今頃になってこういう投稿をするのはよくないのかもしれないが今年(2021年)がどんな年になるのかということについて考えてみたい。あくまでもこれは個人的意見であるという前提で読んで欲しい。

○今年1年の経済を左右する重要な要素はなにか
①コロナが何時頃に収束するのか
②アメリカの大統領の政策
③新興国経済(中国含む)の情勢(米中の貿易対立等も含む)
④東京オリンピックが開催されるのか
⑤衆議院選挙の結果がどうなるのか(衆議院選挙後の政策がどうなるのかも含む)
⑥自然災害に関するリスク

○解説
上記の項目について1つずつ個人的に解説していきたいと思う(個人的意見として読んで欲しい)。
①コロナが何時頃に収束するのか
これは日本国内だけでなく世界的に重要な要素である。この問題が解決しなければ経済においても政治においても前に進められないと思う。コロナの問題が収束しなければ経済活動が自粛ムードのままであると同時にオリンピックも開催できなくなる可能性がある。日本国内では2月末頃から予防接種を始めるといっているが全ての人にいきわたるのが何時になるのかは分からない。いきわたったからといってすぐに全面的に経済活動が再開できるということでもない可能性がある。
②アメリカの大統領の政策
昨年のアメリカ大統領選挙で新しい大統領が誕生したが、「どのような政策(アメリカ国内だけでなく外交的な部分も含む)をするのか」「同盟国等にどういう対応をする予定なのか」ということが重要な要素になると思う。
③新興国経済(中国含む)の情勢(米中の貿易対立等も含む)
新興国の景気動向によって日本の経済にも大きな影響がある。特に「インバウンド需要に関する部分」「貿易(輸出入に関する部分)」「海外における日本製品の売上等」に大きな影響がありますね。まあ数年前から「インバウンド需要に頼りすぎる日本の経済構造を転換する必要性がある(地域によっては40~50%位をインバウンドに頼っている地域もあるという話を聞いた)」という話が出ているとはいえインバウンド需要はある意味重要な部分ですからね。それに米中貿易摩擦の問題についてアメリカ大統領が変わったことによってどうなるのかは分かりません。
④東京オリンピックが開催されるのか
東京オリンピックが2020年に開催される予定だったが、コロナの都合で1年延期されました。もしコロナが収束しなければオリンピックは開催されなくなる可能性が高いです(今のところ開催するといっているが)。開催されても参加する国や選手の数が少なかったりコロナが収束しなかったからという理由で開催しないことになったりするといまいち盛り上がりに欠ける状態になることが予測される。仮に開催されたとしても海外から変異したコロナウイルスが持ち込まれたりしてオリンピック終了後に感染症(コロナ含む)の再拡大することも考えられる。また、開催されない(又は開催されても参加する国や選手の数が少なかった場合)ことになってしまったら来年(2022年)に開催される予定の冬季オリンピックやアジア大会がどうなるかは不明である。
⑤衆議院選挙の結果がどうなるのか(衆議院選挙後の政策がどうなるのかも含む)
今年(2021年)に衆議院選挙が確実に行われることになっている(何時行われるのかは不明であるが)。衆議院選挙が行われるまでは経済をよくするため(コロナ対応も含めて)に色々経済対策を行う事は間違いない(そうしないと支持率や選挙結果に影響しますから)。ただ、選挙が終わってからどういう経済対策が行われるかについては不明である(選挙対策の経済政策が打ち切られる可能性もある)。こうなると景気が悪くなり倒産(又は廃業)が増えたり失業率が上昇したりする可能性がある(これは1部の週刊誌にも既に書かれている)。
⑥自然災害に関するリスク
「近い将来南海東南海地震が起こるのではないか」といわれている。昨年にも何度か日本近辺で地震が起こっている。海外においても自身が起こっている様だ。自然災害が何時起こるのかは予測不能だが「近い将来南海東南海地震が起こるのではといわれているのにまだ起こっていない」「日本近辺で昨年地震が数回あった(数回あったことと近い将来南海東南海地震が起こる事との因果関係は不明である)」事から考えて本当に近いうちに起こりそうだ。「いる地震が起こるのか」「どの程度の被害がでるのか」についてははっきりいって分からないことは事実だ(分かったら怖い)。もし起こったら非常に大きな影響があることは事実だ。もしオリンピックが開催される前に地震があったら当然オリンピックどころではない。仮にオリンピック前に地震がなかったとしても感染症対策(コロナ含む)と避難所との兼ね合い等についても考えなければいけないことになる。今の政治状況から考えて自然災害が今年起こると感染症対策と自然災害対策の両方を同時に対応出来るような気はしない。又地震が起こらなかったとしても台風が日本に上陸して生活インフラに影響することになった場合、近い将来起こるであろう南海東南海地震程の規模でないにしろ少なからず日本国内の経済に悪影響があることは事実だ(物流等を含むサプライチェーンだけでなく観光産業に対する影響も大きいですから)。まあ、台風の場合は数日前から動きが予測できるので多少は対応可能な部分もあるが感染症対策(コロナ含む)と避難所との兼ね合いもありますからね。

○最後に
ここに書いたことは個人的意見です。最悪の事態が起こらないに越したことはないです。ただ、悪い方向性に物事が進んだときのことも考えて対策を練る必要性があることも事実だ。

 

