無事に野宿の夜が明けた。

不思議なもので昨日テントを張る時には不安な場所だったのに一晩経つとここが我が家になっている。

とっつきにくいヤツだったけど悪いヤツでは無かったそんな感覚だ。

目覚めのコーヒーを淹れて活動開始。

朝から焚き火。

天気は下り坂みたいだな。


今日は一気に高知まで走る予定だ。

サプライズで兄のやっている珈琲屋さんに顔を出そう。

びっくりさせたいので何も連絡はしていない。


突然行って泊めてじゃ悪いからなあ…。


うーむ。

泊まってけよ!って言われるかもしれないけど。

言われ無いかもしれないし。

10年ぶりだし忙しくて迷惑がられるかもしれないし。

今日は午後から雨みたいだし。

泊まる所は確保しておこう。

中土佐に※ライダーズインがあるのか!


(※ライダーズインとは? 全国でも高知県だけにあるライダー中心に考えられた宿泊施設です。 手頃な料金設定と宿泊者同士の交流が楽しめることが特徴です。 四万十の他に梼原、中土佐、奥物部、室戸にあります。)


珈琲屋は高知の津野町だからまず中土佐のライダーズインに泊まってから様子を見に行くにしようかなあ…


ライダーズイン中土佐に電話すると空いていたので早速予約。


ライダーズインはバイクが置ける軒下付きのカマボコ型のコテージが並んでる施設。料金は素泊まり3400円らしい。




そうと決まれば出発!

舗装路まで出る迄は気を抜けない。

砂地の轍とゴロゴロ石と戦いながら無事に潜水橋に出た!

橋を通って来た車は驚いただろうなあ。

こんなとこから荷物満載のバイクが出て来たって。

道はすぐに農道になる。

地図で見るとこの辺りは吉野川の広大な中洲が耕作地になっている様だ。




菜の花が両側に満開。

写真を撮ってたら軽自動車が停まった。

んん?邪魔かな?って思ったら。窓が開き乗ってたオバちゃんに「綺麗でしょー!ここ!」って話しかけられた。

私「凄い綺麗ですよねえ〜!」って言ったらとっても嬉しそう。

もしかしたらオバちゃんが植えたのかも。

Googleさんに任せて進むと県道12号を少し進んでから吉野川を渡り美馬市の辺りから国道192号へ。

走ってたら思い出して来たよ。

10年前の苦行ロードだ(笑)

当時のブログより抜粋↓








10年前に台風と共に徳島に上陸して翌日に徳島から高知の津野を目指すも国道32号が通行止めになり迂回路も無くて朝出て来た徳島のビジネスホテルに引き返したんだよねえ(笑)

翌朝、高速は通れるらしいと出発したら高速に辿り着く前に高速が通行止めになり。高知入りを諦めてしまなみ海道に向かったんだよねえ…。あの時は酷かった。四国全土に避難勧告が出たのって前代未聞だったんだ。

はじめて今回、濁流じゃない吉野川を見たぐらい。

192号を進んで三好市の辺りから国道32号へ。

あ〜!此処だ!

10年前に国道32号に入ってすぐに消防署員が通行止めしてたとこだ。

途方に暮れたよねえ。朝から大雨の中80Km走って来たのに高知に行くには徳島まで80Km引き返して太平洋側を国道55号線でぐるっと周るしか無いって言われた時は…。

そしてその55号も通行止めになるし…(笑)

今だから笑えるけどなあ。

当時途方にくれて引き返す時に休憩で寄った無人駅三縄駅を横目に今回は先に進める!

32号をそのまま進めば景勝地の大歩危、小歩危へ。おおぼけ、こぼけって読むのかと思ったら、おぼけ、こぼけだった。

道中「大歩危診療所」って看板があってね。大ボケ診療所だってえ〜そりゃあまずいよ〜!って失礼ながら思ってしまった(笑)

小歩危の辺りで昨晩は風呂に入れ無かったから温泉に入ろうと温泉宿で止まるが、まだ日帰り入浴は出来ない時間帯らしくそのまま走る。

思えば写真も撮って無かった。

御飯を食べる場所もあまり無くお腹も空いたけどそのまま走る。

この辺りは吉野川の上流域。ワインディングロードがつづく。

徳島から県境を超えて高知に入ったな。

そのまま国道32号を走り続けやっと山道から抜け出した。南国市に出た辺りで「天然湯ながおか温泉」の看板に停まる。温泉に入って行こう!

やっと風呂に入れるね。もう昼かあ…。

温泉は900円だった。今回の旅で思ったね。温泉もガソリンも高くなったよねえ。
長旅には大変な時代だよね。

高くても入るけどね。

朝から顔も洗って無かったので風呂に入りさっぱり出来た。

同じ施設内に台湾料理屋があったのでお昼もここで食べて行こう。


このセット安い!これにしよう。

醤油ラーメンとチャーハンのセットで!


