丸山くがねさん作
オーバーロード 不死者の王
前回の続きでございます。
BGMは引き続きメシュガーの【伏魔殿】でお願いします。
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伏魔殿に収録された楽曲デミウルゴスといい、守護者統括のアルベドといい、この作品の登場人物の名前って何となく適当につけられたものじゃないのは流石だって思います。
ちなみに「アルベド」はラテン語で【白】という意味ですね。
彼女が純白のドレスを着てるのはそういう理由なのでしょう。
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ここから先はネタバレ全開です。
第3章 カネル村の戦い
モモンガは自分の置かれた状況に困惑していますね。
ゲームの中という仮想現実が現実になったらしいことは理解したけど、不思議なのは、ゲームの設定がそのままになっている部分と、まるで違っている部分が存在してることね。
この辺りの説明は、漫画版では殆ど登場しません。
そもそも、漫画版の第1~4巻辺りはアニメのヒットを受けて急ピッチで連載されたそうで、かなり原作ダイジェストだって解説を見た記憶があります。実際、漫画版を読んだ時は「台詞の意味」が理解できない部分が色々とありました。書籍版では、その台詞の意味が詳しく書かれてますね。
この世界に来て、ナザリック地下大墳墓の絶対的支配者となって3日目。それまで、鈴木悟という一般サラリーマンだったモモンガは、支配者として演技することにかなりお疲れの様子です。
モモンガは魔法で作った「全身鎧/フルブレード」を身にまとい、ひとりで大墳墓の外に向かいます。漫画版を読んだ時は、この行動の意味がイマイチ理解できなかったです。説明が無かったので。
書籍版では……、流石にゾロゾロと臣下を引き連れて歩くことに疲れたので、息抜きがてら外の様子を見たいな~って、そんな理由だったけど、絶対者としての立場的にはそんなこと言えないので「極秘に行うことがある」ってことにして全身鎧を着て出かけようとしたのですね。
この時の全身鎧は、次巻に登場する「冒険者モモン」の前振りでしょうね。でも、転移先(第1階層)ですぐにデミウルゴスに見つかっちゃいます。この後のやり取り、2回目を読むと初読み時には理解できていなかった部分に気がつきます。
デミウルゴスに「近衛兵も付けずに単独で行動する理由」を聞かれたモモンガは良い言い訳が思い浮かばず……「お前なら私の考えが理解できるだろう」って苦し紛れに言っちゃいます。
知将デミウルゴスは考えます。
そして「なるほど、そういう理由でございますね」ってモモンガの深い思慮を考察するんだね。
「え? 何が?」当のモモンガは……実は何も考えてない。
この勘違い深読みコント……この後、作中に何度も登場します。
残念ながら、漫画版でばまるで伝わってこなかったですね。
書籍版で、マーレが「指輪/リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン」を受け取るシーンは何気に意味深です。
この指輪、本来はプレイヤーがナザリック内を自由に移動するためのアイテムで、全部で100個あるそうです。
ギルド・メンバー41人に1個ずつ分けてるので、残りは59個、いや58個かって。モモンガの台詞です。
前章でも、伝言の魔法を使った際に「メンバー40人、いや41人に」と敢えて言いかえてましたが、アインズ・ウール・ゴウンには42人目のメンバーが居たってことなのでしょうか?