外出自粛や感染対策の影響で患者が激減し、各地の病院は経営難に陥っている。そこにつけ込み、暴力団などの反社会的勢力が「病院乗っ取り」を企てている。彼らはどうやって病院を乗っ取ってしまうのか。作家の黒木亮氏がリポートする――。
■“冬の時代”が続く日本の病院
日本の病院経営は元々苦しかった。原因は、医療行為の対価として2年に一度厚生労働大臣が定める診療報酬が、巨額の財政赤字のため、低く抑えられていることだ。特に小泉政権時代(2001~2006年)、3度の改定で診療報酬が約6.9%引き下げられ、赤字病院が続出した。倒産も増えており、昨年の医療機関(病院、診療所、歯科医院)の倒産(負債1000万円以上)は45件に上り、2010年以降では最多となった。日本病院会など3つの病院団体の発表によると、今年4~6月の3カ月間で全国の病院の66.6%が赤字に陥ったという。不動産や人件費が高い都市部では、飲食代やホテルの宿泊料金は当然高くなる。ところが診療報酬は地域にかかわらず全国一律という硬直的な制度だ。都市部の病院は、普通にやっていたのでは採算がとれない。このため患者1人に2、3分しかかけずに医者を猛烈に働かせたり、余分な検査をしたり、豪華な個室をつくって差額ベッド料金で稼いだり、儲(もう)からないわりに訴訟リスクの高い産婦人科や小児科を閉鎖したり、病院を中核として介護・福祉施設、検診センター、訪問看護ステーション、看護専門学校などの関連事業を展開し、そちらで儲けたりしている。
■病院を乗っ取るヤクザの巧妙な手口
経営センスのある医者ならそうした工夫もできるが、そういう医者はむしろ少数である。多くの病院が、診療報酬改定やコロナ禍でにっちもさっちもいかなくなっており、それを嗅ぎつけたヤクザが近づいていく。筆者はヤクザが病院を乗っ取るケースをいろいろ調べてみたが、典型的な手口は次のようなものだ。経営コンサルタントを名乗って、資金繰りに行き詰まった病院に接近し、診療報酬担保で当座の金を融通する。理事長の信頼を得ると、配下の人間を事務長や事務員として送り込み、「銀行と交渉しやすい」「もっと経営を改善する必要がある」など、さまざまな理由をつけて「社員」にする。ここで言う「社員」とは従業員ではなく出資者のことだ。医療法人において、株式会社の株主総会に相当する最高決議機関は社員総会で、各社員は出資額とは関係なく(この点が株式会社と大きく異なる)1人1票の投票権を持つ。経営を任される理事は、社員総会によって任命され、任期は2年。ヤクザは、理事長にうまく取り入り、法律をよく分っていない理事長に「社員総会の議決権は出資額で決まるので、社員数を増やしても問題ない」などと嘘を言い、配下の人間を次々と社員にし、社員総会の過半数を握ると、経営権を奪う。形ばかりの新理事長には、あらかじめ確保してあった借金で首が回らなくなったような“不良医師”を据える。
■騙すのはあまりに簡単だった
いったん経営権を握れば、余分な検査や治療、診療報酬の水増し、生活保護の患者のたらい回し、診療報酬請求権の売り飛ばし、高額医療機器の売りつけやリース、手形や小切手の乱発、資産の切り売り、病院をつぶしてマンションを建設するなど、やりたい放題である。もっと単純なやり方もある。理事長の信頼を得て、印鑑(理事長印、銀行印等)や不動産の権利証を預かり、病院の役員(理事長)の登記を勝手に変えたり、小切手や手形を乱発して街金で割り引いたり、病院の土地建物を売り飛ばしたりする。騙すほうも騙されるほうも「身も蓋もない」単純さで、もっと手の込んだことをやっているものと思って取材をした筆者は、拍子抜けした。逆に言えば、その程度の手口で足りるほど、医者は騙しやすい人種だということだ。
■金勘定ができない医師ほど悲惨な目に
俗に「医者の世間知らず」と言うが、自分の病院の問題点すら把握していない理事長はざらにいる。その反面、最新の治療法や症例などを語らせると饒舌だったりする。要は、理事長になっても、医師は患者を治すのが第一と考え、経営は人任せにしているのだ。とりわけ、借金をする苦労なしに親から病院を譲り受けた二世、普通にやっていれば儲かった古きよき時代の癖が抜けない年輩の医者、ワンマンで下の者の意見を聞かない医者ほど、そういう傾向が強い。筆者が取材した医療系コンサルタントは「その手の病院は、コロナ以前から夢物語みたいな話に乗せられて、値段があってないような高額医療機器を値切りもせず、20億、30億の投資をやっていた。経営が苦しくなるのは当たり前」と話す。また、医療法第46条が、理事長には医師か歯科医師でなければなれないと規定しているので、経営センスや世知のある医師以外の人材を理事長職に就けられないマイナス面がある。
■関西で暗躍した乗っ取り3グループ
かつて関西では「新田グループ」「島田グループ」「安田グループ」という3つの病院乗っ取りグループが暗躍していた。一番有名なのは、「新田グループ」で、リーダーの新田修士は今年80歳になるが、詐欺、業務上横領、背任などで何度も逮捕、有罪、服役、出所を繰り返している。1980年ごろから診療報酬を担保にした貸金業を営み、それを突破口にして数十の病院に食い込み、弁天橋病院(当時、新潟市)や水野病院(同、大阪市)を乗っ取った。穏やかだが能弁で、医療実務、不動産取引、金融などにも詳しく、態度は堂々としていたという。現在、これら3大グループは瓦解し、小規模グループが群雄割拠している模様だ。2019年11月末の時点で、全国の8288の病院のうち、国公立の病院は1240あり、全体の約15%を占める。民間病院に比べると規模は大きく、平均病床数は279である。国公立の病院は地域医療を支えるという役割のために不採算部門も維持しなくてはならず、また親方日の丸的な体質も少なからずあるため、民間の病院より赤字病院が多い(例えば都立の8病院は毎年約400億円の赤字を出している)。しかし、こういう国公立の病院にはヤクザは近づかない。土地・建物は国や自治体が所有し、予算は議会の承認を要し、医師、看護師、職員などすべてのスタッフは公務員で、国や自治体の職員も少なからず派遣されている。したがって、民間病院のように世間知らずの理事長一人を篭絡すればことがすむわけではないという難しさがある。
■徳洲会と「いたちゅう、とだちゅう、あげおちゅう」
ヤクザによる乗っ取りとは別に、不振病院の救済合併は増えている。現在、日本を二分する巨大病院グループは徳洲会と中央医科グループだが、彼らは不振病院を吸収しながら成長してきた。徳洲会は、鹿児島県徳之島出身の医師で、現在はALS(筋萎縮性側索硬化症)で闘病している徳田虎雄が「失敗したら自殺して保険金で返す」と銀行から金を借り、創設したグループだ。北は北海道から南は沖縄県まで71の病院を有し、自ら建設した病院が多い。一方、中央医科グループは、北海道出身の医師、中村哲夫が1956年に東京・板橋区に5床の診療所を立ち上げたところから出発した。関東を中心に約130の病院と、それ以上の数の介護・福祉施設、訪問看護ステーション、看護・医療学校を有する国内最大の病院集団だ。旗艦病院は板橋中央総合病院、戸田中央総合病院、上尾中央総合病院の3つで、経費が安い地方の病院の収益を吸い上げ、最新設備を装備し、業界では「いたちゅう」「とだちゅう」「あげおちゅう」の略称で呼ばれる。その他、葵会グループ、カマチグループ、平成医療福祉グループ、大坪会グループ、北九州病院グループ、ふれあいグループ、国際医療福祉大学(高邦会)グループなどが病院買収に積極的である。
■見捨てられた公立病院を次々に吸収
ヤクザが手を出さない国公立の病院のうち、国や自治体が立て直しを断念した病院を譲り受けているのは、こうした医療機関だ。カマチグループは2017年に品川区東大井の東芝病院を譲り受けたほか、佐賀県武雄市の武雄市民病院や埼玉県久喜市の埼玉県厚生農業協同組合連合会の病院などを譲り受けている。平成医療福祉グループ、葵会グループ、板橋中央医科グループは日本郵政から各地の逓信病院を譲り受けた。葵会グループは、神奈川県立の七沢リハビリテーション病院脳血管センターや川崎社会保険病院なども譲り受けている。さらに警備サービスのセコムも医療分野に意欲的だ。医療法人に対する株式会社の出資は認められていない(出資持分ありの医療法人には出資できるが、議決権はない)が、株式会社が土地・建物・医療機器のリースその他のサービスを提供し、経営に近い関与をすることは可能だ。セコムはこの方式で医療業界に進出し、経営破綻した旧・倉本記念病院(千葉県船橋市)の土地・建物を買収し、「セコメディック病院」とするなど、全国で21の病院(診療所を含む)と提携し、サービスを提供している。「セコメディック病院」に関しては、実質的な乗っ取り(経営権掌握)で、医療法に抵触しないのかと2007年6月の参議院財政金融委員会で議論されたことがある。筆者は新刊『カラ売り屋、日本上陸』(KADOKAWA)で、カラ売り専業ファンドと病院買収グループの攻防を描いた。合法的な医療グループによる病院の乗っ取りは、ヤクザ以上に巧妙、かつダイナミックである。
■あらゆる手を使いヤクザは乗っ取りにくる
新型コロナ禍対策で政府の財政運営はますます厳しくなっており、病院“冬の時代”は今後も長く続きそうだ。ヤクザも手を替え品を替えしており、最近は、医療機関や金融サービス会社の背後にも反社会的勢力が潜んでいる模様だ。先日も取材で、北海道のある病院が、反社会的勢力をバックに持つ別の病院グループに買収されそうになり、警察に相談したと聞いた。また資金繰りに窮しているのに乗じて、診療報酬請求権を年率60~120%の法外な手数料で買い取る、ヤクザまがいの悪徳ファクタリング業者も現れている。前述のとおり、ヤクザの病院乗っ取りは、常識があれば気づくことができる「オレオレ詐欺」レベルのものだ。したがって、医師会や警察が日頃から注意喚起するのが、一番の対策かもしれない。新田グループに乗っ取られ、手形や小切手が山口組系のフロント企業に流れた弁天橋病院の元理事長は「恥は気にせず弁護士に相談を」と話している。