おお!

半チャーハンが来ると思ったら普通に1人前の量か!

これは気合い入れ無いと。

温泉とは別に料理屋に直接入れる入口もあり昼時だし、お客さんがどんどん来るね。

安くて美味しいもんねえ!納得。満腹。

「あ〜!腹が苦しい〜!」って外に出たら雨が降り出す。

…!!

降って来ちゃったかあ。予想より早く無い?

ここで雨合羽、長靴、ビニール手袋と完全装備に。

走り出したら本降りに。

いかん。スマホが濡れるね。

スマホホルダーを出来るだけハンドルのマウント側に移動させてウインドスクリーンのある範囲内に収める。

走り出すと効果絶大。

雨の直撃弾は喰らわなくなった。

そのままGoogleさんに道を任せると高知市街を避けて海岸線の県道に出てくれた。

桂浜の辺りを抜けて入り組んだ浦ノ内湾をかすめて走る。

不思議な地形だよね。湾の奥行きは結構有るのに入口はちょこっとしか開いて無い。




湖の様だけど海なんだよね。

浦ノ内湾を抜けたらもう須崎。

須崎から珈琲屋のある津野町は30分ほど。

須崎でガソリンを入れたらちょっくら先に珈琲屋に顔出しに行こう!




ガソリンを入れてたら雨脚が強くなり土砂降りに!

いつだって珈琲屋に向かう道は雨なんだよ!

「チュドドドー!!」もの凄い降りになって来た。

酷え流石に吹き込みでスマホが濡れて来た。

雨煙で前も良く見えない。

でも10年前の記憶は確かだ。

確実に珈琲屋は近づいてる。

あと5分…。

あと3分。

あと1分。

見えた。

そ〜っと到着。

驚くだろうな。

こんな雨の中、山奥の珈琲屋にバイクで来る奴も居ないだろうし。

わざとヘルメットを脱がない。

そ〜と覗き込む。

兄が居た…。

ヘルメットに付いた雨粒で顔も見えないはず。

静かに戸を開けた。声色も変えて。「スミマセーンまだ珈琲飲めますか?」

兄「おう。」

…。アレ?

私「全然驚かない!なんで?わかった?俺って?」

兄「だってさあ。バイクで来る人は居てもそんなガチなホムセン箱積んで来る人なんかオマエしか居ないから!」

そうか…つまんないの。

10年ぶりに弟が来たのにリアクション薄っ。

程なく向かいの自宅から呼ばれた兄嫁がタオルを持って現る!!

兄嫁「〇〇君!嘘でしょー!!ギャー!ウケル!!突然来るなんてー!!www!!」

そうそう!!そう言うリアクションが欲しかったんだ!!良かった喜んでくれる人が居てー!

兄「もしかして仕事辞めた?」

私「そうだよ辞めちゃった。だから旅に出たんだよ!」

兄「ギャハハ。辞めたのかよ〜!!ハハハ!」

やっと笑ったな。

何故か昔から俺の周りの人って俺が仕事して無い時の方が嬉しそうなんだよね。

いつも旅をしてるイメージなのかも。

兄嫁「今日は泊まるの?」

私「大丈夫!突然じゃ悪いと思ってこれから中土佐のライダーズインに行くから。」

兄「えっ!中土佐のライダーズインの人なら知ってるよ。此処に来た事がある。宜しく言っておいてよ。」

何はともあれ珈琲を入れて貰う。

弟の俺が言うのも何だかここの珈琲は超絶に美味い。

水も良いしねえ。

ここはカフェと言うかコーヒーが飲める焙煎所だ。

まず炭酸水が出て来て口の中をクリアにする。

味覚を研ぎ澄まして珈琲を口に含む。

ゴクリ。

美味い!!相変わらず美味い。

兄「シフォンケーキも食べる?」

俺「いや…さっきラーメンとチャーハン食べたからまだお腹いっぱいでさあ〜…」

兄「食べるよね!」

有無も言わせずシフォンケーキ登場。

ケーキは兄嫁が担当。ケーキも手作り。

やばい。デカい。

でも食べ始めると美味い!!

