[深い息を確実にせりふにするトレーニング]
歌う声が、話す声ほどにも出ないのは、高い声域やそこの発声を意識する場合が多いようです。
一方、俳優やアナウンサーなど、長年にわたり、声のトレーニングをきちんとしている人の声は、とてもよくなっていきます。いわば、プロの声になっていくのです。
まずは話せるところで、お腹からの声を出せる感覚をつかみましょう。
どんなに身体が使えても、息を吐くことができても、それが声にならなくては使えないのは確かなことです。つまり、息が声になる効率がよくなくてはなりません。
それで初めて10の身体から10の声が出せます。20の力を使え20が声になるのです。
そこで喉にひっかからないようにすることと、お腹を使うことを意識しながら、次のトレーニングをやってください。特に、話す声は大きいのに、歌う声は小さくなりがちであるというような人には、このトレーニングは有効です。
1.まず、普通に話してみてください。「おはよう」でも「だるまさんがころんだ」でも何でも構いません。
2.次にそのことばをテーブルをはさんで向こうにいる相手に投げかけるつもりで出してみてください。イマジネーションで相手を思い浮かべてやりましょう。
3.さらに、その相手を、2~3メートル先に離して、同じようにしてみてください。
後は、5~10、20、30メートルと、どんどん離していきます。徐々に大きな声でないと相手に聞こえなくなります。このときもカン高くなるのでなく、太くドスの効いた声というイメージをもって出すとよいです。
身についてくると、小さな声でも伝わるようになってきます。それが、身体で声が支えられているということです。
トレーニングは、マックス(最大限)の力で器のマックスをめざし、自分の限界を破ること、次に、ミニマム(最小限)の力で、マックスの効果をめざしていきます。発声やヴォイストレーニングでは、この流れを忘れられがちなので、注意しましょう。