声、語り、歌、ヴォイストレーニング1日1話 -2ページ目

声、語り、歌、ヴォイストレーニング1日1話

歌手、声優、俳優、芸人、ビジネス、一般、声に関心のある人に。
プロ、トレーナーも含め、トップレベルのヴォイトレ論を展開します。

さらに学びたい人は、一流になるための真のヴォイストレーニング https://vccarchive.hateblo.jp/

○高音域づくりのステップ(1オクターブ上のドまで)

 

ここでは3つのレベルに分けて説明します。

 

1.声にする深いポジションをつかまえておく

2.お腹からの深い息をキープする

この2点を常に注意してください。

 

<レベル1>

同じ息の強さ、身体の使い方で音を上げていくと、ほとんどの人は、

声にするところが胸から喉もとへあがっていき、声になりにくくなります。

浅い息しか吐けなくなります。

お腹も使えなくなり、喉がしまって上がってきます。

または、声だけが浮いてひびきます。

その結果、声は細かくかん高くなっていきます。

こういう場合は、まだ高音域の練習にはいらない方がよいでしょう。

 

<レベル2>

高くなるほど、声にするポジションを喉をあけ、

身体の支えで、お腹の方へ下げるようにするとよいでしょう。

声の質をなるべく変えないように気をつけてください。

身体に余分な力が入っているうちは、上の方へはまだひびきませんが、

中音域まではしっかりした声が身体からでるようになります。

声量、声域は、身体で支える使い方ができてくると、大きく広くとれるようになります。

 

<レベル3>

声になるところは、胸の深いポジションですが、

上半身はリラックスしているので、頭部の方まで共鳴します。

高いところも低いところも、芯の通っている声で支えられていて安定しています。

声を息にうまくのせていくこと、そこでの声の動きをイメージからコントロールしてください。

 

 

注意事項

<レベル1>

音を上げていく練習では、階段をあがっていくようにとらえず、

同じ直線上を徐々に踏んでいくように考えたほうがよいでしょう。

 

<レベル2> 

声と息が一致するところを集中的に行うことは、声量や声域、

つまり声の器を大きくするトレーニングとして効果的です。

 

<レベル3> 

上の方で声は焦点をもってひびいていて、深い息が流れている状態、

きちんと息が底についているのが理想的です。

それ以上、高い域には胸の支えがあって、すぐに戻れたらよいのです。

低中音域と同じように胸部が響くわけではありません。

(高音はくれぐれも無理に力でやらないように)

○中音域の完成後に高音をのせる

 

一番高い音を出して、その音から上ばかりを出そうとがんばっている人が少なくありません。その場合、よほど気をつけなくては逆効果となってしまいます。

まず、出している一番高い音が喉をつめずに楽にひびいているかをチェックすることです。

ほとんどが力まかせに喉声かあてただけの声になっています。

 

そうでなければ、胸に支えのない浮き足だった芯のない声を出しているかです。

声の力を抜くことで、即成栽培したものを完成した声と思っている人も多いのですが、そういうことなら、誰でもすぐに、それっぽくはできます。

しかし、これではカラオケ、エコー頼りの普通の人の声から抜けられません。

 

きちんとした中音域の声の上にしか、迫力ある高音(中高音)はのりません。

高音をより伸ばすためには、この中音域を充分に完成させなくてはいけないのです。

そこで本当にプロのように表現力をもてたなら、おのずと先へ進むことになるでしょう。

(ハイトーン、裏声、ファルセットは別です。)

 

高い音をとるためだけに、鼻に浮かせたような弱々しい声や力だけでもっていった雑な声が、

どうして歌に使えるでしょうか。

とはいえ、現実には、そういう軽く細い声で共鳴がなくても、

音響技術に頼って人にみせられるプロやトレーナーはいます。

 

しかし、その方が、生来の声の質から問われ、先の可能性としては難しいことを知ってください。

何とか音に届くようにはなっても、それを使いこなすのも、

それで認められるのも、相当難しいことだからです。

 

いつも考えて欲しいのは、あなたにとってどうかということです。

そして、トレーニングによって変えられるところに絞り込むということです。

高音、高音と、音域を広げたいのはわかります。

しかし、へたに発声のくせを、無理な音域でつけていくと、

長年やっていれば声になってくるはずの中低音域の声までも荒れていくなら、大して変わりません。

それで自分の才能のなさと決めつける結果となってしまうのは、あまりにももったいないことです。

 

ピッチ(音高)だけに正しく届かせている芯のない声は、

ひびいても弱々しく、ことばとして歌うにはパワーに欠けます。

細くとも芯のしっかりした発声が基本だということを、忘れないでください。

 

○中音域から高音域へ

 

多くの人は、中音域で出ている声が上にいくに従って、か細くカン高くなってしまいます。

キンキン声になることはあっても、パワーとコントロール力に欠けてしまいます。

そうなると、力づくでもっていくか、抜くか、あてるか、です。

どれも応用段階でしぜんとやれたらよいことですが、トレーニングでの中心課題とは違います。

 

といっても、そこからはじめてみる方がよい人もいます。

ただ、大半はそのような状態では、ことばをきちんということも、メロディラインをしっかりとることも、厳しくみると、うまくいかないはずです。

高音のトレーニングのつもりでやっていても、ただ無理に固めて発声にくせをつけかねません。

 

私は、くせのついた声の歌唱も否定していません。

しかし、トレーニングではなるべくさけるべきです。

原則として高音のトレーニングは、低音域や中音域がある程度コントロールできるまで、待つべきです。

 

高い音ばかり1オクターブも充分に出ないうちに出していると、

いつまでたっても、音域が広がったりせばまったりして安定しないものです。

声が高い音に届くだけでは仕方がないのです。

 