結局ぺろり。

自家焙煎した珈琲豆も売ってたり。

珈琲を淹れる用品も売ってたり。

コーヒー7不思議↓詳しくはリンクへ。
https://g.co/kgs/yBjn2t6


兄「明日なら泊まっていいよ!泊まる?」

私「えっ!本当に!いいのー!泊まるー!」

しめしめ。その言葉を待ってたよ(笑)

10年ぶりに居候だ。

一度心を許したら暫く出て行かないから…(笑)

それから3人で10年分の話しをするには当然時間が足りず。また明日ゆっくり話そうと中土佐へ出発する事に。

私「コーヒーのお代だけは払って行くよー!」

兄「えー!いいよ。要らないって!」

私「え〜!いいの〜?本当にー!うふふふ。」

兄「ギャハハ」(白々しい事言いやがってと、きっと思ってる。)

その言葉も待ってたよwww。じゃあ。ごちそうさま。

って事で一先ず退散!!

ライダーズイン中土佐は此処から1時間弱。

山から降りる時も物凄い雨。

前も見え無い程。

ゆっくり走りなんとかライダーズイン中土佐に到着。

ここは高知県が始めた施設。高知県に4ヵ所あるライダーズインの1つだ。経営は民間にそれぞれ任せられてるらしい。

オーナーさんがエンジンの音で出て来てくれた。

御夫妻で大阪から来てこの事業を引き継いだとか。

ライダーズイン中土佐の2代目オーナーだとか。

広い管理棟に入ると奥様が居て受付。

素泊まり。寝袋持参で3800円だった。

受付時にオーナーさんに津野町のコーヒー7不思議の弟ですって言ったら、おー!ってなってた…。

オーナーさん「落ち着いたら管理棟に来ればと。今日は外国人しか泊まって無いけど良かったら交流しましょう。」と。






う〜む。ハードルが高いお誘いだ。

外国人かあ。

日本人のライダーなら大丈夫なんだけど。

言葉の壁は厚い!

しかしながらコーヒー7不思議の弟さんは誘ったけど来なかったな…ノリが悪いんだな。って思われるのもな。

俺はサービス精神旺盛な人見知り。

景気づけにビール飲めばきっと大丈夫だ!


「グビッ!」

「グビグビ!!」

行ける気がする。

ツマミとビールを持って管理棟に乗り込んだ。

薪ストーブがあって暖かい。

欧米の男性が一人。

アジア系の女性が二人。

皆で鉄板焼?

オーナー夫妻に促され席に付く。

私「英語なんて喋れないですよ〜!」

オーナーさん「頑張って!」

枝豆を食べながらビールを飲みながら見て居るとオーナー夫妻もスマホの翻訳機能を使ってコミュニケーションを取っている。

欧米人の男性と目があった。

私「Where are you from?」

男性「USA」

オーナーさん「英語喋れるの?」

私「これぐらいはwww」

本当は誰か助けてー!!って思ってた。

ここからはもうテキトー。

アメリカ人男性と女性2人は3人で自転車で旅行してるとか。

女性はベトナム人。此処まではわかったよ。

こちらも写真を見せながらこれまでの旅を説明!!

たぶん理解してくれた。

オーナーさん「凄い!喋ってる。数日前にも外国人が何人か来て日本人ライダーが一人で…その人は下向いちゃってさあ…可愛いそうなぐらい。」

私「俺。オーストラリアもバイクで一周してますから!」(ドヤ顔)

オーナーさん「えー!!」

私「オーストラリア モータサイクル パーフェクトラン!!」

カタカナ英語…(笑)

アメリカ人「!!」

通じたみたい。

ぶっちゃけた話しほぼ日本語とゼスチャーだけで乗り切れたのか?

ベトナム女性に焼いてもらったカマスの塩焼きを頂く。

ベトナムの方にに焼いて貰った日本の干物は美味かった。

こうしてライダーズイン中土佐のディープな夜はふけて行くのであった…。

明日は珈琲屋に引っ越しだな。

つづく。


明るくなって来たのでテントから這い出した。

淡路島で迎えた感動的な夜明け。


中々こんな景色の良い野営地も無いよな。




いっきに淡路島が好きになる。

南の島の夜明けの様だよねえ。


何故に野宿。何故にキャンプで不便な旅してるのかって問われたら節約も有るけどさ。

こんな夜明けが見たかったり。

綺麗な夕焼けを見送りながら焚き火をしたかったり。

真っ赤な炭となった焚き火を見ながらビール飲みたかったり。

眠くなったらテントに潜りこんで眠る自由が味わいたかったり。

野宿旅ってその土地の匂いを一番近くで感じられる気がするんだよねえ。

とは言え。時には雨の中を走ったり。

テントを張る場所にも苦労したり。

良い場所ばかりでは無いし天候に恵まれるとも限らない。

星を付けるとしたらこの日の野宿は★★★★★満点。五つ星だね。


夜明けはまだ肌寒い。

朝も椰子の葉で焚き火。

そして朝から釣り。


今朝もダメ元で一応、餌は付けて投げておく。



椰子の下でキャンプなんて贅沢だけどここは淡路島。



兵庫のハワイ淡路島。


淡路島がこんなに良いとこだったなんて。

気まぐれに立ち寄らなかったらずっと気が付かないまま通り過ぎてたな。




「チリリリン!」

投げてた置き竿の鈴が鳴った。

おっ!遂に何かかかった。

ゆっくり巻いて来ると。

オマエか!(クサフグ)


淡路島まで来て顔見知りに会ってしまった。

俺の追っかけじゃ無いよね?

