○声域より声量を
自分の話している高さの音をピアノの真ん中のドくらいとします。
(人によってはラーミくらい、男性は、実際は、その一オクターブ低い)
このときに、たとえですが、50のレベルの声量があったとします。すると、初心者はその上のソが30くらい、一オクターブ上のドになると、15ぐらいの声量となります。
発声練習では、さらに、そのドの上にあるミが10ぐらい、ソが5ぐらいとなっても、そのまま声の届く線で伸ばして声域を広げようとします。
これが歌になると、一番弱い線でそろってきます。
ですから、上のミやソを使う限り、すべて10以下の声量でしか歌えなくなるのです。
下のドだけなら、50も出るはずなのに、その音でさえ歌のときには10~30になってしまうのです。
今、最大に出せる声を使えず、高音で出にくい音の声量に合わせていく練習では、声量がついていくことはありません。体が離れてしまっているからです。
声域だけを考えると、声量や音色など他の要素を無視した練習になるのです。声域が広がっても、どこも歌として通用しません。
まず、下のドの50を80に近づけましょう。
同時に少し高いソの30も50くらいに近づけていきます。
最初は、一オクターブ上のドを上限として、そこまでの一オクターブすべてが50に出るまで、それより先の高音に進みません。
すると、それができた時点で少なくとも50の音量で一オクターブを歌えるわけです。
その一オクタープでも充分に聞かせられます。
それから、その一オクターブを100に近づける、同じことを上下の声域に少しずつ広げていけばよいのです。
※歌で高い声域を使ってみることはかまいません。練習のメインにしないということです。