どんな声でもよければ、誰でも3、4オクターブ出せます。

歌に充分に使える声でなければ何にもなりません。

そのためには、中音域で声を身体に理解させ、無理なく深い声が出るようにしていくことです。

 

上のC(ド)(女性ならa(ラ)でよい、個人差がある)までのトレーニングを徹底して行ないます。それより半オクターブも高く出せる人でも、声が充分に扱えていないと思えば、ベースの1オクターブでやるとよいでしょう。

 

中音域を楽々と自由に歌えるところまで、身体とフォームをつくりましょう。

最初は、細い声でしかとれなかった中音域が、しっかりとした太い声でとれるようになってきます。

そして、高音域をかなり使える力がついてくるのですが、急がず、1オクターブのなかで繰り返します。

「この音域を出すだけならOK、しかし、高音域のベースとするには、まだ足らない」ということです。

 

高い建物や高い木には、土台とその下にしっかりした根(芯)がなくてはなりません。

「ブレスヴォイストレーニング」とは、そのベースの声の徹底的なトレーニングなのです。

高音域を充分にコントロールできる力があり、歌ではかなり自由に声を使うことができていたら、

歌の表現から、徹底した声のチェックに入るとよいでしょう。

(トレーナーがいるなら、そこから入るのも、早いやり方です。)

ベースにかけた年月と基準への厳しさが、その人の器、可能性となります。

私は、低音域だけでヴォイストレーニングを続けていても悪くはないと思っています。

 

歌っている中で、ヴォイストレーニングができるのは、かなりのレベルになってからです。

(一曲歌うよりも、まず、歌のそれぞれのフレーズからヴォイストレーニングしましょう。)

 

基本の中に全ての応用問題の答えが詰まっています。

自分の声の根源に耳をすまし、内側の声を聞くこと、

それによって自分のオリジナリティや築き上げていく世界の姿もわかってきます。

何をどのように歌えばよいのか、生身の身体と声が教えてくれます。

ことばや曲になっていなくても、そこには深い意味が、歌が音楽に横たわっているのです。

 

 

 

○決め手は、魅力的な表情

 

アーティストにとって、もっとも大切なのは、存在感です。

その人がいるだけでまわりが元気に明るくなるということです。

ステージでは、あなたからパワーが飛んでこなくては成り立ちません。あなたの存在感がどう出るかです。オーラのある声は、あなたの表情、動き、テンションに支えられます。

 

笑顔が素敵というだけでも、無表情なのよりはずっとよいでしょう。

人は生き生きした状態では、血液の循環がよくなり、身体が柔軟に動くし、眼が輝いてみえます。

何かを一所懸命にやっていると、誰でも魅力的に見えてきます。格好よく、美しく行なってください。

無我夢中で一所懸命にやることを、どれだけ続けるかということです。

 

つまらない顔をしていたら、つまらない顔になります。

そんな顔をだれも見たいとは思わないでしょう。レッスンでも同じです。

あなた自身のチャームポイントや魅力的な表情を知っておきましょう。何かを伝えるために表情を自在にコントロールできるようなトレーニングをやっておくとよいでしょう。

顔の造作の大きさは、俳優と同じく有利なものです。

 

[表情のトレーニング](顔の表情に加えて身体一杯で表現してみてください)

1.うれしく   5.あきらめて   9.苦しく    13.恨めしく

2.おかしく   6.冷たく     10.痛々しく   14.あきれて

3.悲しく    7.親しく     11.ときめいて  15.死にそうに

4.怒って    8.なつかしく   12.ほほえんで  16.ふっきって

(特に1、2を繰り返してください)

 

[ミラーフェイストレーニング]

これは、鏡を使って顔の筋肉をできるだけ自由に働かせるようにするためのトレーニングです。発音、共鳴に関しては、普段使わない顔の筋肉を柔らかくしておいた方がよいからです。

スポーツの柔軟体操やランニングにあたります。

あご、くちびる、顔、口の中と、動く範囲内でいろいろな表現をしてみてください。

日本語の発音トレーニングも行ってください。表情たっぷりに表現する練習をしましょう。

 

[半オクターブを仕上げるトレーニング(5音を同じトーンにする)]

 

息を吐き、そこからしぜんに息がお腹に入るのを待ち、入ったのを確認して、次の音を出すようにするとよいでしょう。直線的にぶつけるのでなく、それを大きな円の循環のなかに加えるような感じにしましょう。

ポジションが変わってしまう場合、大半は、喉の方へあがってしまうのですが、これは、第一に、息をしっかりとお腹に維持していないからです。

 

第二に、喉が開いていないからです。あごをひき、のど仏の下がっているのを確認しましょう。

中音域になったときに、口が開いてきたら、要注意です。

あまり、口を開けないように行うことで、身体で負担を保つことができるし、「イ」や「ウ」の音も同じように出せるようになります。

 

1.ドレミファソを「ラ」でつなげます。

まず、ドの音をしっかりと胸に入れて、発声します。

そのポジションを最後のソの音まで維持します。

1音ずつ胸もとから、喉もとへポジションが移動しないように気をつけてください。

これで、半オクターブを上下降します。(胸に押しつけるのとは違います)

 

2.ソファミレドを「ラ」でつなげます。

まず、ソの音をしっかりと胸に入れて、発声します。

これができなければ、やりやすい音域に下げてから始めてください。

ソの音とドの音の出し方が変わらないように気をつけてください。

同じく、これで半オクターブを上下降します。

 

3.次の順に行うのもよいでしょう。(全て半オクターブ内での上下降)

1)ハッハッハッハッハッ

2)ラッラッラッラッラッ

3)ラァラァラァラァラァ

4)ラーラーラーラーラー

5)ラ(ーああああ)ー