まあボウズを回避出来たのは、ありがたいけど。

「ポチャン!」

ふてくされて膨らみながら帰って行った。

テントを撤収後にこの辺りを散策。

キャンプをしながらも時折風に乗って線香の香りが漂って来ると思ってたらこの辺りは日本一の線香の生産地だとか。


古い町並みに線香の工場がたち並ぶ。なんとも言えない風情のあるところだな。

飛び出し坊やだあ!




海沿いを走ってたら海岸の高台に神社が見えた。

ちょっと気になる。

見に行こう。



海岸っぺりにバイクを停めて潮の香りを思いきり吸い込んで深呼吸。


淡路島の海って底が暫く見える様な遠浅の海が多いな。



綺麗に植えられたチューリップを眺めながら少し歩いて神社が見えた辺りへ。



ありゃりゃ神社の境内に入ってみるとここは300円の無人キャンプ場なの?



誰も居ない階段を上り参拝。


眺めもいいね。

わざわざ中々立ち寄らない場所ほど実は味があったりする。





10円玉を賽銭して祈る。

「10円分の御加護を下さい。」

10円だとどれぐらいだろ。

蚊に1回刺されるのを免除されるとか。



この辺りはイブキ群落が推しらしい…。

こう言うのってさ素人目にはただの木だからさ。

それが凄く学術的価値があったとしてもふ〜ん…で終わるんだよねえ。

誰が見てもわかる花の群落とかなら感動もあるんだろうけど。

思わず北海道の焼尻島で見たオンコ(イチイ)の原生林を思い出した。

あの時も。

ふ〜ん…ただの木だな…で終わった。

ち〜ん。


近くには静かな港があったり。

雰囲気の良いとこだな。

古びたベンチが歴史を感じるね。

地元の人が清掃してくれてるのかゴミ一つ落ちて無い広場があったり。

お年寄りがゲートボールしてそうな広場だけど。

ここがキャンプ場なのか?

端の方にはテント設営禁止とあるし。

どういう事だ?(昔はキャンプ場があったとか?)

後から調べたらこの辺りは海辺に散策コースもあって。キャンプ場も昔は開設してたらしい。

そしてここ明神岬って淡路島随一のパワースポットだとか。生まれ変わる場所だとか。

う〜む。

偶然だけど呼び止められたのかも。

生まれ変わってもまた旅人で居たい。




菜の花を抜けてまた海へ出る。



大鳴門橋を渡ってしまえば淡路島が終っちゃうから寄り道。名残り道だ。

島の南端辺りにある道の駅 福良。


賑わってるね。

到着したタイミングで出港する帆船が。


これは!?

1860年に勝海舟が太平洋を横断した。

咸臨丸!


を再現したレプリカ船。

鳴門海峡の渦潮を見に行く観光船だ。

でもこれ。レプリカとは言えカッコいいね。



建物内にあった。無料玉ねぎスープ。

温かいスープが有り難い。

淡路島は玉ねぎの一大産地でも有るからねえ。


無料の試食がまたあった!

わかめも旨し。

無料大好き。

さあ。

いよいよ淡路島ともお別れ。

大鳴門橋をバビューンって渡ればいよいよ
四国。

さようなら〜!

淡路島〜!

淡路島南から高速に乗れば直ぐに大鳴門橋だった。

鳴門海峡だあ〜!

行くぜ四国〜!!

渦潮が見えたー!!

鳴門北で降りて一瞬で高速区間終了。



あっという間だったね。


四国まで来てしまった。

12日もかかったなんて…(笑)


大鳴門橋 940円分は楽しめたかな?

ここで地図とにらめっこ。

この辺りにウチノ海って言う入り江があるみたいだから行ってみよう。

なんだかとっても不思議な風景の海沿いの小道を進むと広いとこに出た。

大きな公園があるぞ。

広い駐車場に止めてちょっと見て来よう。

散々あちこちで見て来た桜もそろそろ終盤かな。



凄く開放感のある公園だ。




鳴門ウチノ海総合公園。

入り組んだ地形の湾に作られた公園の様だ。

ウチノ海って不思議だね。

ひょっとして汽水域?


