アメリカのデスメタル・バンド
カンニバル・コープスをご紹介。
今回は1994年に発売された4thアルバム
The Bleeding
初代ボーカリスト、クリス・バーンズ在籍時の最後のアルバムです。
当時、サイド・プロジェクトとして別バンドを結成してたクリスが、カンニバル・コープスよりそちらの活動を優先することが多くなり、それに怒ったバンド側から解雇されたとか……。
それにしても、相変わらず悪趣味全開のエグいジャケットです。
今回の旧盤には「鬼」系の邦題は付いておらず、そのまま英語読みのタイトルになってます。直訳すると「出血」でしょうか?
僕が購入したのは、2006年に発売されたリマスター盤です。
ご注意くださいっ!
この作品、何気に旧盤とリマスター盤の仕様が分かりにくいです。
先ず、上に貼った悪趣味なアルバム・ジャケットは旧盤です。
そして、日本盤(旧盤)は下の検閲ジャケット仕様になってます。
実はこの日本盤、2005年に他の初期作品3作品のリマスター盤と同時期に再発されましたが、それはリマスターされていない旧盤のままの音源でした。日本盤のリマスターは発売されていません。
その後、輸入盤で2006年にリマスター盤が発売されます。
その時のジャケットはコレです。
リマスター盤はこのジャケットでしか発売されていないと思います。
リマスター盤にはボーナストラック「THE EXORCIST」が収録されているのが目印ですね。
ウィキペディア(英語版)によると、カンニバル・コープス作品の中で最も売れた作品と紹介されています。
ただ…、ファンの皆様のレビュー※CD購入前に読んだブログなどにはあまり良い評価が書かれていなかった気がします。
前作「トゥーム・オブ・ザ・ミューティレイテッド」がデスメタルとしての完成度が高かったためか、特に、楽曲のスピードが遅くなったことと、ボーカルの声が前作より高音になっている点を指摘する内容が多かった記憶があります。
だた、初聴き時は…
「どこが?」って感じでした。
声が低いとか高いとか違いがあるの? そもそもデス・ボイスは全部同じに聴こえるんだけど……、曲も普通に速いし……。
でも今は、分かります。
この作品のボーカルは、声が高いですっ!
演奏面も、若干、変化しています。
※ただし、初聴き時は(他の作品も)全部同じに聴こえるって思ったくらいマニアックな変化です。
過去3作が「速くなければデスメタルじゃない」という言葉の通り、ただひたすら速さを求める演奏だったのに対し、この「The Bleeding」はグルーブ感が導入されてます。そんな気がします。個人の意見です。
いや、個人の意見と言うか、ファンの方のブログや解説に「グルーブ感が…」って書かれてたので、そんな気がしてる…のかも?
グルーブ感?
これまた説明が難しい言葉です。
とりあえず、「The Bleeding」収録曲を聴いてみてください。
▼こちらは速さを追及してるタイプの曲です。
3rdアルバム収録曲ですね。
声もこちらの方が低い(聴き取り難い)です。
まあ、違いと言ってもこのレベルなので、初聴き時に違いが分からなくても仕方なかった気もします。
僕的には(初聴き時は)他の作品に比べ聴きやすくて好きなアルバムでした。ただ、デスメタルに毒されてしまった今は、他の作品に比べ聴きやすくて面白味がないと思っています。
これは、「The Bleeding」が駄作と言うことではなく、あくまで、他の作品と比べてということです。だって、初聴き時は、他の作品との違いが分からないって思ったくらい、根本的な音楽性は一緒ですもの。
クリス・バーンのボーカルも、低音デスボイス一辺倒だったのが、高音デス・シャウトを取り入れて強弱を出した…って感じでしょうか?
※高音シャウトなんて書いてますが、普通に低音ボイスです。
ただ、デスメタラーの皆さんからは「余計なことすんな!」って受け取られてしまった…そんな感じなのでしょうか。
僕の場合、デスメタルにハマる切っ掛けになったのが、スウェーデンのメロディック・デスメタル・バンド「アーチ・エネミー」だったこともあり、そこまでボーカルの低音にコダワリがありません。
※アーチエネミーは女性ボーカルです。ただしデスボイスです。
そもそも僕は、スラッシュ・メタルのような高音ダミ声シャウトが好きなので、低音過ぎるデスボイス(クリプトプシーのロード・ワーム氏など)がいまだに得意ではないという、ノット・デスメタラーな部分もあります。
しかも、カンニバル・コープスは、二代目ボーカルのジョージ・コープスグラインダー・フィッシャー参加の作品から聴き始めました。
ジョージのデス声は、クリスに比べて人間的(?)です。
※ただし初聴き時は声の区別がつかないくらい同じに聴こえました。
まあ、ここら辺は……
ワインのテイスティングで、「このワインは18××年、○○地方の××産で芳醇な香りが~」って言ってるようなものです。
コダワリの無い人には「はあ…?」って感じのお話です。
さて、今回のリマスター盤。
日本盤の発売はなく、輸入盤のみと書きましたが、今回購入した輸入盤はかなりCDジャケットのクオリティが高いです。
デジパック仕様で、観音開きという折り方になってます。
表面は光沢のあるコート紙、もしくはシュリンク系の加工がしてあるのか、テカテカと上質な質感で高級感があります。
外から見えるジャケット絵は、CDショップに並べてもギリ大丈夫な検閲タイプです。
パカッとジャケットを開くと、見開きの状態で、収録曲の歌詞がジャケットに掲載されてます。
さらにパカッとジャケットを開くと、左右には収録曲の歌詞の続き、中の2面は、左に旧盤で使用されたジャケットの絵柄、右にCDが収納されてます。※デジパックなので紙ジャケ仕様ではなく、CDケースの周りのプラケースが紙で作られてるタイプです。CDは普通通り、ケースにはめ込まれた状態です。
CDはピクチャー仕様で、旧盤と同じグロい絵柄がプリントされてます。
これだけ見ると、初回限定盤かと思うくらい豪華な作りです。
日本盤に比べて粗悪なイメージ※ジャケットや歌詞カードなどのある輸入盤ですが、これは日本盤にもひけを取らない仕上がりですね。
でも、中身は…極悪デスメタル、ですけど。
ちなみに、デスメタルって日本では「悪魔的」とか「ホラー的」って思われそうですが、サウンドだけならホラーではなくド派手なアクション映画に使われそうな音楽です。
曲も3~4分と短くストレートでバカみたいに速い感じでしょうか。
そして何より、非人間的な唄や演奏を人間が演奏してるってところが魅力のひとつですよね。
そして、一度ハマると抜け出せなくなり、どっぷりと、騒音爆音の海に沈んでいく……、そんな音楽ですね。