Carol Kingの1972年の名盤で邦題は“つづれ織り”。今や女性シンガーソングライターの元祖として知られるキャロル・キングであるが、ソロとして活動するまでは職業作曲家として活躍していたという経歴を持つ。作曲家として活動していた60年代は作詞家のゲリー・コフィンと組み、黒人白人問わず多くのヒットを飛ばしている。その彼女がシンガーソングライターとして歩むきっかけとなったのは、やはりビートルズの影響が大きい。既成の作曲家、作詞家、それを歌うアーティストという図式を壊して、すべてを自分達でクリエイトするビートルズの新しいスタイルが彼女のアーティストとしての自我を目覚めさせたようである。彼女は作曲だけではなく、スタジオミュージシャンとしても活動をはじめ、自らの曲を作って歌うシンガーソングライターとしての活動を始めることになる。
シンガーソングライターの作る曲は、自分自身のパーソナルな内容のものが多く、強さをアピールするものより自分の弱さや苦悩などを表現する偏った内容の曲が多い。このアルバムのすべての曲にはそういった自分の弱さや悩みを表現するといった曲は一切なく、あくまで個人的な狭い範囲で終始しない普遍性のあるポップスとなっている。もともと職業作曲家であった経歴のせいもあるが、決して自分自身の甘えを許さないプロの音楽家としての意識が、結果として自分自身の音楽家としての生き方を再確認し、色褪せない普遍性のある数々の名曲を生み出した。この作品は彼女の音楽に対する強い意志が感じられる優れたアルバムといえる。
ここに収められた“It's too late”や“You've Got A Friend”などほとんどの曲が、今やスタンダードとしてジャンルを超えて幅広く歌われている。また発売当時セールス的にも302週にわたって全米チャートにランクされ、2200万枚を売り上げるという空前絶後の大ヒットを記録し、CDはいまだに売れ続けている。彼女のシンガーソングライターとしてのスタイルは、今日でも多くのアーティストから尊敬を集め、デフォルトスタンダードとして模倣とされている。








