声、語り、歌、ヴォイストレーニング1日1話

声、語り、歌、ヴォイストレーニング1日1話

歌手、声優、俳優、芸人、ビジネス、一般、声に関心のある人に。
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ブレスヴォイストレーニング研究所 https://www.bvt.co.jp/
アーカイブ版「一流になるための真のヴォイストレーニング」https://vccarchive.hateblo.jp/ 

〇努力が結果につながらない理由

 努力しているのに上達しない人は少なくありません。
しかし、その努力が正しい方向を向いているとは限りません。
例えば毎日一時間歌っていても、毎回喉を締めて歌っていれば、その締める癖だけが強化されていきます。練習量は増えても、身体は誤った使い方を学習してしまうのです。

 人間の身体は繰り返した動作を記憶します。良い動作も悪い動作も区別せずに覚えてしまいます。そのため間違った発声で長年練習すると、誤った発声が身体に定着してしまいます。

 量よりも質が重要です。正しい呼吸を一回体験することは、誤った発声を百回繰り返すことより価値があります。まず身体が本来持っているしぜんな呼吸を取り戻すことが必要なのです。
 

〇何年やっても上達しない人

 

 歌を長く続けているにもかかわらず、なかなか上達を実感できない人がいます。十年歌っていても初心者の頃と大きく変わらない人もいますし、反対に数年で大きく成長する人もいます。この差は才能だけで説明できるものではありません。

 この状態は、まるで永久初心者のようです。

 

 永久初心者とは、経験年数は長いのに、根本的な発声や呼吸が変わらず、同じ失敗を繰り返している状態です。本人は努力しているつもりでも、身体の使い方が変わっていないため、結果が変わりません。

 

 多くの場合、この永久初心者は声だけを操作しようとしています。喉を開こう、響かせよう、高音を出そうと意識するあまり、呼吸や身体全体の働きを見失っています。その結果、表面的な技術ばかりが増え、根本的な成長が起こらないのです。

〇才能神話を超えた先に

 

 才能を信じている間、人は才能に縛られます。

才能があるかないかを気にし続けます。
 他人と比較し続けます。
 評価を恐れ続けます。

しかし、才能神話を手放した瞬間、歌はもっと自由になります。

 

うまく歌うためではなく、歌うことそのものが楽しくなります。

評価されるためではなく、表現することが喜びになります。

福島英がめざしているのは、その状態です。

呼吸が自由になる。
 身体が自由になる。
 心が自由になる。

その結果として声が自由になります。

 

そして自由な声こそ、人の心を最も深く動かすのです。

歌の成長とは、技術を獲得する過程であると同時に、

自分自身を解放していく過程でもあります。

才能を超えたところに、本当の歌う喜びが待っているのです。

〇個性は才能より価値がある

 

 歌の世界では才能が語られることが多くあります。
しかし才能以上に大切なものがあると言います。
それは個性です。

どれほど技術が優れていても、誰かのコピーでは人の心を動かせません。
反対に技術が完璧でなくても、その人らしい声には大きな魅力があります。
声には人生が現れます。

 経験した喜び。
 苦しみ。
 挫折。
 希望。
それらすべてが声に滲み出ます。
だから声は世界に一つしかありません。

 才能とは、比較の言葉です。
しかし個性は存在そのものです。
比較する必要がありません。

 ヴォイストレーニングは、優劣を競うためのものではありません。
その人自身の声を発見するためのものです。
本当の魅力は、誰かになることではなく、自分自身になることから生まれるのです。

 

〇苦手意識は思い込み

 

「私は高音が苦手です。」
 「リズム感がありません。」
 「声量がありません。」

こうした言葉もよく聞かれます。

 

 しかし、話を聞くと、過去の失敗体験が原因であることが少なくありません。

高音が出なかった。
人前で失敗した。
先生に注意された。

その経験が強く残り、自分にはできないと思い込んでしまうのです。

 

 苦手意識の多くは身体の問題ではなく認識の問題であると考えられます。

思い込みは身体を緊張させます。

高音が怖いと思えば呼吸が止まります。
 失敗が怖いと思えば喉が締まります。

その結果、本当にできなくなってしまいます。

 

 これは能力の問題ではなく、心と身体の関係による現象です。

だからこそ呼吸が重要なのです。

 

呼吸が深まると不安が減ります。

不安が減ると身体が自由になります。

身体が自由になると、今までできなかったことができるようになるのです。