プレジデントオンライン / 2020年11月13日 15時15分

 

○大阪市廃止の住民投票
11月1日、大阪市を廃止し特別区に分割するいわゆる「大阪都構想」の是非を問う、二度目の住民投票が行われた。結果は反対多数、大阪市は存続することになった。なぜ否決されたのか、なぜ「時代遅れの構想」と言えるのか、振り返ってみたい。今回の住民投票を「大阪都構想」の是非を問うものだと説明する報道もされていたが、「大阪都構想」はニックネームに過ぎない。その正式名称は、「大阪市廃止・特別区設置住民投票」だ。大阪市という政令指定都市(以下、政令市)を廃止し、四つの特別区に分割することに賛成か反対かを、大阪市民に問う住民投票なのである。では、具体的に大阪市が廃止されたらどうなっていたのか?実は、「大阪都構想」の設計図とも言われる特別区設置協定書(大阪市ホームページで閲覧可能)にも、大阪市を廃止・分割した後の具体的なことはほとんど書かれていない。そして、そのことが問題を難解にしている。決まっていないことが多すぎるため、大阪市廃止後の住民生活は具体的にどう変わるのか、賛成派は良くなると言い、反対派は悪くなると言う。議論が空中戦と化す所以だ。大阪市廃止となった場合、その後に起こることとして、確定している事実と、未だ確定はしていないものの高確率で起こるであろう事柄とがある。この二者を峻別しながら、以下で話を進めよう。

