【「一言の願い」がテーマ】
昨年末、第9回「はがきの名文コンクール」の受賞作が発表された。今年も約1万5千通の応募はがきが投函されたという(主催=はがきの名文コンクール実行委員会 協力=日本郵便㈱、奈良県御所市 後援=文部科学省、総務省、朝日新聞社)。審査委員は五木寛之(作家)さん、村山由佳(作家)さん、齋藤孝(明大教授)さん。
今年のテーマも例年と同じ「一言の願い」。みんなの胸の中にある願い事。奈良県御所(ごぜ)市にある一言主(ひとことぬし)神社の神様は、一言の願いであれば何でも叶えてくれると伝えられる。
その神様に因んで1枚のはがきに1つの願いが込められた応募はがき。大賞1名(100万円)、選考委員賞3名(各10万円)、日本郵便大賞15名(毎月1回ふるさと小包贈呈)、郵便名柄館賞10名(御所市の名産品セット贈呈)。
どれも感動的で胸を打つ29の受賞作の中から、私のお気に入りの2作品を紹介させて下さい。
【石黒 以津子さん(77才)/東京都=日本郵便大賞】
裏庭のビワの木は、五十六才で他界した夫の死を覚悟した時、形見になればと彼が口にした種をそっと植えたものです。
以来、ずっと夫と思って語り続けています。
十年後に初めて五十三個の実をつけてくれた時、「俺も頑張っているぞー」という誇らしげな夫の声、顔が浮かび、虫食いの実さえ愛おしく、彼としっかり繋がっている幸せに涙しました。
喜寿を過ぎた私をあなたの母親と見間違わないで下さいよ。
いいですか、再会の合言葉は「ビワ」ですからね。
【浅沼 幸来さん(11才)/東京都=日本郵便大賞】
パパはいつもスーパーで半額になった物を買う。
争奪戦に行こうと言い、わざわざ遅い時間に私を連れて行きます。
半額になるまで待ち続け、シールが貼られた瞬間かごに入れます。
最初はおもしろかったのですが、待ち時間が長いので疲れます。
そして何より、私が食べたい物より、半額になった物を買うのでとても嫌な気持ちです。
神様どうか、定価で買えるようにしてあげてください。
それか、私の好きな物を半額にしてください。