数日前【初版限定!著者直筆コメント入り特製しおり封入!】の言葉につられて買っちゃった
辻村深月さんの本。↓
『嚙み合わない会話と、ある過去について』
短編集で4話収録されているんだけど・・・どの話もぞわぞわする。
胸の奥がぎゅうううううってなって鳥肌がたつ。ホラー小説じゃないはずなのに、なまじのホラーよりもホラーな感じで、怖い。でも読み始めたらとめることができない。それも、また怖い。
特に「パッとしない子」と「早穂とゆかり」が、ぞわぞわ度数高すぎて、ひぃぃぃぃってなりながら読み切って、読み終わるなり肩で息しちゃったというか。
1話目の『ナベちゃんのヨメ』のナベちゃんみたいな友人、私にも昔いたし・・・
2話目の『パッとしない子』のパッとしてなくて担任に好かれてなかったのは、まるで小学時代の自分のことのようだし、それでいて、美穂先生みたいな言動は自分もやっちゃってることいっぱいあるんじゃないかって気づかされて、ゾッとなる。
3話目の『ママ・はは』のスミちゃんのお母さんは、私の母に似ているところが多い気がして・・・「子どもに対してあまりにも支配的だと、親の言ってることがどれだけ正しくても感謝するのが難しくなってくる」(P.113)っていうあたりの会話にはうんうん頷きながら読んじゃった。
4話目の『早穂とゆかり』の小学時代の話は、自分が小学4年生の頃に戻ったような気持ちで胸がぎゅううううととなって呼吸が荒くなっちゃった。ゆかりが早穂にいう言葉の数々は、いつか「お返し」してやろうと思っていた昔の自分が心に秘めていた思いそのままな気がしちゃって・・・
「思い出」とはいったいなんだろう?
自分にとっての「思い出」と誰かにとっての「思い出」は、たとえ同じ時間の同じ場所の同じ出来事だったとしても、時にまったく違う感情の「思い出」となっている。
この本の解説ページに臨床心理士の東畑開人さんが書かれた
【だから、生者がなすべきことは、生き残ることだ。破壊されて、今度は自分が幽霊になってしまうのではなく、それでも心を失わないこと。本書で言えば、「ナベちゃんのヨメ」の「私」のように、その嚙みつきの裏にナベちゃんの切ない思いを想像しようとし続けること。】(P.233)
この一文にちょっと心が救われる。
それにしても、破壊力半端ない小説でした。ああ、怖かった。