声、語り、歌、ヴォイストレーニング1日1話

声、語り、歌、ヴォイストレーニング1日1話

歌手、声優、俳優、芸人、ビジネス、一般、声に関心のある人に。
プロ、トレーナーも含め、トップレベルのヴォイトレ論を展開します。

ブレスヴォイストレーニング研究所 https://www.bvt.co.jp/
 

ヴォイストレーニングにヴォイトレということばが普及したにも関わらず、

声を育てる環境はまったく整っていないと思います。

 

ヴォイストレーニングに関する情報は、ピアノやギターなど他のパートに比べて、とても少ないです。しかも、そのほとんどは、かなりレベルが低く入門用ばかりです。

 

相変わらず、ヴォーカリストや俳優、声優、アナウンサー、ナレーターになりたい人は、

山ほどいます。

YouTuberにVtuberなども加わり、声のプロをめざす人は、増えました。

 

つい20年ほど前まで、日本では、声に関する本は、ほとんど出ていませんでした。

楽曲集でも、曲順でピアノの弾きやすい順に並んでいる教本はあっても、歌いやすい順番に編纂されているようなものは、ありません。☆

 

ヴォーカリストさえうまければ、すばらしい音楽を聞かせてくれると期待されるバンドはたくさんあります。かつて、ここに送られてきた作品も、他のパートの演奏ではプロ顔負けのものがたくさんありました。

日本の音楽の第一の課題は、歌い手といえる状況が続いているのではないでしょうか。

となると、最も必要なのは、声のトレーニング、つまり、ヴォーカリストの育ちやすい環境を整えることではないでしょうか。

基礎のトレーニング・メニューの目的です。

 

1.高い音まで聞いて息を出すトレーニング

ある程度まで、高いところほど息も身体も使うという感覚にします。

ここでいう高いところとは、会話の音域(話声域)であり、歌手のハイトーンや裏声、ファルセットのような高音域ではありません。

 

2.低い音(1オクターブ)を聞いて「声の太さ」※を調整します。

高いところほど、強い息を吐き、身体を使う感覚を身につけます。

 

3.高いところで吐くようにすると、声(のポジション)がとれなくなります。

しかし、そこでとれるように、高い音でも息が吐けるようにしていきます。

そのために「声の芯」※、「声のポジション」※を確実にとる必要性があります。

 

4.発音、アクセントや、声をまとめたり、声をひびかせて「音にあてる」※ことより、息を吐いて、声を出せることを優先します。

 

5.声の器(身体や呼吸)を優先的につくっていきます。

あとで声を大きくするのはかえって難しくなるからです。

 

6.発声では、5音であっても、5音を1つと捉え、そのなかで音をおいていく感じにします。

レガートやヴォカリーズ(母音で歌う)などで、もっとも基本的な「フレーズデッサン」※です。

 

7.まとめる時期について

器を大きくし、声を強くするためには、急がないことです。

できるかぎり時間をかけた方がよいです。

数年間、トレーニングを積み、いつでも声が出るようになったら、声を出すこととせりふをいうことと歌うことは、一致してきます。

 

8.息の量と声の輝き(ひびき)

息をいくら吐いても、声を放さない強い身体をもつことです。

その際、余計な力が抜ければ、声は共鳴してきます。

それは強くしなやかでやわらかいひびきです。

 

 

point 

 

日本人の弱い浅く、すぐに喉に負担のくる声と、

役者や海外のヴォーカリストの身体からの太く強いパワフルな声との差を知り、

埋めていくようにイメージするとよいでしょう。

 

 

※声の太さ・・・太い声というときの太さは、ヴォリューム感のある豊かな声、胸声を伴います。

※声の芯・・・声のなかに、線が走っており、芯のようなものが一本通っているというイメージです。

※声のポジション・・・共鳴しているところの中心に感じる芯のようなものです。

※音にあてる・・・ピッチ(音高)にあわせる、つまり、楽譜の音符の高さにヒットさせること。

※フレーズデッサン・・・ここでは絵画でいうところの習作時の線画のようなものと考えてください。

次のような用語は、私のヴォイストレーニングで、よく使うものです。

一般的に使われているものではありません。

そこからも、その差異がわかるでしょう。

 

「声の(声になる)ポジション」…共鳴しているところの中心に感じる芯のようなもの

「声の芯」…声のなかに、その声をつかみ、動かせる線が走っており、芯のようなものが一本通っているというイメージ
「ベターな声」…その人の今の理想の声
「ベストの声」…その人の将来の理想の声(必しも今、一番使いやすいものでない。可能性のある声。)
「最下音声」…その人のもっとも低い声(発声練習の低声より、低い)
「音楽的日本語」…深い声のポジションでとった日本語(ベテラン俳優やイタリア人の声に近い)
「メロディ処理」…メロディを意識せず、ことばにメロディが伴うようなフレーズの処理(言語感覚でのフレーズ、シャウトもその一つ)

 

口先だけの発声でコントロールしようとすると、

表現が凝集されず、解放もされません。

声としての魅力も表われにくいでしょう。

 

 外国人は、心に何かを感じたら、

身体からの息を吐くことで、

しっかりと声をつかんでいるから、

身体からの息で、その声を動かして、

それが描いた線が、せりふや歌のフレーズとなります。

 

 日本人の発声は、感情や欧米の音楽のイメージを

口先だけの消化で終わってしまい、

声の魅力、技術が伴っていないことが少なくありません。

 

 これらの差を埋めていくのが、

ヴォイストレーニングだと思ってください。

 

以上のことを

念頭においてトレーニングすると、よいでしょう。

 

 リズム感は、呼吸のなかで感じる時間であり、

一つひとつの拍がとまっているものではありません。

 

日本人は、声を点として音にあてる傾向があります。

それでは、ノリが出にくいのです。

 

外国語(英語など欧米語)の言語アクセントは、強弱で、メリハリで進みます。

息の流れから、しぜんと動きや線がみえるのです。

 

 音程についても、同じことがいえます。

日本人が音程をとるとき、二点の離れた点をあてて結び付けようとしますが、

外国人は強弱のフレーズのなかでスムーズに移行します。

 

 いうまでもなく、欧米の言語アクセントで生まれた歌の音楽が、日本に輸入されて、

そのリズム、メロディに日本語をつけたのですから、

無理があり、そのままでは、ふしぜんにならないほうが、おかしいのです。