ぐるっと島と半島に囲まれた海を橋で結んで陸続きで走れる様だね。




公園には広大な広場もあって皆、思い思いの休日を満喫してるね。

広い芝生の公園でバーベキュー迄はしても良いらしい。

テントを張るのはデイキャンプを含めて禁止って書いてあったけど張ってる人は居たから黙認なのかも。


凄く良い場所なんだけど。

ダメって書いてある場所はやめておこう。



今日も何処かで野宿だろうから水だけ貰って行こう。

明確に今日の目的地は決まって無いんだけど徳島市街を避けて吉野川の河川敷とかでテントを張れないだろうか。

こう言う時にいつも思う事がある。

すれ違う車の人も歩いてる人も当然、今日帰る家が有るんだろうな。羨ましいなと。旅に出なければこんな苦労も無いのに何故に10年に一度ぐらい旅に出てしまうんだろうと…。

仕事を辞めたら旅に出なければいけない自己ルールを決めた覚えも無いし。

帰ってからの生活だって毎回楽では無いし。

旅依存症とか焚き火依存症とか言う精神疾患とかがあるかも。あ〜恐ろしい不治の病だ。


国道を走り徳島市街までもうすぐの辺り。

わかり易い看板「徳島ラーメン」

御当地ラーメンはやっぱり食べておきたい。

丁度お昼だし。



ここはチェーン店?

徳島ラーメンの有名店かは、わからないけど。

結構賑わってる様だ。

食券を先に買って15分ぐらいで席に通される。


チャーシュー麺850円。

へー。こういう感じの濃い目のスープなんだね。

味は豚骨醤油ベースか?見た目より味は濃くなくコクの中に旨味もあり美味しい。


ちょうど徳島市街に入る国道の入り口辺りにあるので、でっかい徳島ラーメンの看板が目に飛び込み入り易い店だった。

「ようこそ徳島ラーメンのまちへ」

まさにウェルカムラーメンだな。

そのまま走り吉野川の河口にかかる大きな橋、吉野川大橋を渡る。

渡りながら河川敷でキャンプ出来ないか物色する。

広いんだけど降り口がわからない…そしてまだ周りが都会過ぎる。

渡り切るとこの先は徳島の繁華街になってしまうから県道を右折して吉野川を少し遡る方針へ。

思えば10年前の四国放浪記の時は台風と共にフェリーで徳島に上陸したっけ。フェリー降りたら水深10センチの道を走ってビジネスホテルまで向かったんだ。

吉野川なんか堤防決壊寸前の大氾濫で恐怖感すら覚えたほど。



↑当時書いたブログ(FC2ブログに残してます)

ヤマハ ブロンコが懐かしい。

辛い旅こそ記憶には鮮明に残ってる。

それから十年。今回は天気も良いし。

このままキャンプ出来そう。

テント場を探す前にスーパーで買い出しを済ませて駐車場でツーリングマップルとにらめっこ。

少し吉野川を遡ったあたりに潜水橋川島橋。川島公園の表示があるな。

何と無く旅の勘で潜水橋がある辺りに潜水橋の歴史や由来が書いた表示板があり潜水橋を望める場所に整備された芝生の広場があったり東屋があったり。トイレもある。そんなイメージだ。

川島公園を目的地にグーグルさん任せに進む。

すぐに吉野川土手沿いに出て吉野川沿いを遡る。

グーグル「目的地に到着しました。目的地は左側です。」

右手に潜水橋(沈下橋)を望める場所に出た。

左側を見ても公園らしき物は見えない。

うーん。何だか良くわからないけど。

イメージと違ったな。

川と公園が隣接してるのかと思ったけど公園は見当たらない。

まあ。河原でテント張れそうな場所を探そうかな…。

わりと交通量のある橋だし。

橋から見えない場所ないかなあ。


取り敢えず橋を渡った所から河原に降りられる小道を見つけたので行ってみよう。

河原には車が走ったワダチがあるので行けそうだ。

暫く進んで行くとやがて道かどうかも怪しくなり砂地になったり石の河原になったり。

荷物満載だし。このバイク、オフロード全然走らないね。

何度か転倒しそうになりながら持ち堪え進む。

橋から1キロ弱ぐらいは入ったかも。

広い河原に出た。

バイクを降りて川まで歩いて偵察。

ここだと誰にも見つからなそうだ。

逆に何かあっても中々発見されなさそう。


川からバイクを見るとCB190Xも心なしか不安気だ。

バイクまで戻り考える。

これだけ乾いた草が生えてるって事は暫くは此処まで増水する事は無かった様だな。

今晩も明日も雨は降りそうに無い。

張ってしまおうか…

張らないで今走って来た悪路を戻るのも骨折り損だな。


結局張ることに。

あまり目標物が無い所にテントを張るとそれが目標物となりやっと気持ちが落ち着いて来るんだよな。

張ってしまえばそこが我が家だから。


川迄は100メートル程離れてる。


草に紛れ込む様に張る。


現在位置を確認したら川の中で不安を感じるが台風でも来ない限り水没は無さそうだ。

草の向きも上流に向かってるって事は最近はずっと水に浸かって無い証拠だ。


まあ。取り敢えず景気づけに飲もう!