さらに、勘違いコントです。
モモンガが外の世界を見て、満点の星空に心奪われ※西暦2138年の世界は大気汚染が進んでるそうです思わずつぶやいた「世界征服なんていいかもな」って言葉をデミウルゴスが本気にしちゃうんですね。
実はこの世界征服って言葉、ゲームの中でギルド・メンバーの何人かが「ユグドラシル内の世界のひとつくらい征服したいよなぁ」って言ってたのを思い出しての言葉だったりするんだね……。
自室に戻り、「遠隔視の鏡」なる微妙系アイテムで外の世界を眺めてるモモンガです。どうやら、単独行動したのをセバスに咎められたようです。そこで、騎士に襲われる村を発見します。
漫画版はかなりダイジェストに数コマで終わりますが、書籍版では「遠隔視の鏡」の操作方法が分からず苦労するモモンガの姿が描かれていますね。
騎士に襲われる村を見たモモンガ。
モモンガの出した答えは「見捨てる」でした。村を助けることにメリット感じないから……。モモンガは、自分の精神が人間でなくなっていることに気がつき始めますね。
その時、後ろで控えていたセバスと、セバスの設定をした仲間「たっち・みー」の姿を重ねちゃいます。
モモンガがユグドラシルを始めた当時、異形種狩りのターゲットに遭いプレイヤー・キラーされていたのを助けてくれた仲間です。
誰かが困っていたら助けるのは当たり前。
たっち・みーの言葉を思い出したモモンガは、実験も兼ねて村を助けに向かいます。
「転移門/ゲート」で瞬間移動です。
プロローグで描かれたシーンはここですね。
※漫画版はスレイン法国「六色聖典」との戦いがプロローグになってますね。
ただ、プロローグの時と第3章のこのシーンは、微妙に雰囲気が違う気がします。これは伏線とかではなく、単純に作者の表現の違いだと思います。
カネル村です。
村を襲撃した騎士のひとりが、エンリとその妹を切り殺そうとしていたところです。
書籍版では、第1~2巻に登場以降、第8巻までほとんど登場しないサブ・キャラ的な印象でしたが、web版では何気に活躍していた印象があります。
web版はエピソードの順番が書籍版と違うのが理由だと思います。
エンリとその妹を助けたモモンガは、彼女に名前を聞かれます。
ここでモモンガは……
「私の名は、アインズ・ウール・ゴウン」と答えますね。
もしも仲間がこの世界に来ていれば、この名前を聞けばきっと訪ねてきてくれるだろうって考えです。
これ以降、モモンガは「アインズ・ウール・ゴウン」を名乗ることになります。書籍版の第7巻でこの名を巡るエピソードがありますね。
カネル村の戦い。
漫画版は要点を端折り過ぎな気がします。
書籍版では、モモンガ改めアインズの行動の理由や、この作品のコンセプトである俺TUEEEッ!が随所に登場します。
先ず、アインズが「転移門」で登場した後、騎士相手にいきなり即死魔法の「心臓掌握」を仕掛けます。この魔法、第9位階魔法です。web版は第10位階魔法だと言ってた気がします。初読み時、ここら辺の行動は「何のこっちゃ?」で理解できませんでした。
そもそも、第9位階魔法の意味が理解できてなかったもの。
第1位階魔法 初歩的な魔法
第2位階魔法 一般的な魔法詠唱者レベル
第3位階魔法 かなり強い魔法詠唱者レベル
第4位階魔法 もはや伝説級レベル
第5位階魔法
第6位階魔法 人間が辿り着ける最高レベル
第7位階魔法 人間では到達不可能。
……これより上の階位は神話の中で語られるレベルだそうです。
モモンガ改め「アインズ」は、ゲームでは最低でも第8位階魔法レベルの敵が一般的だったみたいですね。
ちなみに、この作品の中で魔法使いは「魔法詠唱者」と呼ばれます。
相手の強さが分からないから、警戒の為、得意な高位魔法を使ったようです。もし、騎士に反撃されたらエンリと妹を連れ転移門で逃げる予定だったそうです。
第9位階魔法で騎士が簡単に死んだことで、次はちょっと弱い魔法を発動します。
第5位階魔法「龍雷」です。
やっぱり、騎士は一撃で死んじゃいました。
もしかして、この世界の人間は弱いのか?
次に、中位アンデッド創造で「死の騎士/デスナイト」を召喚。
ゲーム内ではレベル35のザコ・モンスターです。
アインズのレベルでは役立たずのアンデッドだそうですが、どんな攻撃を受けても即死せず、「HP残り1」で生き残るので、魔法詠唱者に「盾の代わり」として重宝されてたそうです。
ゲームでは召喚するとプレイヤーの近くにフッと現れるようですが、この世界では騎士の死体を媒体に創造されました。
後のエピソードに登場しますが、この世界では最高峰の魔法詠唱者でも使役できない伝説のアンデッドだそうです。
web版では王国最強の戦士長ガゼフ・ストロノーフと模擬戦で戦い、王国最強の戦士がレベル30~40という目安になってましたね。
さて、ここでちょっと矛盾?
いや、この後…登場するのかな?
