無事に野宿の夜が明けた。
不思議なもので昨日テントを張る時には不安な場所だったのに一晩経つとここが我が家になっている。
とっつきにくいヤツだったけど悪いヤツでは無かったそんな感覚だ。
目覚めのコーヒーを淹れて活動開始。
朝から焚き火。
天気は下り坂みたいだな。
今日は一気に高知まで走る予定だ。
サプライズで兄のやっている珈琲屋さんに顔を出そう。
びっくりさせたいので何も連絡はしていない。
突然行って泊めてじゃ悪いからなあ…。
うーむ。
泊まってけよ!って言われるかもしれないけど。
言われ無いかもしれないし。
10年ぶりだし忙しくて迷惑がられるかもしれないし。
今日は午後から雨みたいだし。
泊まる所は確保しておこう。
中土佐に※ライダーズインがあるのか!
(※ライダーズインとは? 全国でも高知県だけにあるライダー中心に考えられた宿泊施設です。 手頃な料金設定と宿泊者同士の交流が楽しめることが特徴です。 四万十の他に梼原、中土佐、奥物部、室戸にあります。)
珈琲屋は高知の津野町だからまず中土佐のライダーズインに泊まってから様子を見に行くにしようかなあ…
ライダーズイン中土佐に電話すると空いていたので早速予約。
ライダーズインはバイクが置ける軒下付きのカマボコ型のコテージが並んでる施設。料金は素泊まり3400円らしい。
そうと決まれば出発!
舗装路まで出る迄は気を抜けない。
砂地の轍とゴロゴロ石と戦いながら無事に潜水橋に出た!
橋を通って来た車は驚いただろうなあ。
こんなとこから荷物満載のバイクが出て来たって。
道はすぐに農道になる。
地図で見るとこの辺りは吉野川の広大な中洲が耕作地になっている様だ。
菜の花が両側に満開。
写真を撮ってたら軽自動車が停まった。
んん?邪魔かな?って思ったら。窓が開き乗ってたオバちゃんに「綺麗でしょー!ここ!」って話しかけられた。
私「凄い綺麗ですよねえ〜!」って言ったらとっても嬉しそう。
もしかしたらオバちゃんが植えたのかも。
Googleさんに任せて進むと県道12号を少し進んでから吉野川を渡り美馬市の辺りから国道192号へ。
走ってたら思い出して来たよ。
10年前の苦行ロードだ(笑)
当時のブログより抜粋↓
10年前に台風と共に徳島に上陸して翌日に徳島から高知の津野を目指すも国道32号が通行止めになり迂回路も無くて朝出て来た徳島のビジネスホテルに引き返したんだよねえ(笑)
翌朝、高速は通れるらしいと出発したら高速に辿り着く前に高速が通行止めになり。高知入りを諦めてしまなみ海道に向かったんだよねえ…。あの時は酷かった。四国全土に避難勧告が出たのって前代未聞だったんだ。
はじめて今回、濁流じゃない吉野川を見たぐらい。
192号を進んで三好市の辺りから国道32号へ。
あ〜!此処だ!
10年前に国道32号に入ってすぐに消防署員が通行止めしてたとこだ。
途方に暮れたよねえ。朝から大雨の中80Km走って来たのに高知に行くには徳島まで80Km引き返して太平洋側を国道55号線でぐるっと周るしか無いって言われた時は…。
そしてその55号も通行止めになるし…(笑)
今だから笑えるけどなあ。
当時途方にくれて引き返す時に休憩で寄った無人駅三縄駅を横目に今回は先に進める!
32号をそのまま進めば景勝地の大歩危、小歩危へ。おおぼけ、こぼけって読むのかと思ったら、おぼけ、こぼけだった。
道中「大歩危診療所」って看板があってね。大ボケ診療所だってえ〜そりゃあまずいよ〜!って失礼ながら思ってしまった(笑)
小歩危の辺りで昨晩は風呂に入れ無かったから温泉に入ろうと温泉宿で止まるが、まだ日帰り入浴は出来ない時間帯らしくそのまま走る。
思えば写真も撮って無かった。
御飯を食べる場所もあまり無くお腹も空いたけどそのまま走る。
この辺りは吉野川の上流域。ワインディングロードがつづく。
徳島から県境を超えて高知に入ったな。
そのまま国道32号を走り続けやっと山道から抜け出した。南国市に出た辺りで「天然湯ながおか温泉」の看板に停まる。温泉に入って行こう!