何かあったら飲む。

何も無くても飲む。

スーパーで買って来た竹の子の天ぷらだ。

季節物だから味わって食べる。

「ポリポリ…」




ある意味こんな広い場所でキャンプするのってオーストラリア以来かも…。




川が近くに無ければあの頃のブッシュキャンプの様だね。

ビール一本飲んだのでもう大丈夫!

今日はここで寝るしか無い!

そう決心した。

釣りにでも出よう!



釣り竿を持って川まで歩く。

後ろを見るとこの広さ。

テントは何処だっけ?


浅くて釣れそうに無いね。

そのまま川沿いを歩いて潜水橋方面に下る。


岩が現れて水深がある場所を見つけたのでやってみよう。

スプーン。スピナーと投げても全く魚っ気無いな。

なにも追っては来ない。



野犬か?

後ろから飼い主が来たので飼い犬で良かった。


釣れそうな川なんだけどなあ。


諦めて流木を集めつつ戻る。

予想はしてたんだけどね。

広大な河原。本当に自分のバイクもテントも見失う。

一応対岸の木が切れた辺りから川に出たとか覚えてから離れたからだいたい場所はあってるんだろうけど。



何処だ?遭難ってこうやって起きるんだろうなあ。

でも大丈夫。ヘンゼルとグレーテルみたいに帰り道がわからなくならない様に川沿いに拾った薪を要所要所に置いて歩いて来た。

その薪を発見したのでこの辺りから陸地に進むばテントがあるはず。

あっ!見えた。見事に草に隠れてた。

俺。こういう事は抜かり無いんだよ。

昔オーストラリアで仲良くなったイスラエル人ライダーカップルと日本人ライダーと四人で道をだいぶ外れて荒野にテントを張った。



こんな感じに。

みんなで10数キロ離れた集落に買い物に行こうと自分達が砂地に付けて走って来たワダチを頼りに舗装道まで戻った。

その時にね。戻って来たら入り口が絶対にわからなくなりそうって2台は先に行ってしまったんだけど舗装道に出たとこにあった木に落ちてたビニール袋を巻き付けてから2台を追いかけた。

買い物しての戻り道。トリップメーターの距離と照らし合わせてそろそろだなと。

先頭を走るイスラエル人ライダーが止まったり進んだり…深刻な顔をして入口が分からなくなったと焦り出した。

何しろ数百キロ景色が変わらない様な場所だからね。

俺もね距離はあってるからこの辺りだったなと見渡すと50メートル程先に自分が巻き付けて来たビニールが見えた。

先頭でそこまで走りここだよ!印を付けといたって言ったら「オマエは天才か!」ぐらい英語で言ってた…英語良く知らんけど(笑)そこからはワダチを頼りにまたテントまで戻れたんだよねえ。

そんな事を思い出しながらテントへ帰還。

ちょっと風が出て来たね。



河川敷の乾いた草に燃え移ると怖いから今日は少しテントや草から放れて焚き火だ。

初めて買ったとろにしんの蒲焼。これがかなり美味かった。


ニシンは百年ぶりぐらいに資源量が回復して近年は松前の辺りでまた捕れる様になったんだよねえ。

サンマが捕れなくなったからこれからはこれが旅の常食!?




焼いてある焼き鳥を暖め直し焼き。

手抜きキャンプ料理の定番だ。


もう野宿の時はこんなで充分だ。

ビールが美味けりゃそれでいい。




明日またこの悪路戻るの嫌だな。

また深い砂のとこ気をつけなきゃ…。



まあ明日の事は明日考えよ。



風も無くなったから焚き火台をテントの近くに移動。

あまり火を大きくしない様に細々と焚き火。

火が消えるのを見届けたら寝ようかねえ…

明日は何処まで進もうか。

つづく。



和歌山の夜が明けた。

お酒が残ってるかと思ったけど。スッキリした目覚めだった。

今日は南海フェリーで和歌山から徳島に渡る予定ながらフェリーの下調べをしていなかった。

フェリーターミナルに電話するとバイクは予約不要で先着順らしい…。20台迄は乗るとか。

料金を聞くとバイクと人で5900円…。

ふ〜ん。わりとするんだね。距離からして当然か!