○大阪市廃止で確実に起きていたこと
大阪市を廃止し特別区に分割すれば、以下のことが起こると考えられていた。
(1)自治権限、機能の低下
大阪市が廃止され、特別区に分割すると権限が低下する。今の大阪市は政令市ゆえに、府の権限の90%以上が移譲されている。例えば府を通さずに予算などについて国に直接交渉、要望することが可能である。そのため独自のスピード感ある街づくりができる。しかし大阪市を廃止し特別区になれば、このような権限は失われる。特別区の上には一部事務組合という組織が置かれ、国に要望がある場合などは、特別区→一部事務組合→大阪府→日本政府という伝言ゲームを行うことになる。また特別区では、水道や消防、救急といった、村でも可能な基本的な行政についても独自で行うことができず、全て大阪府の管轄になる。
(2)自主財源マイナス5000億円、財源総額マイナス2000億円
現在、大阪市は市税6,601億円を自主財源として持ち、これに地方交付税などを合わせ、総額8,785億円を全体の財源としている。これが大阪市から特別区に分割されると、市税6,601億円が四特別区の合計区税1,748億円になり、自主財源としては4分の1になる。そしてこれに財政調整交付金などを計上し、合計6,749億円が四特別区の財源総額となる。要するに、大阪市から四特別区になれば、自主財源は5000億円マイナスになり、財源総額では2000億円マイナスになる(平成27年度決算ベース)。
(3)特別区設置コストがかかる
大阪市を廃止し特別区を設置するのも、当然コストがかかる。自民党会派による試算では、ランニングコスト含めはじめの15年間で1,340億円。賛成派の試算では、イニシャルコストで241億円、ランニングコストで年間別途30億円とされている(賛成派の試算の甘さについて言いたいことはあるが紙幅の関係上、省く)。またこれらに加えて数値化しづらいが、移行作業には職員の労力も割かれる。
(4)政令市・大阪市に戻れない
一度、大阪市が廃止されれば、もう元には戻れない。特別区を一般の市にする法律がそもそも存在しないからだ。またそのような法律を作るには、大変な時間と労力がかかる。仮に一般市に戻る法律が実現しても、かなり遠い未来の話になるだろう。
(5)住所が変わる
大阪市が廃止されれば、当然住所が変わる。例えば、「大阪府 大阪市 阿倍野区 ○○」という現在の住所は、「大阪府 天王寺区 阿倍野 〇〇」になる。この際、企業・団体で管理する名簿や個人の名刺などの住所変更は自己負担となる。なお誤解している方もおられるが、「大阪都」にはならない。以上の5つについてはただの事実だから、賛成派からも特段の異論はないだろう。それでは、その結果として何が起こるのだろうか? 以下の懸念事項が多くの学者、専門家から指摘されている。

○大阪市廃止で懸念されていた事項
(1)住民サービスの低下
大阪市から特別区に移行すれば、事実として自治権限と財源が低減し、コストがかかる。その結果として、恐らく住民サービスは低下する。財源が減ってサービスを維持できる道理はない。例えばコロナ前の財政シミュレーションでも、特別区設置に伴いスポーツセンターなどの17億円分の市民利用施設の縮小削減が想定されていた。コロナ禍を経て税収減が見込まれる今後は、住民サービスの縮小削減がより進むことは想像に難くない。さらに府・区の財政が厳しくなれば、公営住宅や生涯学習、区民イベントなど生活に密着した事業の廃止もありえる。
(2)公共料金の値上げ
水道料金など公共料金の値上げも考えられる。財源が低下しコストが増えるなか、意地でも住民サービスを維持するというのならば、税金、公共料金の値上げは避けられない。なお大阪市副首都推進局は「特別区設置に伴って公共料金の値上げはない」としているが、これは特別区設置時点、即ち2025年1月1日時点での値上げはないという意味であり、それ以降の値上げはありえるのである。
(3)区役所が分かりづらく、遠くなる
特別区が設置されれば、今までの区役所は窓口業務を行う支所になる。しかしそこには区長もおらず、これまでの業務の大部分は特別区役所で行うことになる。またこれらの二箇所とは別に、現在の市役所を各特別区で間借りし、特別区本庁舎として使用する予定だ。つまり、現在の区役所・特別区役所・現在の大阪市役所、これらの三箇所に区役所機能が分散し、用事によってどこに行けばいいのか分かりづらい状況になる。また、これまでは地元の区役所で事足りていた用事も、改めて特別区役所などに足を伸ばす必要が生じてくる可能性が高い。
(4)防災体制の劣化
大阪市から特別区に移行することで、防災体制が劣化すると専門家は警鐘を鳴らしている。大災害が起きた場合、今の大阪市の一極体制はポジティブに作用する。市長が災害対策本部長になり、シンプルな指揮命令系統が敷かれる。しかし、四特別区では区長がそれぞれ災害対策本部長になり本部会議を開くが、発災直後の切羽詰まった状況で認識の統一をはかることができない。確かにこういった体制については、「大阪都構想」の設計図である協定書には具体的に定められていない。以上のほかにも、特別区移行期間に少なくない行政サービスが空白期間を持ってしまうことや、特別区設置に伴う職員の増加に対し人材が確保できる保証がないことなど、懸念は尽きない。

