短編小説 真夏のトライアングル
作:NaNa
★34
私が言うと、リツが速度を緩めて見上げた。思い立って自転車から飛び降り、公園の広場に駆け込むと、一層空は広くなった。
「あった、夏の大三角」
声が大きくなった。リツは自転車を押して私を追いかけてきた。
「すごく光ってる星、三つ見えない?ベガとアルタイルとデネブ。今日の天気なら見えるかなって思った。寝そべってみていい?」
戸惑うリツをよそに、私は芝生にあおむけになった。リツは数歩うろついてから、自転車を止めて私の横に座り、空を見上げた。