ガルフストリームG550の移行訓練 3 | プライベートジェット機長が見た「超」大富豪の投資の世界

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訓練後半、10日間でシミュレーター訓練を行うことになる。

レッスンは7回、そして最終日にチェックライド(審査)となる。

 

その前にプロシージャートレーナーのレッスンが2回入っている。

スケジュールはキチキチに入っておりほとんど休みがない。

実はこのガルフストリームG550の最大の難関がこの最初のプロシージャーにあるのだ。

 

エアラインで飛んでいるパイロットにはわかりづらいのであるが、ビジネスジェットでの運航というのは基本パイロット2名ですべての運航フェーズを行うことができるようになっている。つまりメカニックを必要としないということなのだ。

エアライン運航ではメカニックが事前に航空機の運航前に必要な電源を入れたり、機器のテストなどをしてくれており、そして準備ができたところでパイロットはそれを引き継ぐことになる。したがってパイロットは自分の運航のための準備だけを行えばいい。一方ビジネスジェットの運航ではパイロットが一から電源を入れて機器のテスト(Functional Check)を行い、それに加えて自分の運航の準備も行わなくてはならない。その一連の作業を限られた時間内で行うことを求められるのだ。

 

標準では、航空機に電源が入っていない状態(Cold airplaneという)からエンジンをかけて地上滑走(Taxi)の前まで50分で行うことを求められている。

ところが最初の頃はこれが3時間とかかかってしまったりするわけだ。このような状況を打開するにはとにかく練習しかない!ということでグランドスクール後半では授業終了後に居残って二人で練習を毎日行った。居残り練習をしていて気づいたのであるが、英語を母国語とするアメリカ人訓練生であっても自主練習をしていたのだ。彼らに聞いてみるとこの部分をマスターするのはやはり大変なのだとのこと。そりゃあ、英語を母国語としない我々にとってかなり大変なのは当然なことなのだ!

 

ホテルに戻ってきても暇さえあれば紙レーターでプロシージャーが定着するように覚えたことを復習する。


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教官によると、ガルフストリームG550は2000年代初頭に生まれた航空機なのだが、その開発にあたって当時ボーイング社からリストラに遭ったデザインエンジニアたちによって設計されたため設計思想や用語がボーイング757/767シリーズに似ているという。私はボーイング767に乗務していたことがあったので確かにそのように感じていた。まあ、ある意味私に有利であったわけだ。

 

次回はレッスンの内容について述べることにしよう。

 

つづく

 

 

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