小説シリーズ25弾です。

今回の表紙絵は前にリクエストがあったYAMAHA SDRです。

今見てもこれはカッコいい。

ギア付き原付きフルサイズぐらいのボディーに200ccの2ストロークエンジンを積んでしまったんだから。乾燥重量105Kg 34馬力。

一度借りて乗ったらわりとトルクも有り乗りやすかった覚えがあります。



見逃し配信中〜↓



ナツミ「うふふタクちゃん可愛いでしょ。ウサミミヘルメットだよ!」




あああ・・・なんてことを…でも僕はそんなナツミさんを不覚にも可愛いって思ってしまった・・・。

だんだんとナツミさんの小悪魔的な魅力に憑りつかれて行きそう。

邪念を振り払い僕は設計図と睨めっこした。

ダメだ僕は水平対向カブエンジンにチャレンジするんだ。

設計図を書きながらも、どうにもならない部分も見えてきた。シリンダーヘッドやピストンは2基のカブエンジンを使い内部の部品も流用するにしてもクランクケースはどうすれば良いのだろう・・・。




ナツミ「ふ~ん。この設計図凄いね!ナツには何がなんだかわからないけど絵が上手過ぎる。タクちゃんの隠れた才能だねえ。」

タクミ「このクランクケースって言う部品だけは手に入らないんです。他のバイクからの流用も出来ないし・・・」

「それは作れないの?」

そうか・・・神さんも良く言ってるな。「無い物は造るしかない!!」って。でもこんなのどうやっても作れる気がしない。

完全にお手上げだ。

一先ず鉛筆を置き、一点を見つめたまま考え込んだ。

ナツミ「タクちゃんまた行き詰まってるの?気晴らしに遊びに行こうよ!!ナツまだこの辺り良く知らないしさ。」

ナツミ「観光出来る様な場所はこの辺りには無いの?」

タクミ「えっ観光・・・・こんな山奥だからナツミさんが好きそうなテーマパークなんかは無いけど・・どんなとこ行きたいんですか?」

ナツミ「う~ん・・・。涼しくなれそうなとこ!!」

タクミ「涼しくなれる所ですかあ・・・・。あ!!心霊スポットなら知っています。」

ナツミ「キャー!!面白そう!!でもやっぱり怖いかも・・・どんなとこ?」

タクミ「僕もまだ行った事が無いんですけど・・・ここから25キロほど山道を走った所に古寺があるらしいんです。廃寺なのかはわかりませんが・・・最近は人が近寄る事も無く。千首坊寺(せんしゅぼうじ)と言われています。噂では戦国時代に大きな合戦があり、あまりにも多くの死者が出たため討ち取られた兵たちの首を集め丁重に弔った寺だと言う言い伝えが有ります。」




タクミ「噂なんですけど昼間でも鬱蒼とした山奥にあり・・・夜中に鐘の音が鳴るとか・・首の数を数える声が聞こえるとか・・・本堂の仏像は毎年少しづつ顔つきが変わるとか・・・誰も居ないはずなのに仏像の装飾品が変わるとか・・・供え花だけは新しいとか・・肝試しに行った若者がキーン・・・キーン・・・と奥から金属を叩くような不思議な音に逃げ帰ったって言う話を聞いた事があります」





ナツミ「なんか怖いけど・・・・探検気分で行ってみない?ナツ・・御朱印巡りとかも興味あるし・・・御朱印もらえるかな?」

タクミ「幽霊から貰えるかもしれませんよ!!」

ナツミ「キャー!!貰えたら日本初だね!!行ってみようよ!!」

しまった・・・心霊スポットって言えば怖がって遊びにいくのは止めになると思ったのに・・・そもそも僕も怖い物は苦手だ・・・・。でも、もう後には引けない。

タクミ「ちょっと神さんに言って来ます!!でもダメって言われたら行けません!!」

ナツミ「私も一緒に頼んであげる!!」

僕たちは二人で母屋で原付をばらしている神さんに声をかけた。





ナツミ「神さん!ちょっとタクちゃん借りてもいい??肝試しに古寺に行くんだけど。」

神「何処まで行くんだい?」

タクミ「千首坊寺です・・・。」

神「あそこかあ・・・昔は住職が居たんだけど住職が亡くなってからは・・・人も寄り付かなくなったらしい・・・・」そう言うと神さんはニヤリと笑った。

神「まあ・・・俺も詳しい事はわからないけど行って来な!」

ナツミ「幽霊が出て来たら御朱印もらう~~~!!」

神「ギャハハ!!なっちゃん俺の分も貰って来てくれ~~~!!気をつけて行って来いよ!!」

ナツミ「じゃーん!今日はこれで行くよ!」

ナツミさんを見るとさっきのウサミミヘルメットを被ってる!