○大阪市廃止のメリット
ある世論調査によれば、賛成に投票予定だった方の主な賛成理由は、第一位が「二重行政が解消されるから」、第二位が「経済成長につながるから」であったという。では、大阪市廃止による、これらのメリットは本当だったのか。先ず、二重行政という言葉だが、実はこの語の定義は定かでない。複数の意味内容がこの言葉に込められて用いられる。例えば維新の会の政策パンフレットには、大阪市立中央図書館と大阪府立中央図書館が二重行政の例として挙げられている。大きな図書館が二つもあるのは無駄だというらしい。しかし、二つの図書館にはそれなりに距離があるし、住民にとって図書館の選択肢が二重にあることは財産以外の何ものでもない、と筆者などは思う。またどうやら、大阪市と大阪府で仲が悪くて意見調整が大変なことを、二重行政と表現する場合もあるらしい。意見の調整を容易くするために大阪市廃止が必要なのだと、賛成派は主張する。しかし、大阪市を廃止し特別区に解体すると、意見調整の回数自体は増える。特別区と大阪府の間に一部事務組合という組織が挟まり、結局この三者の間で意見調整が発生するからである。特別区は大阪府の言いなりになるから意見調整は必要ないのだと賛成派が主張しているのを耳にしたことがあるが、それこそ住民の自治権無視ではないかと呆れてしまった。今一つ何が悪いのか誰も分からずにイチャモンをつけているのが、「二重行政」の正体ではないだろうか。しかも賛成派の松井一郎大阪市長は、現在の大阪には二重行政はないと市議会の答弁で言明している。もはや賛成派が何と戦っているのか、よく分からないのが本音だ。次に、大阪市を廃止したところで経済成長につながるわけではないということは、強調しておきたい。都市制度と経済成長に因果関係は証明されていないのである。これも再三、専門家から指摘を受けている点だ。しかも4年以上の歳月と多大な労力をかけて行政システムの移行に専念し、その間の成長戦略はどのように展開されるのか、不安が尽きない。そもそも政令市を特別区にして経済成長するなら、他の自治体でもやっている。しかし、横浜市や名古屋市を廃止するだなんて話は聞こえてこない。

○地方分権・地域内分権への逆行
これまで、東京一極集中を是正するため、国を挙げて地方分権の方向に舵を切ってきた。その流れの中で市町村を合併し、また政令市や中核市を増やしてきた経緯がある。そして道府県の持つ権限を、政令市や中核市に移譲する取り組みを進めてきた。より住民に寄り添った、効率的な行政サービスを提供できる、地域内分権を推進してきたのである。道府県から大きな市へ、というのが日本全国での地方分権の進め方だ。特に菅総理はこのコロナ禍への対応を見て、災害などに機動的に対応ができる政令市の権限を、さらに強化する考えを示された。こういった流れに沿って大阪市を強化し、商都大阪の発展につなげていくべきだというのが、自民党議員としての筆者の意見である。しかしこれに逆行し、大阪市の権限と財源を府に移行させようとするのが「大阪都構想」なのだ。時代遅れの構想だと、筆者は思う。


日経ビジネス2020/11/2(月) 5:01配信

 

家族が亡くなった後の、預貯金や有価証券などの相続手続きのポイント
相続が発生し被相続人に金融資産つまり、預貯金や株などの有価証券がある場合、その金融資産を相続人が引き継ぐための相続手続きが必要になります。思いのほか手間や費用がかかるため、全体の流れを把握しておくことが大切です。


まずは相続手続きの全体の流れを知っておこう
被相続人名義の金融資産を相続人が引き継ぐ流れは以下のようになります。

・被相続人が取引をしていた金融機関を確認する
・戸籍謄本や印鑑証明書を取得する
・各金融機関に問い合わせ、残高を確認する
・残高が確認できたら引き継ぐ(名義変更や解約する)ための必要書類を準備する
・必要書類が整ったら各金融機関に相続手続きを依頼する
・相続手続きが完了したか確認する

1. 金融機関の確認
最初に行うのが金融機関の確認です。通帳、カード、証書、報告書、配当通知などから被相続人が取引していたと思われる銀行や証券会社などの金融機関をリストにしましょう。金融機関は相続が発生したことが分かると全ての取引を凍結してしまうため、まだ連絡はせずに先に通帳の記帳などをしておくとよいでしょう。
※民法改正により、凍結した預貯金の口座であっても当面の生活費が引き出せるようになりました。

2. 戸籍謄本、印鑑証明書の取得
金融機関への残高の確認や相続手続きには戸籍謄本や印鑑証明書が必要になります。なおほとんどの金融機関は戸籍謄本や印鑑証明書は提示後に返却を依頼すれば戻してもらえます。金融機関の数と同じ数の戸籍謄本や印鑑証明書を取得すると費用がかさみ最終的には余ってしまいますので1通ずつ用意すればよいと思います。
また法務局の法定相続情報証明制度を利用すればその後の手続きもスムーズですのでお勧めです。

3.各金融機関への問合せ
取引先が分かったら各金融機関に問い合わせ(この時点で口座が凍結されます)、残高の確認(相続発生日時点の残高証明書の発行)を依頼します。念のため「他の支店にも取引が無いか」「全て(預貯金、出資金、有価証券など)の残高」の確認を依頼しましょう。依頼後1~2週間程度で証明書が発行されます。原則として依頼時に必要なものは以下の通りです。
・被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
・依頼者が相続人であることが分かる戸籍謄本
・依頼者の身分証明書、実印、印鑑証明書(発行から3カ月以内などの条件あり)
・残高証明書発行手数料(各金融機関によって異なります)
・各金融機関の所定の依頼書に自署・実印(経過利息や解約金額の証明も依頼するとよい)

