毎回同じような内容となってしまいますが、追い込み学習のメリハリをつけていただくために、「社会福祉」に続き、「子ども家庭福祉」について、優先学習事項(出題予想事項)をあげてみたいと思います。
20問分を網羅することは難しいので、何問分か、得点を上乗せする、という気持ちでご覧ください。
これだけが出る、という趣旨ではありません。
なお、ほぼすべて、「社会的養護」でも出題可能性の高い事項ですので、「社会的養護」対策としても参考にしていただけると幸いです。
「出題範囲」の項目順にこだわらず、重要性が高いと思われる事項からピックアップしてまいります。
1 子ども・子育て支援新制度
昨年の10月1日からスタートした幼児教育・保育の無償化は重要です。
ただ、「幼児教育・保育の無償化」と簡単に言っても、制度としてはかなりややこしい作りとなっており、「子ども・子育て支援法」の条文ベースで制度を理解するのは難しく、条文ベースの細かい事項は問われないものと思われます。
ですので、
「子育てのための施設等利用給付」が創設されて、幼児教育・保育の無償化がスタートし、幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3~5歳児、住民税非課税世帯の0~2歳児の利用者負担が、一定の条件のもと、無料となった、
という程度のことを押さえておけば足りるのではないかと思います。
その他、これまでどおり、施設型給付と地域型保育給付の区別、1号認定・2号認定・3号認定の違いなどの基本的な事項は押さえておきましょう。
また、「利用者支援事業」や「放課後児童健全育成事業」をはじめとする「地域子ども・子育て支援事業」(13種)については、穴が生じることのないよう、手広く押さえておいたほうがいいでしょう。
これらの事業全般については、昨年の4月17日の記事
<「地域子ども・子育て支援事業」等>
をご参照ください。
なお、「地域子ども・子育て支援事業」に含まれる「利用者支援事業」・「地域子育て支援拠点事業」と、「子ども・子育て支援新制度」関連事業である「子育て支援員研修事業」については、少し細かい内容まで出題される可能性が高いので、できれば、下記の通知に目を通しておいていただきたいと思います。
「利用者支援事業の実施について」(内閣府・文部科学省・厚生労働省通知)
「地域子育て支援拠点事業の実施について」(厚生労働省通知)
「子育て支援員研修事業の実施について」(厚生労働省通知)
2 母子保健
「母子保健法」に基づく典型的な問題のほか、
● 子育て世代包括支援センター(「母子保健法」上の母子健康包括支援センター)
● 産前・産後サポート事業(および産後ケア事業)
に要注意です。
いずれについても、制度の概要、おおまかな構造だけ押さえておきましょう。
「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」(厚生労働省)
「産前・産後サポート事業ガイドライン/産後ケア事業ガイドライン」(厚生労働省)
特に、「子育て世代包括支援センター」は、「利用者支援事業」との関連もあり(<児童家庭福祉 過去問分析(利用者支援事業、子育て世代包括支援センター)>参照)、「母子保健」を超えた重要性をもつ制度として扱われています。
ただ、「子育て世代包括支援センター業務ガイドライン」では全体像をつかむのが少し難しいので、ガイドラインは見ずに、下記の資料でイメージを把握しておいたほうがいいかもしれません。
「「子育て世代包括支援センター」と利用者支援事業等の関係等について」(厚生労働省)
3 健全育成
「放課後児童健全育成事業」が「子ども・子育て支援新制度」の扱いとなったので、「健全育成」の項目では、「児童館ガイドライン」(平成30年10月1日改正)の出題が予想されます。
「児童館ガイドライン」は、なぜか、よく出題されてきています(「子ども家庭福祉(児童家庭福祉)」・「社会的養護(養護原理)」)。
「児童館ガイドラインの改正について」(厚生労働省通知)
全部の内容を押さえるのは難しいので、第1章「総則」を中心に、重要そうな箇所にだけ、目を通しておきましょう。
4 市区町村子ども家庭総合支援拠点
根拠条文は、平成28年の改正で加わった次の条文です。
「児童福祉法」第10条の2
「市町村は、前条第1項各号に掲げる業務を行うに当たり、児童及び妊産婦の福祉に関し、実情の把握、情報の提供、相談、調査、指導、関係機関との連絡調整その他の必要な支援を行うための拠点の整備に努めなければならない。」
「市区町村子ども家庭総合支援拠点の設置運営等について」(厚生労働省通知)
やはり、全部の内容を押さえるのは、困難かつ不要なので、「2.実施主体」「3.対象」「5.設置形態等」「6.職員配置等」だけでも目を通しておきましょう。
5 統計・白書・○○プラン
(1) 統計
統計問題については、「聞いたことがない調査名」を見て、戦意を喪失してしまう方も多いと思いますが、問題数(配点)から考えて、深追いすることは非効率的なので、
● 平成30年 人口動態統計(合計特殊出生率1.42など)
● 平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果
● 平成30年度 福祉行政報告例
を押さえて、あとは消去法などによる現場対応に委ね、得点を計算しないほうが効率的かと思います。
(2) 白書
何らかの白書等からの出題が続いているのですが、保育士にとって、例えば「犯罪白書」を読んでいることが必要なのか、疑問がないわけではありません。
