ぼくは若い時、診断できない
のが怖かった。
飼主さんに「わかりません」
って言うのが怖かった。
「獣医のクセにわからないのか」
と言われるんじゃないか
「ヤブ獣医」って言われるんじゃ
ないかと怖かった。
今は、わからない時は
「わかりません」と言って
「専門医に聞いてみる」とか
「専門医に診てもらいましょう」
って言えるけど
若い時は恥ずかしいやら怖いやら
変なプライドやらで「わからない」
って言えなかった。笑
今考えたらヤベー獣医じゃ。
「わからない」って言えない
もんだから
検査してちょっとに異常でもあると
あれが悪いだのこれが悪いだの
と言って何とか診断して
治療しようとした。
わからないのに
「この病気じゃないか」と
病気にさせたりした。
その時は本気で「この病気だ」と
思い込んでいたけどね。
ホント今考えたら動物にも飼主さん
にも失礼なことをしてた。猛省する。
今、セカンドオピニオンが
やたら多いんだけど
元気で食欲もあって
走り回っていて
何にも症状がないのに
検査したらちょっとだけ
異常値があって
なんちゃら病って言われて
更に詳しい検査して
なんだかわからない検査の
数値がちょっとだけ基準値
よりも高いだけなのに
なんちゃら病って言われてる
子たちがやたら多い。
検査データみせてもらっても
犬猫の体を診せてもらっても
どうしてもなんちゃら病とは
考えにくいから
「ぼくが診る限り大丈夫だから
経過みていきましょう」と言っても
1度なんちゃら病って言われると
心配になっちゃう。
「ご心配でしたら再検査して
みましょうか」と言って
再検査するとなんでも
なかったりする。
なんでもなくて安心して
お帰りになる。
こんなことが続いている。
獣医がちょっとでも基準値から
外れると病気にしたくなるのか。
飼主さんが基準値から外れてる
ことに心配なのを
獣医が「大丈夫」と説得ができない
から病気にするのか。
獣医が自信をもって「大丈夫
だから経過をみましょう」と
言えなくて後でなんかあったら
怖いから病気にするのか。
理由はわからないけど
病気に仕立て上げられて
しまいそうな子が多い。
若かった日の自分を思い出す。
自信がないから「大丈夫」って
言えなかったりするんだよね。
動物も針刺されて血取られて
飼主さんは高額な検査代が
かかって
やたらあーでもないこーでもない
って検査してそのしわ寄せは
全部動物と飼主さんなんだよね。
獣医が病気に仕立て上げるのは
簡単なんだけどデータみるより
もっと動物のことを診てもいいんじゃ
ないかと思うのさ。
人の振り見て我が振り直せと
自分に言い聞かせる。
今日もありがとう
人間より動物好きの獣医
シワ神シワ男
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