4. 相続手続き書類の準備
全ての残高が確認できたら相続手続きを行うための準備をしましょう。預貯金は名義変更か解約のどちらも可能ですが、有価証券は原則は相続人の口座に移し替える(移管)のみとなりますので相続人の口座が無い場合は口座開設が必要です。 ゆうちょ銀行は他の銀行には振り込めないため相続人の口座が無い場合は口座開設をするか払戻証書を受け取って窓口で現金化することになります。
原則として相続手続きに必要なものは以下の通りです。
・被相続人の出生から死亡までが確認できる戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書(発行から3カ月以内などの条件あり)
・各金融機関の所定の依頼書を入手し相続人全員の自署
・実印(遺産分割協議書があると取得者のみの自署・実印の場合あり)
・遺産分割協議書(ある場合)
・被相続人の通帳、カード、証書など
・マイナンバー(通知カード、個人番号カードなど)の写しを要求されることもあります

5. 相続手続きの依頼
相続手続きに必要な書類等が全て整ったら各金融機関に相続手続きの依頼をします。依頼時は念のため依頼者の身分証明書と実印も持参しましょう。なお各金融機関の窓口での手続き時間は30分~1時間程度かかるため、複数の金融機関を回る場合は1日がかりになることもありますので、時間に余裕がある平日に行うことをお勧めします。また事前に金融機関へ訪問の予約等の連絡をしておくとスムーズです。

6. 相続手続き完了の確認
概ね1~2週間程度で相続手続きが完了します。各金融機関での手続きが完了したか、相続人(受取人)の通帳を記帳するなどで確認しましょう。振り込まれていれば無事完了ということになります。

金融機関の窓口での一般的な相続手続きの流れについて説明しました。郵送で行う場合や遺言がある場合などは流れや必要な書類等が少し異なるので各金融機関に確認してみましょう。金融機関の相続手続きは数が多いととても大変です。生前に口座数を整理しておいたり取引機関や支店名をリストにしておくことも大事な相続対策の一つです。
(文:小野 修(マネーガイド))

オールアバウト / 2020年10月29日 18時30分

政令指定都市の大阪市を廃止し、四つの特別区に再編する「大阪都構想」への賛否を問う住民投票が1日投開票され、約1万7000票差で反対が賛成を上回った。地域政党「大阪維新の会」が2010年の結党時から掲げてきた構想の制度案は廃案となり、大阪市の存続が決まった。15年の住民投票に続く2度目の否決で、維新代表の松井一郎大阪市長は23年4月の市長任期満了での政界引退を表明した。当日有権者数は220万5730人で、投票率は62・35%(前回66・83%)だった。午後9時から始まった開票作業は最終盤まで賛否が伯仲する展開だった。維新は大勢が判明した1日深夜、大阪市北区のホテルで公明党と共同で記者会見した。松井市長は「私の力不足で2度目の敗北になった。政治家としてのけじめをつけないといけない」と引退を明言した。維新の今後については「改革スピリッツを持った集団であってほしい」と語った。会見に同席した維新代表代行の吉村洋文・大阪府知事は都構想に再挑戦しないことを断言した。公明府本部代表の佐藤茂樹衆院議員は「短時間で支持者に理解を得ることができなかった」と述べた。今回の住民投票は新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中で実施された。市の廃止後の住民サービス水準、再編後の財政見通し、成長戦略への効果などが争点になった。維新はコロナ対策で知名度を上げた吉村知事を前面に出す戦略で、テレビCMなども含めた広報も充実させたが、反対派が追い上げて拮抗(きっこう)。終盤は感染防止策で控えてきた屋内の集会も解禁した。反対してきた自民党は府議団の一部が制度案に賛成するなど混乱もあったが、市議団を中心に「正しく知ればノーになる」と制度の問題点や財政面の懸念を訴え続けた。昨年春の知事・市長のダブル選で維新が圧勝して公明が賛成に転じ、都構想の成立は濃厚とみられたが、コロナ禍の状況での住民投票や、メリット一色の制度案の説明に疑問を持つ人も増え、最終的に反対が上回った。住民投票は12年に超党派の議員立法で成立した大都市地域特別区設置法に基づくものだ。15年には特別区を5区とする案が、賛成69万、反対70万票で否決されたが、昨年のダブル選を経て2度目の住民投票が実現した。否決により、維新は看板政策を失う形になる。国政政党「日本維新の会」の政治的基盤にも影響を与えそうだ。都構想は、275万人の大阪市を人口60万~75万人で中核市並みの権限を持つ各特別区に再編。教育や福祉など身近な住民サービスを担い、成長戦略やインフラ整備などの広域行政は府に一元化する内容だった。【津久井達】

毎日新聞 / 2020年11月1日 23時23分

 

大阪府池田市の冨田裕樹市長(44)が市役所の更衣室にベッドや電子レンジなど大量の私物を持ち込んで生活していたスキャンダル。関西では今も大騒ぎだ。なぜなら市長は大阪維新の会のメンバー。「維新はアホな市長を抱えている」と、来月1日の住民投票に打撃を与えかねないからだ。市長は23日に疑惑の一部を認めて謝罪した。
◇  ◇  ◇
「市長が市役所に住み着いている」
信じられない声が市役所内で聞こえてきたのは8月ごろだった。
■ベッド、レンジ、サウナまで持ち込み
「たまたま職員が仕事の関係で朝6時くらいに市役所に行くと、もう市長が来ている。市長より職員が遅く行くのはまずいと話が出ました。けど、それにしては早すぎる。いつの間にか、3階の更衣室が市長の住まいのようになっていたのです」(池田市職員)
冨田市長の私物は増え続け、簡易サウナ、エアロバイクまで持ち込んでいた。
なぜ冨田市長は市役所を「自宅化」していたのか。昨年4月に当選した時、冨田市長は池田市内のマンションに妻子と暮らしていた。だが、数カ月後には事務所に転居していた。
「妻子とうまくいかず別居」というウワサが市役所内ではあがっているという。そこで、まだ複数の疑惑があるのだ。
「公用車が妻の実家方面に行った記録がある。個人的に使っていたのではないか。また、サウナ設置は専門業者が工事をしたようで、代金はどうなっているのかなど、さらなる疑惑が浮上している」(池田市議のひとり)
冨田市長は「公私混同と思われても仕方ない。私物は撤去した」と謝罪。サウナにかかった電気代などは返金する意向を示した。 だが、私物撤去は「マスコミから取材が入った直後にしていた」(前出の池田市職員)という。バレなければ私物占拠を続けていた!? 大阪維新の会所属の冨田市長。目下、大阪都構想の住民投票の終盤だけに身内はカンカンだ。
「大事な時に、こんなスキャンダルを起こして、大阪都構想の住民投票で賛成の票が減ったらどないするねん。幹部も怒ってますわ」(大阪維新の会の府議)
まったくだ。大接戦になっている住民投票。このスキャンダルで、維新の悲願がまたついえたら泣くに泣けない。 世間では、末代まで語り継がれる笑い話になりそうだ。