やっと風呂に入れるね。もう昼かあ…。
温泉は900円だった。今回の旅で思ったね。温泉もガソリンも高くなったよねえ。
長旅には大変な時代だよね。
高くても入るけどね。
朝から顔も洗って無かったので風呂に入りさっぱり出来た。
同じ施設内に台湾料理屋があったのでお昼もここで食べて行こう。
おお!
半チャーハンが来ると思ったら普通に1人前の量か!
これは気合い入れ無いと。
温泉とは別に料理屋に直接入れる入口もあり昼時だし、お客さんがどんどん来るね。
安くて美味しいもんねえ!納得。満腹。
「あ〜!腹が苦しい〜!」って外に出たら雨が降り出す。
…!!
降って来ちゃったかあ。予想より早く無い?
ここで雨合羽、長靴、ビニール手袋と完全装備に。
走り出したら本降りに。
いかん。スマホが濡れるね。
スマホホルダーを出来るだけハンドルのマウント側に移動させてウインドスクリーンのある範囲内に収める。
走り出すと効果絶大。
雨の直撃弾は喰らわなくなった。
そのままGoogleさんに道を任せると高知市街を避けて海岸線の県道に出てくれた。
桂浜の辺りを抜けて入り組んだ浦ノ内湾をかすめて走る。
不思議な地形だよね。湾の奥行きは結構有るのに入口はちょこっとしか開いて無い。
湖の様だけど海なんだよね。
浦ノ内湾を抜けたらもう須崎。
須崎から珈琲屋のある津野町は30分ほど。
須崎でガソリンを入れたらちょっくら先に珈琲屋に顔出しに行こう!
ガソリンを入れてたら雨脚が強くなり土砂降りに!
いつだって珈琲屋に向かう道は雨なんだよ!
「チュドドドー!!」もの凄い降りになって来た。
酷え流石に吹き込みでスマホが濡れて来た。
雨煙で前も良く見えない。
でも10年前の記憶は確かだ。
確実に珈琲屋は近づいてる。
あと5分…。
あと3分。
あと1分。
見えた。
そ〜っと到着。
驚くだろうな。
こんな雨の中、山奥の珈琲屋にバイクで来る奴も居ないだろうし。
わざとヘルメットを脱がない。
そ〜と覗き込む。
兄が居た…。
ヘルメットに付いた雨粒で顔も見えないはず。
静かに戸を開けた。声色も変えて。「スミマセーンまだ珈琲飲めますか?」
兄「おう。」
…。アレ?
私「全然驚かない!なんで?わかった?俺って?」
兄「だってさあ。バイクで来る人は居てもそんなガチなホムセン箱積んで来る人なんかオマエしか居ないから!」
そうか…つまんないの。
10年ぶりに弟が来たのにリアクション薄っ。
程なく向かいの自宅から呼ばれた兄嫁がタオルを持って現る!!
兄嫁「〇〇君!嘘でしょー!!ギャー!ウケル!!突然来るなんてー!!www!!」
そうそう!!そう言うリアクションが欲しかったんだ!!良かった喜んでくれる人が居てー!
兄「もしかして仕事辞めた?」
私「そうだよ辞めちゃった。だから旅に出たんだよ!」
兄「ギャハハ。辞めたのかよ〜!!ハハハ!」
やっと笑ったな。
何故か昔から俺の周りの人って俺が仕事して無い時の方が嬉しそうなんだよね。
いつも旅をしてるイメージなのかも。
兄嫁「今日は泊まるの?」
私「大丈夫!突然じゃ悪いと思ってこれから中土佐のライダーズインに行くから。」
兄「えっ!中土佐のライダーズインの人なら知ってるよ。此処に来た事がある。宜しく言っておいてよ。」
何はともあれ珈琲を入れて貰う。
弟の俺が言うのも何だかここの珈琲は超絶に美味い。
水も良いしねえ。
ここはカフェと言うかコーヒーが飲める焙煎所だ。
まず炭酸水が出て来て口の中をクリアにする。
味覚を研ぎ澄まして珈琲を口に含む。
ゴクリ。
美味い!!相変わらず美味い。
兄「シフォンケーキも食べる?」
俺「いや…さっきラーメンとチャーハン食べたからまだお腹いっぱいでさあ〜…」
兄「食べるよね!」
有無も言わせずシフォンケーキ登場。
ケーキは兄嫁が担当。ケーキも手作り。
やばい。デカい。
でも食べ始めると美味い!!