約6000円として、フェリーだけで1日の平均行動費用ぐらいだな。

ここをショートカットすれば大都会の大阪湾岸を走らなくて済むんだけど…。

もはや急いで四国に渡らないでも良い様な気もして来た。

この旅…当初は4月中旬迄には家に帰ろうぐらいの気持ちで出たんだけど…

九州迄は行きたいなあぐらいの気持ちで。

まだ紀伊半島。とてもじゃ無いけど4月中旬には戻れ無い。

そろそろ財布の紐を締めながら節約旅で続行しよう。

フェリーは中止。陸路で行くことにする。

となると淡路島経由か。

淡路島かあ。

そう言えば21歳の時の日本一周でも四国に上陸する為に高速で走り抜けただけ。

それは淡路島に行ったとは言えないな。

淡路島は旅の空白地帯。

今日は淡路島でキャンプだ。



そうと決まれば後はグーグルナビ任せ。

複雑な都会の道を地図を見ないで抜けてしまおう。

紀の国大橋を渡り国道26号を進めば大阪府に入った様だ。

岬町のみさき公園入口のセブンイレブンでコーヒーとパンで朝食だ。

今日は土曜日かあ。

出発から11日目ともなると、もはや曜日の感覚すら無くなって来たな。

♪「思えば遠くに来たもんだ。この先どこまで行くのやら。」

まさにそんな気分だ。


なんの知識も無く海沿いを走っていると海に向かってる大きな橋が出て来た。



なんだこれ?

凄い長いぞ!

あれひょっとして大阪湾って東京湾アクアブリッジみたいに橋で渡れたんだっけ?



淡路島に渡る橋にしては近過ぎるよね?

地図をやっと見る。

関西国際空港へ渡る連絡橋(スカイゲートブリッジ)かあ!

写真を撮ってる横をびゅんびゅん車が抜いて行く。

邪魔臭くてごめんねえ…横浜でもだいぶ外れの方から来た田舎者なんで知らなかったよ。

砂州があったり珍しい風景ですね…。




橋を過ぎた辺りからいよいよ大阪の中心地を抜けて行く高速道路の下を行く貧乏コースだ。

ちょうど家の近所の横浜湾岸線の高速の下みたいな道だ。常時混んでるのもそっくり。

信号も多いし。この旅始まって以来の大渋滞にハマる。

この装備じゃすり抜けしたく無いしな。

横浜ルールですり抜けしたらぶっ飛ばされるかもしれないしな。土地柄がわからないし暫く渋滞の中であえぐ。

南海フェリーもだてに有るんじゃないんだね。

やっぱりフェリーで渡れば良かったと思っても後のカーニバル。

この渋滞はヤバい。

渋滞しながら何か楽しみがこの先あれば頑張れるかもと閃く☆

明石焼き食べてみたい。

明石焼きって何処に行けば食べられるんだろ。

明石ってどの辺りだっけ。

タコ焼きとはどう違うんだっけ?

そんな事を考えながらずっとノロノロ運転。

車が流れ出したタイミングで左手に甲子園球場が!

あー!甲子園球場ってこんなとこにあったんだ!停まれ無くて写真撮れ無かった。

いつの間に大阪から兵庫県に入ったらしい。

神戸ナンバーが増えて来たね。

そろそろ渋滞にも限界が…明石まで持たない。

六甲アイランドって書いてある道を左折してみた。

六甲アイランドって何だっけ?浜田省吾の歌に「六甲アイランドの埠頭に車停めてさ」って歌詞があった様な。



曲がったらファミマがあった。

やっと休憩出来る。

あれ?ファミマの隣の会社の敷地に何故か、たこ焼き屋さんが。

もはや明石まで走れ無い。

ここのたこ焼きで良いや!





ソースがこんなに種類があるの?

覗いたら若いお姉さんが一人で切り盛りしてた。起業して場所借りてやってる雰囲気。

応援したくなるね。

私「たこ焼き下さい。ソースでネギトッピングで!」

お姉さん「マヨネーズはかけて良いですか?」

私「お願いしまーす。」


タコ焼きにはコーラだよね。

ファミマにコーラを買いに行ってやっとタコ焼きが食べれるー♡

すっかり明石焼きを忘れて。

タコ焼きを食べる。

何気に美味いぞ!このタコ焼き!