日刊ゲンダイDIGITAL / 2020年10月30日 9時26分

 

大阪都構想の住民投票(11月1日投開票)をめぐりコスト議論が紛糾している。27日には制度設計を担った大阪市の担当部局などが緊急記者会見を開き、「人口約270万人の大阪市を単純に4つの政令市に分割した場合、標準的な行政サービスにかかるコストが毎年度約218億円増加する」との一部報道により「市民に誤解が生じている」として、「特別区に移行した場合の数字ではない」と異例の説明を行った。都構想の財政議論は複雑なため、正しい理解による判断を呼びかけた格好だ。報道は、地方交付税の算定基準となる「基準財政需要額」を、市財政局が試算した内容として報じられた。現在の大阪市を単純に4つの政令市に分けた場合、分市後の需要額は計約7158億円で、現大阪市より218億円増加した-というものだ。市財政局によると、試算は今月、報道機関の求めに応じて算出。都構想の協定書(設計図)によると、市が担っている消防や大学などの広域事務は大阪府に移管されるが、試算では移管される事務分のコストを削除するなどの処理は行っていない。また、基準財政需要額は交付税算定のための理論値であり、実際のコストとは乖離(かいり)している。だが、26日に一部報道でこの数字が報じられると、インターネットを中心に議論が沸騰。反対派の自民党市議は「市を分割することでコストがかかることがはっきりした」と主張。一方、5年前の前回住民投票での否決を受け政界を引退した元市長の橋下徹氏はツイッターで、「この数字は、燃費の悪い大排気量車(大阪市)を、その仕様のまま4台にする場合(分市案)のもの。それではダメだということで燃費のいい環境適合車(特別区)4台にしたのが大阪都構想だ」と反論した。市財政局には市民からの問い合わせも相次いだといい、同局と都構想の制度設計を担った副首都推進局は27日、緊急記者会見を開催し、数字は「現在の大阪市を機械的に4つに分けて計算しただけ」と説明。特別区設置にかかる経費は協定書に明記されているとして、「市民には正確な情報に基づいて判断してもらえるようお願いしたい」と異例の呼びかけを行った。大阪府の吉村洋文知事もこの日の記者会見で、一部報道に関し「誤報の領域で完全なミスリードだ」と強く批判。「コストは議論を重ねて出している。訂正すべきだ」と述べた。

産経ニュース / 2020年10月27日 21時12分

ということは市が担っている消防や大学などの広域事務は大阪府に移管されるが、試算では移管される事務分のコストを削除するなどの処理は行っていないので実際にはもう少し少なくなる可能性もあるが、「あくまでも試算である(実際どうなるか分からない)」「理論値であるため実際とかい離する(増える可能性がある)」「どの程度コストが少なくなるのかは不明である」「機械的に4つに分けて計算しただけなのでこれもいい加減で都合の悪い部分を隠しているだけということもありうる」ということですね。

【注目の人 直撃インタビュー】藤井聡氏(京都大学大学院教授)

大阪市を廃止するのか、しないのか――。「大阪都構想」の是非を巡る住民投票(投開票11月1日)が真っただ中だ。2015年の住民投票で一度否決されたにもかかわらず、大阪維新の会と公明党がタッグを組み、再び提案。そんな都構想の危険性について警鐘を鳴らし続けているのが、この人だ。終わったはずの構想がなぜ復活したのか、大阪再興のカギとは何か。ざっくばらんに語ってもらった。
◇  ◇  ◇
――都構想について、「大阪が都になる」と誤解している人もいます。
最大の問題は、住民投票の対象が、“都”構想ではないということ。「大阪を都にする構想」と解釈されがちですが、これがすでに間違い。多くの人が中身をあまり考えずに、言葉のイメージだけで大阪が発展するもんだと思って、何となく支持してしまっています。
――肝心の中身は何でしょう。
大阪市の選挙管理委員会のホームページを見ていただくと、「大阪市廃止・特別区設置住民投票」と書いてある。実態は、市を潰して4つに分割するという話なんです。まず、この事実が知られていない。今回の住民投票の趣旨を正確に判断するためには、「大阪都構想」と呼んではいけないのです。市廃止と特別区設置について賛否を問うているのですから。
――5年前から都構想をゴリ押ししているのが大阪維新です。
都構想への賛否が維新の政治への賛否と重複して理解されていますが、今回の住民投票を維新への信任投票だと思わないことが大事です。維新への賛否と市廃止への賛否は全く別の問題。有権者の方には、何の賛否なのかをしっかりご理解いただきたい。名前で何となく賛成してしまう、維新が賛成だから賛成してしまう人は、都構想の中身をほとんど知らないのでしょう。
――市がなくなる可能性があるのに、なぜ中身が知られていないのでしょう。
推進派が説明をしていないからでしょう。5年前の住民投票の時に、推進派は「テレビや車を買う時に中身は見ない」「この車が使いやすいか、テレビが見やすいかどうかで考えるんだから、中身は見なくてもいい」「信頼してください」などと説明していた。そうしたことが繰り返されています。