ただ、「○○白書に関する記述」の体裁をとっていても、内容的には子ども家庭福祉の制度に関する典型基本問題にすぎない場合もあるので、加点の期待はせずとも、食らいついていくことが大切です。
(3) ○○プラン
● ニッポン一億総活躍プラン(平成28年6月2日 閣議決定)
「ニッポン一億総活躍プラン」については、子ども家庭福祉関連では、「希望出生率1.8」、「働き方改革の実現」などがキーワードとなりますが、「ニッポン一億総活躍プラン」自体は、子ども家庭福祉だけに関するプランではないので、さすがに全文に目を通す必要はなく、むしろ手をつけるのも有害ではないかと思います。
インパクトはあるものの過去の出題は少ないので、テキストに載っている最低限の事項を押さえておけばいいでしょう。
● 新・放課後子ども総合プラン(平成30年9月14日 文部科学省・厚生労働省)
≪概要等≫
8月の神奈川県試験でも出題されていますが、それを理由に避けられることはないと思います。
やはり試験的には全文は必要ないので、概要部分のみか、テキストに載っている最低限の事項を押さえておけばいいでしょう。
6 基本的法令等
(1) 児童福祉法
「平成28年公布・平成29年4月1日までに施行」の改正事項の重要性はまだ変わらないと思いますので、「社会的養護」と同様に、下記2つの過去記事で、ポイントだけ押さえておけるといいでしょう。
<家庭と同様の環境における養育の推進>
<その他の児童福祉法の改正のポイント>
また、「社会福祉」と同様に、今年の4月1日施行の改正で「ただし書き」が追加された次の条文はしっかり押さえておきましょう。
「児童福祉法」第47条第3項
児童福祉施設の長、その住居において養育を行う第6条の3第8項に規定する厚生労働省令で定める者又は里親は、入所中又は受託中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童等の福祉のため必要な措置をとることができる。ただし、体罰を加えることはできない。
(2) 児童憲章、児童の権利に関する条約等
これらについても、全文を覚えるのは、出題量・出題可能性から考えて非効率的なので、お手持ちのテキストで抜粋されている条文くらいを押さえておきましょう。
7 人物・歴史等
1問分(5点)かとは思いますが、石井十次や石井亮一、留岡幸助、外国人ではバーナードらの重要人物とその業績(基本的なもの)、法令等の制定年(少なくとも前後関係)は押さえておきましょう。
法令等は、下記のようなものです。
● エリザベス救貧法(1601年)、児童の権利に関するジュネーブ宣言(1924年)、児童権利宣言(1959年)、児童の権利に関する条約(1989年)
● 恤救(じゅっきゅう)規則(1874年)、救護法(1929年)、児童憲章(1951年)
8 障害児通所支援
「障害児通所支援」とは、「児童福祉法」第6条の2の2に規定される児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援および保育所等訪問支援の5つのサービスのことです。
平成30年4月1日施行の改正法で追加された
● 居宅訪問型児童発達支援(児童福祉法6条の2の2第5項)
の定義をしっかり押さえておくといいでしょう。
「この法律で、居宅訪問型児童発達支援とは、重度の障害の状態その他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める状態にある障害児であって、児童発達支援、医療型児童発達支援又は放課後等デイサービスを受けるために外出することが著しく困難なものにつき、当該障害児の居宅を訪問し、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、生活能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。」
なお、例えば、「児童福祉法」と「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(「障害者総合支援法」)のどちらに規定されているサービスかを問うような問題も見られますが、その問題であれば、「児童福祉法」側のサービスを押さえておけば済むので、今から「障害者総合支援法」などにこだわるのは非効率的だと思われます。
9 少年非行
● 犯罪少年、触法少年、虞犯(ぐはん)少年の意義(少年法3条1項)
● 保護処分の内容(少年法24条1項)
などを見直しておきましょう。
10 事例問題
1問か2問ですね。
バイステックの7原則、「保育所保育指針」第4章「子育て支援」などに従って考えることになりますが、難しく考える必要はありません。
実質的に制度の知識のみを聞くような問題もありますが、通常は、個別化、傾聴・受容・共感、自己決定、結論を急がないこと、などを基準に「やさしい気持ちで」判断することになります。
「必ず・・・」、「保護者に指示した」というような強い表現のある記述は、まず「不適切」となります。
考えすぎても仕方がないので、問題作成者の意図・誘導に素直に従いましょう。
・・・といったところです。
優先順位を付けつつ、今やっている事項が出題されると考えてモチベーションを上げながら、集中していきましょう。
★ 保育士試験科目別対策教材の決定版!「保育士試験科目別リベンジセット」等販売中!
【ふくしかくネット公式ホームページ】
【Amazon(本-ふくしかくネット)】
【ふくしかくストア(Yahoo!ショッピング)】
にほんブログ村