リンパニーのリスト「ため息」 | 復刻版

復刻版

栄光より挫折、成功より失敗、勝利より敗北…。

ベスト電器本店のレコードコーナーの思い出
で、同店で購入した、
LPレコードのことを記したが、

イギリスの女性ピアニスト、
モーラ・リンパニーが弾いた、
ラフマニノフの前奏曲集も、
併せて買ったことを思い出した…。

そんなリンパニーが、
90年代前半の来日して、
チケットをゲットしていたが、
都合がつかず友人に譲った…。
生で聴くチャンスを喪失して、
今ではかなり悔やまれる…。

ところで、辛いことが重なり、
癒しの音楽が聴きたくなった。
そこで思い浮かんだ曲は、
リストの名曲「ため息」…。

辛くて無意識のうちに、
ついてしまうため息。
それを描いた音楽では無いが、
心境にはピッタリだ。

名曲だけあって、
かなりの音源があるが、
特に、リンパニーがお気に入りで、
他の演奏は聴く気がしない…。

"BEST LOVED
PIANO CLASSICS"
というアルバムに収録されているが、
リンパニーの演奏は秀逸だ。


EMI CDZ 7 62523 2


リンパニーはモノラル期や、
ステレオ初期の録音が大半だが、
これは1988年アビーロードの
デジタル録音である。

リンパニー晩年の録音は、
数が非常に少ないが、
その分、とても貴重だし、
珠玉の小品が聴けるのが嬉しい。

ところで、オリジナル盤は、
見たことがないが、
録音年月から推測すると、
この盤がオリジナルなのか?
詳しい人がいたら教えてほしい…。


さて、肝心の演奏だが、
最初のアルペジオから、
遅めのテンポで淡々と弾く。
仰々しさが全くない調べに、
私は惹きつけられる…。

演奏の凄さというよりも、
曲の秀逸さに心を奪われ、
思わず涙してしまう…。
曲を際立たせる演奏、
というのが妥当な表現か?

言葉では良さを表せないが、
繰り返し、繰り返し聴いて、
辛い心に刺さって、
何度も泣けてしまった。
名女流晩年の見事な演奏だと思う。