○実現から10年は500億円のコスト増
――都構想が実現すれば、「二重行政を解消できる」「大阪の成長につながる」とも喧伝されています。
そもそも、二重行政があるのか、ないのか。ないですよ。松井大阪市長は市議会で、二重行政の有無を聞かれて「今はない」とお答えになった。ひと昔前は、最低でも年間4000億円の行政コスト削減ができ、これが大阪の成長に爆発的な効果があるんだと言っていましたが、過大だと指摘されると、最終的に数億円から10億円、あっても20億円程度と言うようになった。これは2015年時点での話です。したがって、「二重行政を解消するために大阪都構想だ」という意見は全く成立していない。推進派が信じているメリットは幻想にすぎません。
――都構想にメリットがないとなると、それが実現したら、一体どんな惨状が待ち構えているのでしょう。
多くの地方行政学者や財政学者が真剣に懸念しているのが、行政サービスの低下です。これは確実に起こります。都構想によって、市の年間予算の4分の1にあたる2000億円ものお金と権限が大阪府に吸い上げられるからです。知事は府全体の代表者なので、2000億円を府の人口の30%しか占めない大阪市民だけに使うことはあり得ない。さらに、市を4つの特別区に分割するので、議会も役所も教育委員会も4つ必要になります。2015年の住民投票の時に500億~600億円かかるといわれた初期投資を削っても、いまだに200億円かかるといわれています。加えて、毎年のランニングコストが30億円。だから、今の条件でも、都構想実現から10年で500億円は余分にお金がかかるのです。
――莫大なコストですね。
さらに、都構想が通ったら、大阪市役所で働いている3万6000人もの職員が仕事をいったんストップし、4つの役所や府に割り振られることになります。仕事の引き継ぎや調整に莫大なコストがかかるし、市民のために働いている職員の労力がそがれます。行政サービスの低下と行政の混乱は必至です。
――デメリットしかない都構想が、なぜ復活したのでしょうか。
その理由は政治学的に考える必要があります。そもそも維新に限らずどんな政党でも選挙での勝利を極めて重大視している。そして維新にとっては「都構想で大阪をよくするんや」という主張が選挙対策として非常に効果的に機能している、という現実がある。したがって、維新が都構想を主張しだすのは、必然的な流れといってもよい。ましてや維新のような、基礎地盤がもともとなかった新興勢力においてはそういうプロパガンダに頼る傾向が概して強い。それが都構想が復活した根本的原因でしょう。
――維新は今回、公明党も抱き込みました。
否決されたのに再び住民投票になった背景には、公明党の党利党略があります。関西は公明党の支持者が多く、「常勝関西」という言葉がある通り、大阪にも公明党議員が多い。そこに、何としても住民投票を実現したい維新が目をつけ、「住民投票の実施と都構想に協力しなければ、衆院選で対立候補を立てる」という交渉を(半ば脅しのような形で)持ちかけたのです。結果、公明党は大阪市内で選挙に非常に強い維新の脅しに屈してしまった。これはもはや周知の事実です。
――党利党略に市民が振り回されていると。
それだけではありません。5年前は大阪市役所の役人が維新に「魂」を売っていなかったので、住民投票前の説明会などでも、いろんな反対派の意見も一応紹介されていました。当時は役所のホームページにも、移行に600億円、ランニングコストに30億円かかるということが粛々と書かれていた。ところが今は、市役所と維新がかなり一体化してきている。市役所のホームページが、特定政党の意向にかつてより大きく影響される内容となっている。これは深刻な問題です。本来、政党と役所は、一線を画す必要があるはずです。特に「投票」においてはそうでしょう。
――「都構想が日本を破壊する」と主張しています。
行政コストと手間を考えると、大阪は成長するどころか、都市計画すら前に進まなくなるでしょう。防災力も減退するので、自然災害による被害は何倍、何十倍に膨れるか分かりません。都市機能として大阪が衰退すると、大阪を中心とする経済圏に入っている周辺県も没落することになる。東京も無傷ではいられないでしょう。さらに、改革勢力である維新が党勢を拡大することによって、自民党の「ブレーキ役」を自負している公明党の力が相対的に弱まり、自民党の改革勢力が一層強くなる。その結果、新自由主義やグローバリズムが加速します。プロパガンダに訴えた、国民不在の党利党略が横行するようにもなり、民主主義の熟度が低下することも考えられます。まさに、日本の没落です。
――都構想に頼らない大阪の再興の方法とは何でしょう。
ズバリ、「大大阪」構想です。大阪を発展させるには、次のことをやればいいと考えます。まず、リニア新幹線を一日でも早く大阪に延ばす。次に、北陸新幹線を大阪まで延伸する。大阪は北陸と1時間で行き来できるようになり、北陸を大阪の「商圏」の中に組み入れることができる。そして、その北陸新幹線を一日でも早く、関西国際空港につなげる。関空と大阪の都心部を10分台で行き来できるようになり、世界のビジネスマンが大阪にすぐに来られるし、大阪にビジネスの拠点を置いて世界にもすぐ出られる。さらには、北陸新幹線を関空を経由して四国まで延ばすことで、中国地方から北陸まで入れた巨大な経済圏をつくることができるのです。このプロジェクトは急げば、2020年代で完遂できますが、都構想が通ったら、水の泡とは言わないまでも、かなり遅れるでしょう。住民投票で賛成と出るか、反対と出るかで、日本の歴史は全く変わると思います。

(聞き手=高月太樹/日刊ゲンダイ)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2020年10月26日 9時26分