結局ぺろり。
自家焙煎した珈琲豆も売ってたり。
珈琲を淹れる用品も売ってたり。
コーヒー7不思議↓詳しくはリンクへ。
私「えっ!本当に!いいのー!泊まるー!」
しめしめ。その言葉を待ってたよ(笑)
10年ぶりに居候だ。
一度心を許したら暫く出て行かないから…(笑)
それから3人で10年分の話しをするには当然時間が足りず。また明日ゆっくり話そうと中土佐へ出発する事に。
私「コーヒーのお代だけは払って行くよー!」
兄「えー!いいよ。要らないって!」
私「え〜!いいの〜?本当にー!うふふふ。」
兄「ギャハハ」(白々しい事言いやがってと、きっと思ってる。)
その言葉も待ってたよwww。じゃあ。ごちそうさま。
って事で一先ず退散!!
ライダーズイン中土佐は此処から1時間弱。
山から降りる時も物凄い雨。
前も見え無い程。
ゆっくり走りなんとかライダーズイン中土佐に到着。
ここは高知県が始めた施設。高知県に4ヵ所あるライダーズインの1つだ。経営は民間にそれぞれ任せられてるらしい。
オーナーさんがエンジンの音で出て来てくれた。
御夫妻で大阪から来てこの事業を引き継いだとか。
ライダーズイン中土佐の2代目オーナーだとか。
広い管理棟に入ると奥様が居て受付。
素泊まり。寝袋持参で3800円だった。
受付時にオーナーさんに津野町のコーヒー7不思議の弟ですって言ったら、おー!ってなってた…。
オーナーさん「落ち着いたら管理棟に来ればと。今日は外国人しか泊まって無いけど良かったら交流しましょう。」と。
う〜む。ハードルが高いお誘いだ。
外国人かあ。
日本人のライダーなら大丈夫なんだけど。
言葉の壁は厚い!
しかしながらコーヒー7不思議の弟さんは誘ったけど来なかったな…ノリが悪いんだな。って思われるのもな。
俺はサービス精神旺盛な人見知り。
景気づけにビール飲めばきっと大丈夫だ!
「グビグビ!!」
行ける気がする。
ツマミとビールを持って管理棟に乗り込んだ。
薪ストーブがあって暖かい。
欧米の男性が一人。
アジア系の女性が二人。
皆で鉄板焼?
オーナー夫妻に促され席に付く。
私「英語なんて喋れないですよ〜!」
オーナーさん「頑張って!」
枝豆を食べながらビールを飲みながら見て居るとオーナー夫妻もスマホの翻訳機能を使ってコミュニケーションを取っている。
欧米人の男性と目があった。
私「Where are you from?」
男性「USA」
オーナーさん「英語喋れるの?」
私「これぐらいはwww」
本当は誰か助けてー!!って思ってた。
ここからはもうテキトー。
アメリカ人男性と女性2人は3人で自転車で旅行してるとか。
女性はベトナム人。此処まではわかったよ。
こちらも写真を見せながらこれまでの旅を説明!!
たぶん理解してくれた。
オーナーさん「凄い!喋ってる。数日前にも外国人が何人か来て日本人ライダーが一人で…その人は下向いちゃってさあ…可愛いそうなぐらい。」
私「俺。オーストラリアもバイクで一周してますから!」(ドヤ顔)
オーナーさん「えー!!」
私「オーストラリア モータサイクル パーフェクトラン!!」
カタカナ英語…(笑)
アメリカ人「!!」
通じたみたい。
ぶっちゃけた話しほぼ日本語とゼスチャーだけで乗り切れたのか?
ベトナム女性に焼いてもらったカマスの塩焼きを頂く。
ベトナムの方にに焼いて貰った日本の干物は美味かった。
こうしてライダーズイン中土佐のディープな夜はふけて行くのであった…。
明日は珈琲屋に引っ越しだな。
つづく。