もう、
浅井健一さんには
新しいメロディを生み出す
力は残っていないのかもしれない。
浅井健一さん率いる日本のロック・バンド
シャーベッツの新作
「Midnight Chocolate」
を購入したのです。
浅井健一さんと言えば、90年代を代表するカリスマ・ロック・バンド、ブランキー・ジェット・シティのボーカル&ギタリストで、ブランキー解散後も様々なバンドやプロジェクトを結成しながら常に最前線で活動を続けるロック・ミュージシャンなのですが、そんな浅井健一さんこと「ベンジー」が、ブランキー時代にサイド・プロジェクトとして結成し、ベンジー自身が「宝物」と呼ぶバンド、それがシャーベッツなのです。
そんなシャーベッツの25周年記念アルバム、それが今回発売されたニュー・アルバム「ミッドナイト・チョコレート」です。
通算13枚目のオリジナル・アルバムです。
え?
25年活動して
アルバム13枚って少なくね?
そんなふーに思う女子高生&女子大生&中二男子&メタルキッズの方々がいるかもしれませんが……
うん、確かに。
25年も活動しててアルバムが13枚って、確かに少ないですよね。でも、それにはのっぴきならない事情があるのです。
と、言うのは
これまでの浅井健一さんの活動歴です。
ブランキー・ジェット・シティ
(1991-2000)
シャーベッツ
(1996、1999-現在)
AJICO
(2000-2001、2021-現在)
JUDE
(2002-2005)
ソロ名義
(2006-現在)
ポンティアックス
(2010-2011)
その他色々……
…と、とにかく、色々なバンドやプロジェクトを結成しては作品を発表し、数年で別のプロジェクトを始動、と、そんな活動を繰り返しています。
そんな浅井健一さんが、1999年のブランキー活動末期にバンドを本格始動し※1996年時点は単発のソロ・プロジェクトでした、それから25年に渡ってコンスタントに活動を続けているのが、「宝物」であるシャーベッツです。
上に書いた他のバンドの活動歴を見るとわかるのですが、浅井健一さんって、1991年にブランキーでデビューして以来、30年以上、ほとんど途切れることなく活動を続けているのです。
って言うか、ほぼ毎年、アルバムを発表しています。
しかも、ほぼ全ての作詞・作曲を自分でやってます。
数えてみました。
※僕が所有するCD(iTunes内にあるもの)に限りますが。
ブランキー(119曲)
シャーベッツ(176曲)
AJICO(15曲)
JUDE(75曲)
ソロ名義(130曲)
ポンティアックス(17曲)
これだけでも、500曲を超える楽曲があります。
もちろん、浅井健一さんの全作品を持っているわけじゃないので、実際にはもっと多くの楽曲をリリースしていると思います。
以前、スガシカオさんが何かのインタビューで言っていたのですが、「作曲って、100曲くらいまでなら自分が納得できるレベルの曲が作れるけど、それを超えると……」、なのだそうです。
……で、このブログの冒頭に戻るのですが。
この10年近く、浅井健一さんの新作を聴くたびに思っていたのですが、毎回、どの曲も「どこかで聴いたことのあるメロディ」ばかり……。良い意味でも悪い意味でも。
良い意味なら、ベンジー節が炸裂!
悪い意味なら、過去曲の焼き直し?
例えば、
2017年に発売された「メッセンジャー・ボーイ」を聴いた時は耳を疑いました(悪い意味で)。過去曲の焼き直し、って言うか、歌メロもギターも何もかも、やっつけ仕事じゃない?
ところが、2019年の
「メタリック・メルセデス」は、同じように過去曲との既視感を感じるメロディなのにムチャクチャかっこいい!
何が違うの?
これ、正直、自分でも分かりません。
ぶっちゃけ言うと、当たり外れとか、好みの問題とか。
ホント、聴いた瞬間に「ああ、もうこれで、浅井健一さんのCDを買うのは最後にしよう」と思う作品もあれば、「やっぱりベンジーは最高っ!」って思う作品もあったりして。
結局、ブランキー時代から、新作が発売されるたび※リアルタイムではない時もありますが何故か聴き続けてしまっている自分がいるのです。
……で、やっと本題です。
もう、
浅井健一さんには
新しいメロディを生み出す
力は残っていないのかもしれない。
シャーベッツの新作「ミッドナイト・チョコレート」を聴いた瞬間に思ったのはソレでした。
ただし、良い意味で。
新しいメロディを生み出す力は残ってないけど、聴いた瞬間に背中がゾクゾクする凄い作品を生み出す力は健在でした。
それが「ミッドナイト・チョコレート」を聴いたファースト・インプレッションです。
1周目を聴いた後、もう一度アルバムを最初から聴きたくなる。
実際、僕はぶっ続けで2周目を聴きました。
残念ながら、途中で(他の用事があり)聴くのを止めてしまいましたが、時間があれば、3周くらい続けて聴いたかもしれません。
……思い出しました。
シャーベッツは歌詞が良い。
浅井健一の詩人としての才能が詰め込まれているのがシャーベッツの世界なんだって。
ブランキーが解散した時、ブランキー好きの友人が言ってました。
ベンジーがシャーベッツばかりに力を入れて(良い曲を全てシャーベッツ名義で発表して)そのせいでブランキーが終わった。
ウソかホントかは分かりません。
ただ、少なくとも、友人はそう思っていたようです。
シャーベッツは歌詞が良いんだよ。
その友人はそーも言ってました。
僕は、残念ながら、初期のシャーベッツはイマイチ好きになれませんでした。
理由は単純で、
曲が激しくないから。
ブランキーは浅井健一の攻撃的な面を出してて、シャーベッツは内向的な面を表現している。
僕が、シャーベッツを「え? むちゃくちゃ良くない?」と思ったのは、2005年に発売されたアルバム「ナチュラル」を聴いた時でした。
それまでのガレージ・ブルース的な粒の粗いサウンドから、現在のシャーベッツ・サウンドにシフト・チェンジした※と僕は思っています最初のアルバムです。
それまでのシャーベッツって、何て言うか、結局はベンジーのサイド・プロジェクト的に思っていたのですが、2005年の「ナチュラル」以降は、シャーベッツのバンドの音が確立された気がしています。
なので、浅井健一さんのソロ曲を聴いて、「シャーベッツ的な曲」と思うことは有っても、シャーベッツを聴いて「浅井健一さんのソロ的な……」とは思わなくなっちゃってるのです。
まあ、要するに、何が言いたいのかというと。
「ミッドナイト・チョコレート」は25周年記念という謳い文句に負けないくらいの名曲が詰まったアルバムだってことです。
って言うか、シャーベッツのアルバムにハズレはほぼ無いのですが。まあ、それは、ソロや他バンドのように、「激しい曲も静かな曲もある」というモノではなく、基本、シャーベッツには激しい曲が無いのが前提だからかもしれません。
ってことで、シャーベッツ的に激し目の曲を集めてみたのですが、今回の「ミッドナイト・チョコレート」は、実は、何気にシャーベッツ的な激し目な曲のオンパレードのような気がします。
激し目の曲のオンパレードなのに、激しさを感じない、静かな熱気というか、ガツンと来る曲ではなく、ジワジワと心の内側が熱くなる曲とでも言うか……。
浅井健一さんはやっぱスゴイな。
そー思わずにはいられない名作を久しぶりに聴いた気がします。
興味のある方は、是非、サブスクでも良いので、聴いてみて下さいね。