「ごちそうさまー!」

たこ焼きをチャージしたから頑張れる気がする。

本線に戻り淡路島を目指す。

やっとやっと淡路島への道標が出て来てほっとする。

そうそう。淡路島って悔しいけど最後は高速に乗らないと渡れ無いんだよねえ。

下道で頑張って来た俺だけどここばかりは仕方無い。30年前にも同じ事を思ったっけ。

いざ高速!そして明石海峡大橋へ。

「ヒャッホー!!」



↑写真は拾い画像だけど実際も絶景だったよ。

上陸した初めのインター淡路で降りる。

後はゆっくり淡路島を走ろう。



渡って来た明石海峡大橋。


橋渡るだけで1940円もしたからね。


橋を撮らないと勿体無い。

ここからは島の西側に廻り淡路サンセットラインを走る。

ガードレールの向こうには消波ブロックが入ってて遠浅の綺麗な海。

進むと南国イメージのお洒落なカフェなども立ち並ぶ。

もっとひなびた海岸線かと思ってたら中々の観光地だね。

土曜日と言うのもあってかレストランも賑わってる。

カップルが手を繋いで歩いてる。

ちょっと俺には場違いかも。

こちとら野宿ツーリングライダー。

取り敢えずスーパーを探してビールと食材買ったらテントを張れる場所を探そう。

※画像は拾いもの。

田舎っぽいスーパーを見つける。

ここがベストかはわからないが。

この後にスーパーが出て来るかはわからない。

迷ったら寄れ。

旅の鉄則。

「何時までも有ると思うなスーパーとガソリンスタンド。」

※画像は拾いもの。

まあ、こじんまりとしたスーパーながら用は足りそう。ビールさえ買えればなんとかなる。



昔は旅の常食だったマルハのさんま蒲焼きの缶詰。

さんま不漁と田舎価格で凄い事になってる。

昔はワゴンに山積みで100円で買えたのに今や手が届かない価格。

あ〜懐かしい郷愁のサンマ缶。いまや庶民の口には入らない。

そして淡路島。中々安いキャンプ場も無いし。

まだ開設時期前だったりで今日も野宿ポイントを漁る。

海水浴場に目星を付けて数か所寄るもどこもキャンプ禁止ってばっちり書いてあるね。



良い場所なんだけどなあ。


禁止のとこは当然ダメだ。




淡路島の海水浴場は全部ダメ何だろうなあ。

ゴミを放置していくヤツとかが居たんだろうなあ…。

でも大丈夫。

次は漁港周りだ。

何故だかわからないけど漁港って近くに公園も作ってある事が多いんだよね。

早速初めの漁港であっ!ここならキャンプ出来そう!ってとこをキープしつつ。

さらに次の漁港へ。

最高の場所を見つけてしまったかも。

広い公園。周りに生け垣があり。道路からは目立た無い。

キャンプ禁止の看板も無い。

人影も無い。

水道はあるけど水は出ないけど。

水は少しは持っているから大丈夫。




「ここを今日の野営地とする!」

何処かで聞いたセリフを口に出しながら設営開始。




張ってしまえばこっちのもの。

それにしてもここ。南国みたいだな。

海岸から1段上がった芝生とか第1級のロケーション。




スーパーで買った唐揚げで早速飲もう。

飲めばもうバイクに乗れない。

さらにこっちのものだ。


ヤシって落葉樹?

一つの葉が大きいから茎の部分はかなり硬いし重い。

乾いてるし、これ薪になるね。


この場所は釣りにも良い。

早速スーパーで買って来たシーフードミックスの小エビを付けて投げる。




護岸に刺してあった鉄筋にY字の枝をバンドでつけて簡易竿立て。

「人間は考える葦である。」



何か釣れるかな。

浅そうだけど。



まあ鈴を付けて置き竿にしておこう。

「バッシャーン!バッシャーン!」

ボラはいっぱい跳ねてるね。



ボラでも良いから釣れないかな。






ヤシの葉と周りに落ちてた小枝で焚き火の準備だ。

置き竿は一向にアタリが無いから。

ルアーに替えて防波堤の先へ遠征。


結局、釣果ゼロだけど流木は大漁だった!!


長い流木はノコギリで挽いて斧で割って行く。

「パッカーン!」

乾いた音がカ・イ・カ・ン!


先ずはヤシの葉と小枝で着火したいけど。


キャンプ場じゃ無いからもう少し暗くなるまで我慢だ。




そろそろ行っちゃう?

ここ誰も来ないし行っちゃいましょう!



「シュボー!!」

おー!ヤシの葉がこんなにすぐ燃えるなんて。

着火剤の様だ。

そうかヤシは油が多いからな。

杉の枯れ葉かヤシの枯れ葉かぐらい燃える。


お〜!いい感じだ。

もはや南国キャンプ。



対岸の夜景も綺麗だし。

最高だ。

魚が釣れればもっと最高なのに。

アタリは相変わらず無い。




でも良いんだ。

俺は焚き火だけあれば飲める!!

「グビリ。」

「淡路島最高ー!!」

こうして今日もご機嫌な夜は続くのであった。

つづく。