音大生の歌うポピュラーが、歌にならないのは、説明できます。
声楽科の学生は、発声での器をつくっているのです。
発声中心で、歌うということが、まだついてきていないのです。
そこは、ヴォイトレであって歌唱ではないのです。
器を大きくしながら、その器を使いこなそうというのは、
不安定なプロセスですから、至難の技です。
その器を扱い切れないままに、声の出る声楽家よりは、
声量のないカラオケのベテランやアイドル歌手の方が
バランスがとれるので、うまく聞こえるのです。
それは、歌の印象というのが、まとめる力によるからです。
器の小さい人は、小さいからまとめやすいのです。
ですから、すぐに歌えるようにはなります。
しかし、そこから先には行けません。
これに反する例もありますが、
それは、声のハンディを補うものがある場合に限ります。
たとえばアイドル歌手は、そこをアイドルというかわいさ、かっこよさと
プロダクションの力で補っているのです。
アイドル歌手を見て、あのくらいなら歌えるというのは、比べても意味がないのです。
ルックスがあってこそ成立するのです。
それも立派な才能です。
その他にも、
詞や曲のよさやステージの斬新さで
もっているシンガーソングライターも、
たくさんいます。
ヴォーカリストの力というのは、
その人の総合力、ステージでの演出力ですから、それでもよいのです。