神「ぶはははっ!!なんだよそれ肝試しに行く恰好じゃねえな!」

ナツミ「え~?可愛いじゃん!」

タクミ「ぷぷぷ・・・可愛いけど肝試しの雰囲気が台無しです・・ぷぷぷ・・・」

ナツミ「怖いからこそ可愛いのが大事なの~~~~!!」

神さんに爆笑されながら見送られ・・僕も笑いを堪えながらボルティーに跨った。

ナツミさんもタンデムシートに跨り出発だ!

「ブォーン!ボロロロロン!!」

幾重ものつづら折れの山道を超えた。




路面は荒れ・・・対向車が来たらすれ違えない程の山道を進んだ。

枯れ枝や苔・・・道路を横切る沢水・・・。

もうすぐのはずなんだけど・・・・・。

首の無いお地蔵さんを超えた。




何やら空気が変わった・・・。

昼でも暗い細道の先に廃寺のような千首坊寺が見えて来た・・・。

ナツミ「タクちゃん・・・なんか予想以上に不気味だね・・・。」

つづく。



★★★★★映画 「私はあなたを知らない、」

観て来ましたよー。

中野量太監督の最新作「私はあなたを知らない、」

これは厄介な映画でした。

観る人の立場によって意見が分かれるかなと。

男性側の意見、女性側の意見でも違うだろうし。

結婚してるか。して無いか…。

子供がいるか、居ないか…。

アルバイトの人か。

正社員の人か。

派遣社員の人か。

現在子育てをしているか、もう終わってるか…。

それぞれの立場でも違うかもしれない。

主人公になんて声をかけてあげれば良いんだかわからなくなる。

俺も主人公みたいな焦りとか失敗。空回りとか沢山して来たからねえ。

そして女性は残酷だと男である俺は思ってしまった。

でもこれは男である俺の意見であって女性にとっては理解不可能な事を男はしてしまうんだろう。

男性の良かれは女性には迷惑でしか無いのかも。

女性目線からしたら残酷でも無いし。むしろ恐怖なのかも。

やべえ…主人公に感情移入してた。

孤独な独身男性は必ず見よう!

シングルマザーも必ず見よう!

おじいちゃん、おばあちゃん世代でも全く違う感想になるかもしれない。

あの時、何が正しかったのか。

どちらの言い分が正しかったのか。

もっと寛容になれれば良かったのか。

幸せとはなんだろう。

どうすれば良かったのか。

この映画って一度観ただけじゃ答えが出ないんだよねえ。

俺ももう一度確かめたいシーンが何箇所かある。

上映後に中野量太監督が登場して観客と質疑応答タイム。

やべえ…量太が出て来た。

バレるかなあ。なんかドキドキして来たぞ。




観客「私は5回観たんですが…」とか言う人がザラに居るのが凄い。 

七回観たとか言ってる婦人も居た様な。

まだ公開三日目だぞ!

そんなコアな映画ファンが映画のシーン事の確認などを監督に問いかけ、監督がこれまたクソ真面目に…いや真摯に説明している。俺は監督に黙って見に来たので見つから無いように押し黙る。

みんな凄い熱量だな。

湯を沸かす程熱い中野、愛!!

俺の考えて来た質問なんて、恥ずかしくて言え無いな…。

こんなに熱心なファンが居るなんて…。

舞台挨拶。質疑応答も終了してパンフレットを買った人はサイン会に参加出来ると言うイベントが…。

実は俺も記念にパンフレットを買ってるし。

悔しいけど並ぶかあ…(笑)

列が長え〜!

なんかドキドキしてきた。

実際に会うのは13年ぶり?

1人1人と短い対話しながらサイン書いてる。

そして遂に順番が!

俺「うぇ~い!忙しそうだな。」



量太「うわあー!来てたのかよー。」



アポロ(私の昔のあだ名)へって書いてと言ったのに。

びっくりしすぎてアポロですになったらしい…。

ふ〜。

13年ぶりに会った量太は、相変わらずの量太でした(笑)

でも、この映画は相変わらずじゃない。

中野量太が10年ぶりのオリジナル脚本で作ったら観る人に丸投げして来やがった〜!!

なんだろうなこれ。

わからない。

わからないんだけど、自分なりの答えを出したい。

だから七回観ましたとか言う人が現れるんだ。

自分なりに答えをどうしても出したくなる。

答えを出さないと納得出来無い。

これさ。問題作だよ。

観終わって数時間経った今でも、

「あの時どうすれば良かったんだろう?」

と考えている。

主人公が悪かったのか。

相手が冷たかったのか。

誰も悪くなかったのか。

たぶん観る人によって答えは全部違う。

「私はあなたを知らない、」

観終わってから、このタイトルが妙に重く俺にのしかかる。

答えのない映画でした。

だから俺は、もう一度観ようと思う。

あなたなら、どう思う?