実は書籍版第2巻にエンリが登場した際、村を救ってくれたのは「アインズ・ウール・ゴウン様とアルベドという戦士」だと説明してましたが、アルベドはここで自分の名前を一切名乗ってません。
アインズも「アルベド」の名は一度も出していない気がします。
エンリを助けたアインズは、彼女の傷を治すために低位のポーションを渡します。だたし、この世界では低位ではなく「神の血」と呼ばれる究極のポーションだったことが後に判明します。
ついでに、エンリに渡した「ゴブリン将軍の角笛」も……。
アインズにとって、「ゴブリン将軍の角笛」なんて使い道が無い、捨てずに持ってたのが不思議なくらいのアイテムだったようです。
アインズに「この村を襲う騎士を殺せ」と命令を受けたデスナイトは、雄叫びを上げて走って行ってしまいます。
ゲーム内では、「盾代わり」として常にプレイヤーの側にいるキャラだったので、デスナイトが走り去ったことにアインズは驚いてますね。
「盾が主人を置いて行っちゃったよ」という台詞はここで登場します。
漫画内ではデスナイトのゲーム設定が一切説明されないので、この台詞の意味が「???」でした。
この後、カネル村を襲った騎士はデスナイトに惨殺されちゃいます。
漫画版ではほとんど説明が無かったですが、書籍版でのアインズは「この世界の人間の強さはどれくらいか?」の実験をしてますね。
第4章 激突
騎士を撃退したアインズは、村長と商談を始めます。
自分は報酬目当てでこの村を救った。という名目です。
実際には、周辺の地理(国などの情報)やこの世界の知識を知る為の交渉です。アインズ(鈴木悟)曰く、営業かけ引きだそうで……。
金銭が払えない貧しい村……
それなら、金銭の代わりに「情報」を買うという話です。
漫画版はこのくだりはバッサリとカットされてました。
この世界の人たちは「日本語」を話してるわけではなく、発した言葉が自動的に日本語に翻訳されている……という言語の仕組みもここで登場しますね。これも漫画版では省略されてます。
そして、王国最強の戦士長、ガゼフ・ストロノーフの登場です。
ガゼフはこの後も主要キャラとして度々登場します。
ただ、書籍版第1巻の初読み時は……「???」でした。
リ・エスティーゼ王国の戦士長で、敵対するバハルス帝国の騎士に扮したスレイン法国の六色聖典の罠にハメられカネル村に来た……
ナンてことを言われても、何が何やらチンプンカンプンです。
書籍版の第9巻まで読むと、この世界の国家同士の対立が何となくわかるようになります。
取りあえず、書籍版第1巻の話はどうゆうことかと言うと。
リ・エスティーゼ王国の戦士長、ガゼフ・ストロノーフ暗殺を命令されたスレイン法国の暗殺部隊「六色聖典」が、バハルス帝国の騎士を装い王国周辺の村を襲撃……。
討伐にやってきたガゼフ・ストロノーフを魔法詠唱者部隊で倒してしまおうって、そんな計画です。
※王国の内政が複雑で色々と揉めてるなんて話も登場しますが、これは書籍版第5巻からのエピソードで登場します。
アインズは、暗殺部隊「六色聖典」が「ユグドラシル」と同じ魔法を使うことに興味深々です。召喚する「天使」もゲームと同じです。
やはり、この世界に自分以外のプレーヤーが来ている。
ガゼフは六色聖典の魔法攻撃に苦戦しています。
この戦いで「武技」というワザが登場してますね。
これは、天才的な戦士が修得している戦闘力を向上させる特殊能力ですね。漫画版では何の説明も解説も無く突然登場するので「???」となりました。※用語解説ページで紹介されてますが。
ここら辺、なるほど、ゲームの世界が現実になった……的な部分なのでしょうか?
例えば、FFやドラクエなんかで戦闘時に特殊スキルを使ったり、力を溜めて会心の一撃を出したり、みたいな。
実はweb版には六色聖典は登場しません。
web版では、村にやってきたガゼフがデスナイトの強さに興味を持ち、ガゼフvsデスナイトの模擬戦を行います。そこで武技が登場してましたね。
第5章 死の支配者
絶対絶命のガゼフを救ったのはアインズです。
ガゼフを村に転移し、替わりにアインズが六色聖典の前に登場します。この先の展開は……
この作品のテーマとも言うべき
「俺TUEEE!」です。
六色聖典が召喚した天使(第3位階魔法)を素手で倒し、魔法一撃で40体の天使を撃破……。
あ、ありえんっ!って六色聖典の「ニグン」さんが驚愕です。
水戸黄門で言うなら、「助さん」と「角さん」が悪代官の家来をボコボコにしてるような感じでしょうか?
ついでにアルベドの強さもちょっとだけ登場?
