明るくなって来たのでテントから這い出した。

淡路島で迎えた感動的な夜明け。


中々こんな景色の良い野営地も無いよな。




いっきに淡路島が好きになる。

南の島の夜明けの様だよねえ。


何故に野宿。何故にキャンプで不便な旅してるのかって問われたら節約も有るけどさ。

こんな夜明けが見たかったり。

綺麗な夕焼けを見送りながら焚き火をしたかったり。

真っ赤な炭となった焚き火を見ながらビール飲みたかったり。

眠くなったらテントに潜りこんで眠る自由が味わいたかったり。

野宿旅ってその土地の匂いを一番近くで感じられる気がするんだよねえ。

とは言え。時には雨の中を走ったり。

テントを張る場所にも苦労したり。

良い場所ばかりでは無いし天候に恵まれるとも限らない。

星を付けるとしたらこの日の野宿は★★★★★満点。五つ星だね。


夜明けはまだ肌寒い。

朝も椰子の葉で焚き火。

そして朝から釣り。


今朝もダメ元で一応、餌は付けて投げておく。



椰子の下でキャンプなんて贅沢だけどここは淡路島。



兵庫のハワイ淡路島。


淡路島がこんなに良いとこだったなんて。

気まぐれに立ち寄らなかったらずっと気が付かないまま通り過ぎてたな。




「チリリリン!」

投げてた置き竿の鈴が鳴った。

おっ!遂に何かかかった。

ゆっくり巻いて来ると。

オマエか!(クサフグ)


淡路島まで来て顔見知りに会ってしまった。

俺の追っかけじゃ無いよね?

まあボウズを回避出来たのは、ありがたいけど。

「ポチャン!」

ふてくされて膨らみながら帰って行った。

テントを撤収後にこの辺りを散策。

キャンプをしながらも時折風に乗って線香の香りが漂って来ると思ってたらこの辺りは日本一の線香の生産地だとか。


古い町並みに線香の工場がたち並ぶ。なんとも言えない風情のあるところだな。

飛び出し坊やだあ!




海沿いを走ってたら海岸の高台に神社が見えた。

ちょっと気になる。

見に行こう。



海岸っぺりにバイクを停めて潮の香りを思いきり吸い込んで深呼吸。


淡路島の海って底が暫く見える様な遠浅の海が多いな。



綺麗に植えられたチューリップを眺めながら少し歩いて神社が見えた辺りへ。



ありゃりゃ神社の境内に入ってみるとここは300円の無人キャンプ場なの?



誰も居ない階段を上り参拝。


眺めもいいね。

わざわざ中々立ち寄らない場所ほど実は味があったりする。





10円玉を賽銭して祈る。

「10円分の御加護を下さい。」

10円だとどれぐらいだろ。

蚊に1回刺されるのを免除されるとか。



この辺りはイブキ群落が推しらしい…。

こう言うのってさ素人目にはただの木だからさ。

それが凄く学術的価値があったとしてもふ〜ん…で終わるんだよねえ。

誰が見てもわかる花の群落とかなら感動もあるんだろうけど。

思わず北海道の焼尻島で見たオンコ(イチイ)の原生林を思い出した。

あの時も。

ふ〜ん…ただの木だな…で終わった。

ち〜ん。


近くには静かな港があったり。

雰囲気の良いとこだな。

古びたベンチが歴史を感じるね。

地元の人が清掃してくれてるのかゴミ一つ落ちて無い広場があったり。

お年寄りがゲートボールしてそうな広場だけど。

ここがキャンプ場なのか?

端の方にはテント設営禁止とあるし。

どういう事だ?(昔はキャンプ場があったとか?)

後から調べたらこの辺りは海辺に散策コースもあって。キャンプ場も昔は開設してたらしい。

そしてここ明神岬って淡路島随一のパワースポットだとか。生まれ変わる場所だとか。

う〜む。

偶然だけど呼び止められたのかも。

生まれ変わってもまた旅人で居たい。




菜の花を抜けてまた海へ出る。



大鳴門橋を渡ってしまえば淡路島が終っちゃうから寄り道。名残り道だ。

島の南端辺りにある道の駅 福良。


賑わってるね。

到着したタイミングで出港する帆船が。


これは!?

1860年に勝海舟が太平洋を横断した。

咸臨丸!


を再現したレプリカ船。

鳴門海峡の渦潮を見に行く観光船だ。

でもこれ。レプリカとは言えカッコいいね。



建物内にあった。無料玉ねぎスープ。

温かいスープが有り難い。

淡路島は玉ねぎの一大産地でも有るからねえ。


無料の試食がまたあった!

わかめも旨し。

無料大好き。

さあ。

いよいよ淡路島ともお別れ。

大鳴門橋をバビューンって渡ればいよいよ
四国。

さようなら〜!

淡路島〜!

淡路島南から高速に乗れば直ぐに大鳴門橋だった。

鳴門海峡だあ〜!

行くぜ四国〜!!

渦潮が見えたー!!

鳴門北で降りて一瞬で高速区間終了。



あっという間だったね。


四国まで来てしまった。

12日もかかったなんて…(笑)


大鳴門橋 940円分は楽しめたかな?

ここで地図とにらめっこ。

この辺りにウチノ海って言う入り江があるみたいだから行ってみよう。

なんだかとっても不思議な風景の海沿いの小道を進むと広いとこに出た。

大きな公園があるぞ。

広い駐車場に止めてちょっと見て来よう。

散々あちこちで見て来た桜もそろそろ終盤かな。



凄く開放感のある公園だ。




鳴門ウチノ海総合公園。

入り組んだ地形の湾に作られた公園の様だ。

ウチノ海って不思議だね。

ひょっとして汽水域?