映画館へ確かめに行ってみませんか?

きっと眠れなくなります。


小説シリーズ第24弾です。



今回の表紙絵は何だかわからないかも。


これはSUZUKI TS50ハスラーです。


私が初めて買ったバイクがTS50ハスラーでした。


新車で黒を買って多摩川の河川敷を走ったり(当時は違法に造られたモトクロスコースがあった。)


奥多摩にツーリングに行ったり。


オフロードバイクを買ったのに峠のワインディングが楽しい事に気がつく。


当時、XLR80で日本一周から帰還した兄に相談。このバイクにオンロードタイヤを付けたらダメかな?と。


そしたらスーパーバイカーズカスタムと言うカテゴリーのカスタムがあると!(当時はモタードと言う言葉はまだ無かった。)


当時兄は日本一周から帰って来て暇だったのかも。費用出してくれたらやってあげるよ!となり、やって貰う事に。


色も任せたら自家塗装で山吹色と茶色の渋い配色となる。


フロントフェンダーは短くカットしたり。


リアフェンダーは根元を切って詰めました。


フロントは純正は21インチだったのでリアタイヤのホイール18インチを注文して、なんと兄が当時出入りしてたショップに持ち込みこのホイールを組んでと無理やり押し付けて来たとか。


スポーク36本すべて切断してネジ山を切りホイール組して貰った変態仕様にヨコハマタイヤのハイグリップなロードタイヤを履かせました。


楽しいバイクでした。


峠の下りなんか速かった。


そんな思い出のバイクながら写真が1枚も残って無かったので記憶を頼りに画像生成。


そんな思い出のバイクにナツミさんに跨がって貰いました。


前話と前々話のリンク貼っておきます。見逃した方はこちらからどうぞ。二十二話に1話からのリンクも貼ってあります。↓




以下本文となります。↓



眠れない夜を過ごしてまた夜が明けた・・・・。


僕は朝一で自動販売機の補充とナスの収穫を終えるとまた今日も作業場に籠る。


振動かあ・・・・。


まずはエンジンマウントにラバーを追加する。


クランクのバランスを見直す。


そしてフライホイールを重くする。



とりあえずこれで様子を見る。


キック1発!


「ドドドドドド・・・・!!」


おっ!振動が収まったぞ。


これなら行けるかもしれない!


しかし数十秒後だった。


「ガリガリガリガリガリ・・・・・」



タクミ「止まった・・・・。」


シリンダーを触る。


「熱っ!!」



ピストンはシリンダーに張り付いたままびくともしない。


「振動を抑えようとすると重くなる・・・。」


「軽くすると今度は暴れる・・・・。」


「冷却も片側だけ熱くなる・・・。」


「これじゃあ何度作り直しても出口が見えない・・・」


苦労してやっとピストンを救出…。




「ダメだ…。」

何か良い方法は無いかなあ・・・・。


そんな時だった。作業場の本棚で長い間、埃を被ってる古い整備書を手に取った。


何度もめくられたページには油汚れが有り・・・書き込みも目立つ・・・。


神さんが若い頃に読んでいたのかなあ・・・・。


エンジンの形式や歴史が記載されたページをめくっていくとBMWやスバルの水平対向エンジンの記載に目が止まった。


「左右のピストンが反対方向に動くことで振動を打ち消す」





「…これだ!!これならいける!!」


水平対向エンジン!!これなら振動の問題も冷却の問題も解決できるかもしれない!!


スズキのギャグに水平対向エンジンが載っているイメージが稲妻の様に僕の全身を突き抜けた。




出来るのか!!


これはとんでもなく難しそうだ!!


僕は紙と鉛筆を持ち設計図を書き始めた。


「ニャオーー。」



あ・・・トリコ。


「ごめん朝ごはんまだだったね・・・」


僕は鉛筆を置いてトリコの餌を取りに向かった。


頭の中は水平対向エンジンの事でいっぱいだ。


その時だった。


ナツミ「おはよう!!タクちゃん!!出来たよ!!ウサミミヘルメット!!ナツまた夜なべして頑張った!!」






ナツミさんが僕のヘルメットを被って登場した。


ピンクに塗られた僕のジェットヘルに靴ベラで作ったウサミミがくっついていた・・・・。


後ろにはでっかいハートマークまで書いちゃってるよ。


ウサミミヘルメットって・・どうしてもそれ被らなきゃダメ・・・・?


ウサミミってバイクに付けたいのかと思ってた・・・


がびーん。


つづく。