声と息と体の結びつき
呼吸法、発声法は、それを学びたい人には、真剣になるほど大きな問題となるようです。最初は簡単です。いろんな教え方がありますが、どれも合わせてやる分には誰でもできるようになるでしょう。そこからが問題です。誰でもできることをそのレベルでやってみても、それはトレーニングにはならない、つまり、すぐまねられたところから上達しないのです。
息、声、体をそれぞれ別々に解決しようとすると、どういうことが正しいのかわからなくなってきます。他のところに行くと、また他のやり方、別の評価をされ、行ってきたことがキャリアになりません。これは、まだ方法を学んでいるだけだからです。
声を出すこと、出した声をうまくコントロールすることが目的です。まず、今、出している声に対して、もっと有効に息や体を使わなくてはいけないわけです。そのために、目標レベルをあげ、必要性を高めましょう。
トレーニングとしては、逆に息や体を充分に使うことによって、声がうまく使いこなせるようになっていくと考えた方がよいでしょう。☆
声をより大きく強く太くする、次にコントロールするために、息や体が大切な基本だとわかればよいのです。
のどもとに力が入っていると、内耳を伝わって大きな声が出ているように聞こえますが、これは、外には大きく伝わりません。共鳴がよくないので、マイクにもよく入りません。通らない声でコントロールしにくいから疲労をもたらすのです。それを体が動いて(腹筋が動いて)呼吸が楽に声になるのが理想です。
声帯における発声の原理を説明しておきましょう。声帯は二枚の筋肉のひだでできています。それが合わさったときに空気が出ると音となります。唇をブーと震わせたような感じを思い浮べてください。
このとき、声唇がきちんと合わさっていないとよい声になりません。弱く合わさっているときは、弱い息での弱い音にしかなりません。強い息なら音が飛んでしまいます。
大きな声が出るためには、深い息と、それを声に変える力が必要なのです。息を吐く力と声門を閉じる力が大切な役割を果たすのです。単に息が出るだけでは音となりません。その息に対抗して、その息を声に変える働きがあるわけです。共鳴ではなく、共鳴の元、芯のところを捉えるのです。
これを司るのは、声帯の筋肉ではありません。横隔膜で腹式呼吸になるのです。こういう点からも、声-息-体が一つに結びついたイメージをもつことの必要性がわかります。
声が大きくても、それをコントロールして使い切れなくては仕方ありません。息が強く吐けても、体が強く使えても、それだけでは、まだ何ともなりません。
そうでなければ、スポーツ選手なら皆すぐれたヴォーカルになれることになります。ヴォーカリストは、ヴォーカリストに必要な体づくり、息のトレーニングや声づくり、さらに音楽的センス、声の加工、音程、リズムなどが、さまざまな要素が必要です。
そのために、
(1)体-息の結びつきをつけるのが、息吐きのトレーニング、
(2)息-声の結びつきをつけるのが、ことばの読みのトレーニングです。
それを一致させて、少しずつ、
(3)体-息-声 を一致させて使うことを覚えていくのが、フレージングのトレーニングです。