猫の糸状菌症の治療について | 人間より動物好き 獣医師シワ男

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埼玉県新座市のふじわら動物病院、院長藤原です。
ペットが幸せになるためには、飼主さんが幸せになる必要があると思っていて、
まずは飼主さんが幸せになることでペットも幸せになるような診療を心がけています。
サ論代理店


おはようございます。ふじわら動物病院、藤原です。
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前回は、猫の糸状菌症について話をしました。
今回は、糸状菌症の治療について話をします。
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猫の糸状菌症の診断は、難しいという話をしましたが、治療もまた難しいです。
糸状菌の治療は、抗真菌薬を使って治療するのですが、抗真菌薬は被毛に浸透しにくい傾向があります。
被毛に感染しているのですが、その被毛に浸透しにくいため、なかなか効果が出にくいです。
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抗真菌薬の外用薬は、表面の胞子や角質層の糸状菌は除去できるのですが、被毛内の糸状菌には効果がありません。
毛があるところへ外用薬を塗るのが、なかなか難しいです。
感染している被毛の洗浄除去には限界があります。
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内服薬は、毛根へは浸透しまうが、毛の先のほうには、浸透しにくいです。
発症期間の短縮に限界があります。
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そのため、長毛腫では、毛刈りをするのがいいのですが、全身の毛刈りが必要になるため、飼主様は嫌がってしまうことも多いですし、見た目もかわいそうに見えてしまいます。
それが治療のネックになってしまいます。
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糸状菌は乾燥した状態でも生きることができますので、布やカーペット、絨毯、寝床、エアコンのフィルターなどが感染源となってしまうことがあり、治療しても再感染してしまうことが多いです。
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外用薬による治療の効果をあげるには、抗菌シャンプーを使って汚染している被毛を除去し、長毛腫は全身の毛刈りをします。
短毛腫では、病変とその周りの毛刈りをします。
毛を刈った後、一時的に悪化することもありますが、それを考慮して毛を刈ります。
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内服は、抗真菌剤を投薬して治療します。
日本では、イトリコナゾールという抗真菌剤を使います。
イトリコナゾールを4週間連続投与して、その後1週間投薬して、1週間休むという、投薬方法をおこないます。
改善までは、2ヶ月ぐらいかかります。
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環境の清浄化をすることで再感染を抑える必要があります。
感染していると思われる衣類やクッション、寝床、カーペットなどは、本来であれば廃棄していただくことが望ましいですが、全部を廃棄することは原理上難しいと思います。
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掃除機は、毎日かけていただき、塩素系の消毒剤で1週間ごと消毒します。
汚染されている可能性があるところはすべて消毒します。
これがまた大変です。簡単ではないため、消毒をしていないところに糸状菌がいると感染をしてしまいます。
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糸状菌の治療が難しい原因がここにあります。