<今年の前期試験でまた出題されそうな過去問分析【復刻版】社会福祉(福祉サービスの情報提供等)-過去問検討の目的>
【令和4年(後期)社会福祉 問16】
次のうち、「社会福祉法」で定めている福祉サービスの情報提供等に関する記述として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 社会福祉事業の経営者に対して、福祉サービスの利用者が、適切かつ円滑に福祉サービスを利用することができるように、その経営する社会福祉事業に関する情報の提供を行うよう努めなければならないと定めている。
B 国と地方公共団体に対して、福祉サービスを利用しようとする者が必要な情報を容易に得られるように、必要な措置を講ずるよう努めなければならないと定めている。
C 利用者から実際に福祉サービスの利用契約の申込みがあった場合、社会福祉事業の経営者は、利用者に対して、福祉サービスを利用する事項について説明するように努めなければならないと定めている。
D 社会福祉事業の経営者は、利用契約が成立した際に、利用者に対して、定められた事項を記載した書面を交付しなければならないと定めている。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ×
4 × ○ ○ ○
5 × × × ○
【解答・解説】
A 適切
「社会福祉法」第75条第1項
「社会福祉事業の経営者は、福祉サービスを利用しようとする者が、適切かつ円滑にこれを利用することができるように、その経営する社会福祉事業に関し情報の提供を行うよう努めなければならない。」
B 適切
「社会福祉法」第75条第2項
「国及び地方公共団体は、福祉サービスを利用しようとする者が必要な情報を容易に得られるように、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」
C 適切
「社会福祉法」第76条
「社会福祉事業の経営者は、その提供する福祉サービスの利用を希望する者からの申込みがあった場合には、その者に対し、当該福祉サービスを利用するための契約の内容及びその履行に関する事項について説明するよう努めなければならない。」
D 適切
「社会福祉法」第77条第1項
「社会福祉事業の経営者は、福祉サービスを利用するための契約が成立したときは、その利用者に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。」(以下省略)
以上より、正解は1となります。
【コメント】
「社会福祉法」の重要条文そのままの問題であり、落としてはいけない問題です。
今後、何度でも出題され得る条文です。
ただ、先日の
<また出る過去問分析 社会福祉(社会福祉の理念)>【令和4年(後期)社会福祉 問4】
で申し上げたように、クセが強く、読みづらかったと思います。
各記述に、主語(「社会福祉法」または国会)がないんですね。
冒頭文に「「社会福祉法」で定めている」と書いてありますが、これはこれで、主語がありません。
A・Bと主語がなく、Cに至って、ようやく「社会福祉事業の経営者は」と主語らしきものが現れたと思いきや、最後の述語が「(・・・と)定めている」なので、やはり主語はありませんでした。
条文では、
A 「社会福祉事業の経営者は」
B 「国及び地方公共団体は」
C 「社会福祉事業の経営者は」
D 「社会福祉事業の経営者は」
と、主語を明確にして定められているのに、
この問題では、A・Bについてだけ、
「~は」→「~に対して」
と言い換えており、一貫性もありません。
全部「○」の組み合わせが正答となることだけで、不合理に正答率が少し低下するうえに、この読みづらさでは、実力を額面どおりに発揮できなかった受験者も少なくなかったのではないかと思います。
「社会福祉」では、このような問題が多いことも、合格点を取りづらいことの一つの要因になっているものと考えられます。
明白な誤植でない限り、「全員正解」とはなりにくくなっているので、このような「読みづらい」問題があることを前提に、「問題作成者が意図する正答」に近い「組み合わせ」を選ぶという対応が必要となります。
「試験機関が公表した正答」ありき、で過去問を勉強していると気づくことは難しいのですが、このように、「問題作成者の意図を汲み取らなければならない問題もある」ということを知ることも、過去問検討の重要な目的になっているのだと思います。
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