とにかく話が進まない印象でした。

 

第2部「予言する鳥編」は、何が何だかワカラナイ状態でした。

 

加納クレタと綿谷昇の関係だったり、笹原メイとのやり取りだったり、クミコさんの失踪の原因だったり、謎のギター弾きだったり、宮脇さんの家(空き屋)の井戸の底に下りたり、井戸の底で夢とも現実とも区別できない謎のホテルの一室へ辿り着いたり、綿谷昇との確執だったり、加納クレタの再出発だったり……

 

挫折に次ぐ挫折に次ぐ挫折で、この1冊を読み終わるまでに、4ヶ月近くかかったような気がします。

挫折して読まない期間(読む気になれなかった期間)がとにかく長かったです。

 

そして、読み終わった後の感想は……

 

クソつまんね~!です。

 

こんなこと言うと、読書好きの皆様に「アナタは何も分かっていないっ!」と叱責されてしまいそうですが、これは、アレですよ……、ロック好きの人がクラシックを聴いて「クソつまんね~!」と思ったり、お笑い芸人の永野さんが言う「ゴッホより普通にラッセンが好き~」ってヤツです。

 

芸術的な作品を「理解した振り」して「素晴らしい」とは言えない素直な感想ってやつです。

 

でも、この、「クソつまんね~!」って感想は、次の第3部「鳥刺し男編」を読むと全て解消された気分になっちゃいます。

 

例えるなら、この第2部「予言する鳥編」は、「マトリックス・リローデッド」とか、「パイレーツ・オブ・カリビアン2」とか、いわゆる「○部作」の中盤に当たるお話で、それ単独では話が理解できないけど、最後(第3部)まで読むと、とても重要な出来事や謎がテンコ盛りのお話だったって理解できる、みたいな? まあ、そんな感じでしょうか。

 

ただし、僕にとっては……

小説を読むのがトラウマになりそうなレベルで苦痛を感じてたのは事実です。

これなら、同じく「クソつまんね~!」と言われた「オーバーロード・半森妖精の神人(上)」の方が数倍オモシロい……なんて言ったら村上春樹ファンの皆様にバッドで滅多打ちにされそうなので発言を撤回するか、井戸の底に潜って208号室に行かなければ……

 

 

鳥刺し男編

前作の「クソつまんね~!」が嘘だったように、怒涛の面白さで物語が展開する完結編です。

 

「赤坂ナツメグ&シナモン」親子との関係、綿谷昇の秘書「牛河」の暗躍、居なくなった「笹原メイ」の消息、第2部で「僕」の頬にできた痣を巡る謎(?)、そして、「綿谷昇」に拉致された(かもしれない)クミコの救出などが交錯し、怒涛の展開で物語が進んで行きます。

 

第2部で展開した「は?」って感じの意味わからない話が、いや、第1部の話も踏まえて、全てがひとつに繋がっていきます。

 

いや、繋がっていってるっぽいですが、実際には「何がどうなってんの?」って謎だらけのまま、話が進んでいきます。

 

ただ、謎だらけの部分も踏まえて、とにかく面白かった。

 

ネタバレ注意っ!

 

世界のネジをまく「ねじまき鳥」の声。

笹原メイが「僕」につけたあだ名「ねじまき鳥さん」

間宮中尉の話にも登場する「ねじまき鳥」

そして……、シナモンが組み上げたプログラム「ねじまき鳥クロニクル」

 

え?

ねじまき鳥クロニクルって、シナモンが組んだパソコンのプログラムの名前なの?

 

そして、第2部で井戸の底から迷い込んだ謎のホテルの一室「208号室」に行くためだけに行われた壮大な計画(?)

 

果たして、クミコさんを苦しめる綿谷一族の「呪い」を解き、「僕」はクミコを救出できるのか?

 

笹原メイの手紙……

僕が携わった謎の仕事……

綿谷昇の死……

加納マルタ&クレタのその後……

 

……と、

ザ・村上春樹ワールドが炸裂しているのですが。

 

 

結局、何が起きたの?

果たして、ねじまき鳥クロニクルという作品の中で何が起きたのか?

春樹節炸裂の回りくどい文章や、抽象的で摩訶不思議で複雑怪奇な非現実の出来事や、主人公の突飛な行動などをバッサリとカットすると……

 

こんな話でした。

 

妻の実家の「綿谷家」の反対を押し切る形で結婚した「僕とクミコ」だったけど、数年前、クミコが妊娠した時、仕事や金銭的な理由で赤ん坊を中絶したのが切っ掛けで、クミコの中にある何かが壊れ、クミコは浮気を繰り返すようになり、はっと我に返ったことで罪の意識に苛まれ、結果、家を出て行ってしまう。

 

クミコから「離婚」してほしいと手紙で告げられた僕は、それに納得が出来ずクミコの行方を探し、義兄の綿谷ノボルが一枚噛んでいるらしいことを知る。

 

奥さんが失踪したせいで、僕の行動は奇怪なものとなり、空き家の庭にある井戸の底に下りたり、空き家が取り壊しになるのを知って借金までして空き家を買い取り、その時に知り合った赤坂ナツメグに雇われ怪しげな事業を開始。

 

政治家になった綿谷ノボルは、義弟の奇怪な行動にヤキモキ。

秘書の牛河を使い義弟への接触を開始。

 

なんやかんややってる間に、綿谷ノボルは脳出血か何かで意識不明の植物状態になり、クミコさんは看病に見せかけて綿谷ノボルの延命機器を外して殺害……。

 

警察に出頭したクミコさん。

この先、どうなるか分からないけど、きっとクミコさんが戻ってくるのを信じて待つ僕……。

 

そして、最後の最後で「そう来たかっ!」な新事実が発覚。

 

笹原メイが書いた何百通もの手紙は、一通も「僕」の元には配達されてないよって……。

 

マジカっ?

 

そりゃあそうだ。

住所も宛名も曖昧で、差出人も書いてない手紙なんだもの。

郵便屋さんも配達・返送できずに困ったでしょうね……。

 

ってことで。

最近発売された新作が話題の村上春樹さんですが。

 

約30年前に書かれた最高傑作と呼ばれる「ねじまき鳥クロニクル」も、興味のある方は、是非、読んでみて下さいね。