こんにちは。
人間より動物好きの獣医
シワ神シワ男です。
ウェルシュ・コーギーの後ろ足から
ゆっくりと麻痺が進んで行く病気が
あるんだ。
変性性脊髄症って言う病気。
そんなに多い病気じゃないけど
ウェルシュ・コーギーは
みられることがある。
当院でも2匹いて、
診断してから3年、
平成最後の日に旅立って行った。
この病気は症状が出てから
3年ぐらいかけてゆっくり進行して
最終的には亡くなってしまう病気。
進行度は個体差があって進行が
遅い子なら4年、5年とゆっくり
進行していくよ。
椎間板ヘルニアに似た症状で
後ろ足の麻痺が少しずつ進んで
いくんだけど痛みがない。
診断としては、他に問題がないこと
椎間板ヘルニアがないこと
遺伝子検査をして遺伝子を持ってる
どうか確認するなどして
総合的に判断するんだ。
この子も他に異常がないこと
遺伝子検査で遺伝子を持ってること
進行がかなりゆっくりなこと
を総合的に考えて変性性脊椎症と
診断したんだ。
飼主さんには「3年ぐらいかけて
だんだん後ろ足が使えなくなって
前足が使えなくなって、
排便、排尿が困難になって
食べるのが難しくなって
呼吸するのが難しくなって
いっちゃうんですよ」
と話をしてた。
それから3年、少しずつ進行して
後ろ足、前足、頭の動きが悪く
なっていった。
今年の1月に診た時は
体が自分では起こせなくなって
排尿障害、排便障害が出てた
「膀胱炎を起こしてくるから
1か月に1回は尿検査しておこうね
膀胱炎になると腎臓が悪くなっちゃう
からね」
と話をしていたが、
この後は来院がなかった
4月になってから食べるのが
難しくなってきてたようなんだけど
飼主さんは変性性脊髄症のせい
だと思って2週間頑張ってケアしてた
ようなんだ。
食べないって病院に連れてきた
時には、確かに変性性脊髄症の
問題もあったんだけど
排尿障害によりおしっこに膿が
混じってる状態になっていて
陰部から細菌が感染していて
その感染が腎臓までいってしまい
腎臓がものすごく悪い状態になって
しまってた。
確かに変性性脊髄症が進行すると
食べにくくなったり飲みにくく
なったりするんだけど
腎臓が悪くなったり、感染症を
起こしても食欲が落ちたり
食べられなくなったりしちゃう。
まだ、呼吸状態もよくて
変性性脊髄症の影響というより、
尿路感染により腎臓が悪く
なったことによって亡くなって
しまったと考えられるんだ。
この子には最後に辛い思いを
させてしまった。
変性性脊髄症は痛みもなくただ
ゆっくりと麻痺をしていくので、
体が動かないジレンマはあるけど
感染症による痛みや熱などの
しんどさはない
感染症や腎不全は
痛いし、
熱も出るし、
しんどいし、
だるいし、
そりゃ食欲も落ちるし
食べられなくもなる。
もっと飼主さんに1か月1回の
来院、尿検査の重要性を説明
しておけばよかったと後悔する
変性性脊髄症の影響によって
膀胱から感染が起こり
それが影響して腎臓が悪くなって
しまったわけだけど
尿路感染のコントロールができて
いれば変性性脊髄症としては
もう少し飼主さんとの時間を
痛み、熱などの感染のしんどさもなく
過ごすことができたんじゃないか
と思うと残念だ。
まぁオレの勝手なエゴだけどね。
改めて診療の難しさを痛感したね。
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