天使を倒され混乱した六色聖典の魔法詠唱者が放った投石を、アルベドが持っていた剣で打ち返しちゃうシーンです。
こんな感じです。
魔法詠唱者がアインズに対して石を放った瞬間、爆発音のような音が響き、瞬間移動したかのようにアルベドがアインズの前に立っていた。
爆発音はアルベドが地面を蹴って高速移動した音だったみたい。
そして、気がつくと、石を放った魔法詠唱者のアタマが打ち返された石で砕けていた……って。
「絶対的支配者を攻撃するなら、それに相応しい攻撃をしろ」って。
「石を放つなど失礼にも程がある」そうです。
そして、ここで興味深い天使の登場です。
六色聖典の指揮官「ニグン」がクリスタルから召喚した天使です。
200年前に大陸を荒らしまわった「魔神」の一体を単騎で滅ぼした最強の天使です。ここら辺は、この世界に他のプレイヤーが来ているという伏線ですかね。
web版にもプレイヤー匂わせは色々登場しますが、web版は書籍版に比べて「アインズ以外のプレイヤーは弱い?」印象があります。
600年前に大陸を支配した8欲王。
これは、多分、他のプレイヤーだと思います。
8欲王は大陸を支配したあと仲間割れして全滅したそうです。
この世界の魔法は、その時に誕生したようですね。
200年前に暴れ回った「魔神」は、NPCだと思われます。
13英雄や国堕としなどの伝説的な話も登場しますが……
第1巻では詳細説明はありません。
「国堕とし」ことイビルアイは第5巻から登場します。
イビルアイはデミウルゴス相手に手も足も出なかったので、13英雄があまり強くないことが分かります。※アインズ基準。
web版では、イビルアイはほとんど活躍しませんね。
ちなみにイビルアイは美少女見た目のバンパイアだそうです。
作中では仮面を付けてるので素顔は見れません。
蒼の薔薇(女性だけの冒険者チーム)に倒されたことで、蒼の薔薇のメンバーに加わったようですが、詳細は登場していません。
200年前に「魔神を倒した最強の天使」として召喚された天使を見たアインズは「実にクダラナイ」とガッカリします。
第7位階魔法を使う威光の主天使です。
第7位階魔法で苦戦しそうなのは、ナザリック陣営なら戦闘メイドくらいでしょうか。戦闘メイドのひとり「エントマ」はイビルアイと戦ってボコボコにされちゃいましたから。
結局、威光の主天使もアインズの魔法一撃で消滅しちゃいます。
ニグンたちはナザリックに拉致され、拷問による情報収集……されちゃいますね。これは、この後のエピソードで時々話題に登場します。
「アッサリ殺すんじゃなかったなぁ~」的な……そんな感じ。
web版には六色聖典は登場しないので、当然、ここらへんの件は書籍版オリジナルですね。
ちなみに、ここでも何気に「???」な伏線的会話です。
人間を下等生物と毛嫌いするアルベドに、「そんなに人間が嫌いか?」とアインズが聴いた際、「ひとりを除いて……」的な返事をアルベドがしてますね。これ、いったい誰を指しているのでしょう?
オーバーロードって、こういう「それってどういう意味?」的な台詞が時々登場しますよね。
アインズを凌ぐ強さの階層守護者の存在とか……。
第3巻でシャルティアが盗賊の根城へ向かう際に自分の足で走らなかった理由とか……。
いや、まあ、それ以上に情報詰め込み過ぎな気もしますけど。
第1巻を読み返して改めて感じました。
この後の巻で登場するキャラクターのことや、周辺国家のこととかが、当たり前のように第1巻にも登場してます。
ちなみに、僕が読んだweb版及び書籍版第9巻までに登場したのは。
リ・エスティーゼ王国……
王派閥と貴族派閥が対立してて国政がイマイチ上手くいってない王国ですね。第5巻辺りから王国を舞台にしたエピソードが始まります。
第1巻に登場したガゼフ・ストロノーフは国王直属の親衛隊ですね。
平民出身の為、貴族に嫌われてます。
今回の騎士討伐も、貴族による嫌がらせのひとつみたいです。
バハルス帝国……
若き皇帝ジルクニフが治める帝国です。元々は貴族が力を持ってた国のようですが、ジルクニフが独裁政権を作るために反抗する貴族はことごとく粛清されたそうです。
ジルクニフは天才的なカリスマ皇帝で、貴族を粛清したのは帝国の国力を強めるためだったようです。第9巻から本格的に動き始めます。
ジルクニフは、web版ではかなり好感度の高い皇帝です。
スレイン法国……
これは、宗教国家になるのでしょうか?
人間種こそ絶対という考え方で、異種族を敵視してますね。
他のプレイヤーの影が見え隠れしてる気がします。
ただ、暗殺集団がいたりとか何やら物騒な印象です……。
まだ、本格的な登場はしてません。
第2巻に登場したクレマンティーヌは法国の暗殺集団のひとりだったと思います。英雄並みの強さを持つ暗殺者ですね。
作中では暗殺集団を裏切って単独行動してましたけど。
いや、何て言いますか……
これはweb版や書籍版をある程度読むと分かってくることであって、第1巻で登場しても「???」な内容です。
にもかかわらず、第1巻でも断片的に登場したりしてますね。
初読み時は、意味が分からず困惑した記憶があります。
漫画版にもここら辺の細かな内容は描かれていません……。
エピローグでは、デミウルゴスが「アインズ様は世界征服をご所望だ」と守護者に伝えたことで、守護者一同、世界征服のため頑張ることになります……。