一ヵ月前の事となりましたが
6月14日、本年の初試斬会を実施しました。
思えばこの日が今年最初の夏日だったかもしれない…
北海道の6月中旬で30度近い暑さとなり、
更にその半月後の月末頃には連日30度超えることになろうとは…
今年の暑さはひと月早い…
この暑さの中で今回の参加者は
ワタクシ、藤原。
トシゾー教授
HASE氏
櫻田又五郎殿
そして戸田宗家
実はですね…
試斬自体は二年ぶりでしてね
2本斬って、残りは残骸をかき集めて数回斬っただけ
本格的に斬るのは実に三年ぶり。
とはいえ、普段の形稽古はしっかり行っていますので、腕は全く衰えておりませぬ。
ここ数年で世にはびこるおかしな動画とか色々見る機会が増えまして
おかしな動きと正しい動きを比較して論理的に考える場面もかなり増えてきました。
で、一つの結論にたどり着いたわけですよ。
試斬は普段の形稽古の答え合わせ。
これ。これが全て。
斬れなければ意味がないというのが大前提ではあるんですけど…
矛盾するようですが、結局のところ試斬は試斬であってそれ以上でもそれ以下でもなく、
そこから学べるものって対象との間合いの取り方、実際に物を斬る際の感覚といった程度でしかなく、
試斬ばかりやっていても正しい体捌きは当然、正しい振り方すらも学べないでしょう(中には例外の人がいるかもしれないが)
まず、最初に巻き藁を前にすると必ずと言っていいほど萎縮します。
萎縮して普段とは違う間合いの取り方、体捌き、剣の振り
そして失敗しようものなら…
力任せに斬ろうとする
振り方はおかしくなる
動き自体がおかしくなる
…と、どんどん崩れて行く。
何度も繰り返せば斬るのだけは上手くなるかもしれないが、ただ斬れればいいってものではない(後述)
という事で試斬試斬試斬と試斬脳になったら、対象物を意識するがあまり形はどんどん崩れていってしまうことでしょう。
見るのも恐ろしい素人試斬やら経験者による未熟な試斬動画を見て
普段の形稽古がいかに大切かという事を改めて認識した次第でございますよ。
普段の形稽古で正しい動きを覚え、
普段の形稽古と同じ動きで試斬を行う。
普段と全く同じ動きでしっかり巻き藁を斬ることができるか?
試斬は形稽古の答え合わせとはそういうこと。
…とはいえ、腕は微塵も鈍っちゃいなかったが、
やはり三年ぶりともなれば感覚がかなり鈍っておりまして
間合い取りとかかなり怪しかったですはいw
やはり最低でも年一くらいで試斬やっとかないと鈍化しますね…
では、前述した「ただ斬れればいいってものではない」を論理的に説明しましょうか。
いやまあ、当ブログでは何度も説明してるんだけどさぁ…
斬り下ろした後の正しい切先の向き・腕の角度がこれ。
本当に技術で斬っているのがこれ。
そして、刀を完全に自分のコントロール下に置いている状態。
切先が下を向いたり横に流れたり、腕の角度がV字になってない場合は正しい斬り方が身に付いていない証拠です。
試斬向けに特化した日本刀を使えば↑こんな状態でも簡単に斬れてしまうので勘違いしている人がかなり多いんだけど
これは技術で斬っているのではなく、刀の切れ味に加えて下方向に働く重力のおかげで斬れているだけなんです。
何も考えずに刀をそのまま振り下ろすとほぼ確実にこの状態に陥るわけです。
切先が対象の方向を向いていないという事は刀が自分のコントロール下から外れており、武術として完全な死に体。
これに気付いていない人もかなり多い。
因みに試斬向けに特化した日本刀とは刀身の断面が完全に三角形に研磨されているもの。
かなり切れ味がよくなりますが、刀身自体の強度が脆くなり、刃こぼれしやすく曲がりやすいどころか下手すると折れる。
とても実戦に耐えられる様なシロモノではなく、当然古い時代にこんな物は存在しません。
我ら不伝流では、これを使っては上達しないと忌み嫌い使用しないよう避けています。
では、何故に切先が下を向いたり横に流れたりするのかというと止めの動作ができていないから。
その「止め」も最後にただ剣を止めれば良いというわけではなく、
正しい振り方を身に付けた上で「止め」を行わないと必ず動作に破綻が生じます。
見る人が見たら一発でバレますよw
以下が一連の流れ
まず、全体を通して力まないことが大前提(力むから刃筋がブレる)
1.剣を振りかぶる(肘は開かない)
2.拳を先に出すイメージで剣を振り始める(刀身が後からついてくる様に)
3.腕が前方に伸び切ったあたりで手首のスナップを使って遠くへ投げ込む様に剣を振る
4.刀身が前方に出ると同時に前腕全体を使って雑巾絞りの要領で柄を締める(手首だけで絞らない)
5.ここで対象物と接触(ここで必要に応じて前腕の締める力を調整する)
6.あとは前腕全体を締めたまま振り下ろす。(前腕を締めると自然と身体へ引き寄せる様な動きになる)
これで切先が相手を向いたままの状態で勝手に刀が止まってくれます。
1、2が正しい振り方への予備動作。
3、4で相手に対して刃を立てた状態を作る
5で刃が立った状態で相手に接触するので、これが本当の「斬る」動作になる
6で刃が立った状態で振り下ろすこれが自動的に「引き斬る」動作になる。
正しくこれができていれば引きの動作を行う必要はない。
厳密には引きを意識する必要はない。
要約すると
脇を締めろ。
前腕を締めることで脇が締まる。
ホントにこれで全て解決するw
これに慣れれば半面の位置で止めたり、水月の位置で止めたり、自分の意志で自在に正しく止めることができます。
大勢が低くなろうが同様。
過去にまとめてるので詳しくはこちら
今回のネタ
秘剣燕返し・カス飛ばし
袈裟斬り後の返しの斬り上げがほっそい先端部にしか当たらず
ドパーーーーーン!!
飛び散るカス
しかし、暑かった…
終わった後は逆給水ポンプと化す。
-御案内-
不伝流 -居合・小太刀・組太刀・体術-
場所 :札幌市中央体育館北ガスアリーナ46 剣道室
練習日:毎週金曜日
時間 :19時~21時まで(片付けの時間も含めてなので、実際の練習時間は20時30分頃まで)
見学も随時受け付けております。
以下のリンク先よりお気軽にお問い合わせ下さい。
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