日米の金利差拡大が意識され、10日現在、円相場は1ドル=151円台をうろうろしている。同じ定期預金でも米ドルなどの外貨の場合、年利3%や4%はザラで、キャンペーンで9%を提示する銀行も。かなり魅力的だが、手を出していいものなのか。「銀行に円を預けてもほとんど金利がつかないので、つい始めたくなる気持ちは理解できますが、いくつか注意が必要です」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの飯村久美氏。外貨預金の最大のリスクが為替変動だと指摘する。「1ドル=150円で買ってさらに円安になれば、為替差益が得られますが、逆に円高に振れた場合、為替差損が発生します」昨年10月、32年ぶりに1ドル=150円を突破。円相場は歴史的円安ドル高圏に入ったが、政策金利の高止まりで景気悪化が懸念される米国が利下げに転じ、日本でマイナス金利が解除されれば円高ドル安に傾くことが予想される。「ここから円安になるか円高になるかは日米の金融政策次第で、高い利息を得られても為替差損で大損することも。財務省が為替介入を行えば、一気に5円程度動くこともあります」年利6%の米ドルの6カ月定期に150万円(1万ドル)を預けた場合、6%×2分の1(半年分)の3%から、利息にかかる20.315%が課税されると2.39%になるので、実際の利息は3万5850円になる。ここで要注意なのが、前述の為替変動リスクだ。1ドル=150円で1万ドルを買い、6カ月後に1ドル=160円に上昇すれば、10万円の差益が発生し、利息と合わせれば13万円超のプラスになる。逆に140円に下落して10万円の差損が発生すれば、3万5000円超の利息がパーになるどころか、6万5000円ほど損することに。「為替差益は雑所得なので課税対象になり、雑所得が20万円を超えた場合、確定申告が必要です」さらに、円から米ドル、米ドルから円に替える際に手数料がかかる。「1ドル当たりの手数料はメガバンクで1円、ネットバンクで15銭のところが多く、ネット銀で150万円を1万ドルに替えると1500円が取られ、米ドルを円に替える際も手数料がかかります」外貨の場合、日本円の預金と異なる点も。「金融機関が破綻した場合、外貨は1000万円まで補償されるペイオフ対象外なので、信用力の高い銀行に預けることも大事です」リスクと手間が伴うことを忘れてはならない。

日刊ゲンダイDIGITAL / 2023年11月12日 9時26分