「枯れるように逝く」を知ってから
終末医療をどうするか
改めて考えてる。
このところ22歳の慢性腎臓病と
肥大型心筋症を併発してる猫や
17歳の慢性腎臓病の犬が
慢性腎臓病の末期になって
腎臓が機能しなくなり
尿毒症になってしまう。
尿毒症の症状を改善しようとすると
点滴を多くする必要があり
点滴を多くすると
肺が浮腫み呼吸が苦しくなり
腸が浮腫み嘔吐、下痢が起こり
脳が浮腫み痙攣が起きてしまう。
腎臓が機能してないから
体に入れた点滴が処理できず
浮腫んでしまう。
尿毒症を改善させるためには
点滴が必要だけど
点滴することで苦しめてしまう。
今までなら尿毒症の症状を
改善させるためにはぼくの
病院では点滴しかないので
点滴しながら腎臓が悪いのに
利尿剤を入れて浮腫みと
尿毒症の改善をしてた。
相反する治療を行い
ここからよくなることはないから
何とか旅立ちを先延ばしにする
治療をしてた。
それを止めれば諦めることになり
死を受け入れることになる。
その葛藤を今までやってきたけど
「枯れるように逝く」ことを知って
点滴して浮腫んで苦しめてまで
先延ばしすることに苦慮してる。
飼主さんが少しでも長く
1分1秒でも一緒にいたいと願えば
ぼくができることはやってあげたい
と思って今までやってきたけど
点滴しない、食べないことで安らかに
眠るように枯れるように旅立つことを
知ってからは
治療をすることで動物を苦しめている
ことに罪悪感がハンパなくなった。
それでもぼくのエゴを押し付ける
医療はしたくないから
「これ以上点滴することで体が
浮腫んで吐いたり、下痢したり
ケイレンしたりして苦しめてしまう
ことになるかもしれません」
「点滴を止めることで安らかに
眠るように草木が枯れるように
旅立って逝くことになるけど
どうされますか」と相談して
それでも「治療をお願いします」と
言われた時は最期まで諦めずに
治療してる。
それでも動物の苦しそうな姿を
見ると涙が出そうになっちゃう。
今までやってきたことなのに
それが動物を苦しめてると
知ってからはいたたまれなく
なることがある。
獣医がそんなことじゃ
いけないんだけどね。笑。
「ぼくの考えが正しい」
「それが動物にとって
いいことなんだ」
と正義を押し付けるのは
違うと思ってる。
飼主さんそれぞれの考えがあるし
考えが違っていいと思う。
「まだできる」「まだよくなる」
「まだ諦めない」と飼主さんが
思えば動物が答えてくれる
こともある。
生命なんて常識で計り知れない
ことはたくさんあるのさ。
ぼくの勝手な思い込みで
ぼくが勝手に決めてはいけない。
ぼくが「枯れるように逝く」を
知ってから飼主さんに提案する
選択肢は増えた。
これはぼくにとって新たな
ステージになった。
今日もありがとう
人間より動物好きの獣医
シワ神シワ男
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