難しいのは、プロの体でない人には、
プロの身体になったときの声の出方というのが、
最初は見当もつかないということです。
もしそれができていたら、オペラや長唄、詩吟など、
他の分野の発声の感覚も、およそわかるはずです。
自分の声というのは、自分だけが、生でリアルタイムで聞くことのできないものです。
自分が出している声は、内耳を通っていますから、他の人が聞いている声と違います。
この声を正しく判断するのは、最終的には体の感覚によります。
耳でなく体にどう感じて声が出ているかが、頼りの綱となるのです。
こういう意味でも、体を使って声を出すことに重きをおくことの大切さがわかるでしょう。
ただでさえ、チェックのできない自分の声を、
まだプロの体になってない体で感じるということは、不可能なのです。
そこで、最初は、ヴォイストレーナーなどの他人の客観的な判断が大切になるのです。