ぐるっと島と半島に囲まれた海を橋で結んで陸続きで走れる様だね。




公園には広大な広場もあって皆、思い思いの休日を満喫してるね。

広い芝生の公園でバーベキュー迄はしても良いらしい。

テントを張るのはデイキャンプを含めて禁止って書いてあったけど張ってる人は居たから黙認なのかも。


凄く良い場所なんだけど。

ダメって書いてある場所はやめておこう。



今日も何処かで野宿だろうから水だけ貰って行こう。

明確に今日の目的地は決まって無いんだけど徳島市街を避けて吉野川の河川敷とかでテントを張れないだろうか。

こう言う時にいつも思う事がある。

すれ違う車の人も歩いてる人も当然、今日帰る家が有るんだろうな。羨ましいなと。旅に出なければこんな苦労も無いのに何故に10年に一度ぐらい旅に出てしまうんだろうと…。

仕事を辞めたら旅に出なければいけない自己ルールを決めた覚えも無いし。

帰ってからの生活だって毎回楽では無いし。

旅依存症とか焚き火依存症とか言う精神疾患とかがあるかも。あ〜恐ろしい不治の病だ。


国道を走り徳島市街までもうすぐの辺り。

わかり易い看板「徳島ラーメン」

御当地ラーメンはやっぱり食べておきたい。

丁度お昼だし。



ここはチェーン店?

徳島ラーメンの有名店かは、わからないけど。

結構賑わってる様だ。

食券を先に買って15分ぐらいで席に通される。


チャーシュー麺850円。

へー。こういう感じの濃い目のスープなんだね。

味は豚骨醤油ベースか?見た目より味は濃くなくコクの中に旨味もあり美味しい。


ちょうど徳島市街に入る国道の入り口辺りにあるので、でっかい徳島ラーメンの看板が目に飛び込み入り易い店だった。

「ようこそ徳島ラーメンのまちへ」

まさにウェルカムラーメンだな。

そのまま走り吉野川の河口にかかる大きな橋、吉野川大橋を渡る。

渡りながら河川敷でキャンプ出来ないか物色する。

広いんだけど降り口がわからない…そしてまだ周りが都会過ぎる。

渡り切るとこの先は徳島の繁華街になってしまうから県道を右折して吉野川を少し遡る方針へ。

思えば10年前の四国放浪記の時は台風と共にフェリーで徳島に上陸したっけ。フェリー降りたら水深10センチの道を走ってビジネスホテルまで向かったんだ。

吉野川なんか堤防決壊寸前の大氾濫で恐怖感すら覚えたほど。



↑当時書いたブログ(FC2ブログに残してます)

ヤマハ ブロンコが懐かしい。

辛い旅こそ記憶には鮮明に残ってる。

それから十年。今回は天気も良いし。

このままキャンプ出来そう。

テント場を探す前にスーパーで買い出しを済ませて駐車場でツーリングマップルとにらめっこ。

少し吉野川を遡ったあたりに潜水橋川島橋。川島公園の表示があるな。

何と無く旅の勘で潜水橋がある辺りに潜水橋の歴史や由来が書いた表示板があり潜水橋を望める場所に整備された芝生の広場があったり東屋があったり。トイレもある。そんなイメージだ。

川島公園を目的地にグーグルさん任せに進む。

すぐに吉野川土手沿いに出て吉野川沿いを遡る。

グーグル「目的地に到着しました。目的地は左側です。」

右手に潜水橋(沈下橋)を望める場所に出た。

左側を見ても公園らしき物は見えない。

うーん。何だか良くわからないけど。

イメージと違ったな。

川と公園が隣接してるのかと思ったけど公園は見当たらない。

まあ。河原でテント張れそうな場所を探そうかな…。

わりと交通量のある橋だし。

橋から見えない場所ないかなあ。


取り敢えず橋を渡った所から河原に降りられる小道を見つけたので行ってみよう。

河原には車が走ったワダチがあるので行けそうだ。

暫く進んで行くとやがて道かどうかも怪しくなり砂地になったり石の河原になったり。

荷物満載だし。このバイク、オフロード全然走らないね。

何度か転倒しそうになりながら持ち堪え進む。

橋から1キロ弱ぐらいは入ったかも。

広い河原に出た。

バイクを降りて川まで歩いて偵察。

ここだと誰にも見つからなそうだ。

逆に何かあっても中々発見されなさそう。


川からバイクを見るとCB190Xも心なしか不安気だ。

バイクまで戻り考える。

これだけ乾いた草が生えてるって事は暫くは此処まで増水する事は無かった様だな。

今晩も明日も雨は降りそうに無い。

張ってしまおうか…

張らないで今走って来た悪路を戻るのも骨折り損だな。


結局張ることに。

あまり目標物が無い所にテントを張るとそれが目標物となりやっと気持ちが落ち着いて来るんだよな。

張ってしまえばそこが我が家だから。


川迄は100メートル程離れてる。


草に紛れ込む様に張る。


現在位置を確認したら川の中で不安を感じるが台風でも来ない限り水没は無さそうだ。

草の向きも上流に向かってるって事は最近はずっと水に浸かって無い証拠だ。


まあ。取り敢えず景気づけに飲もう!

何かあったら飲む。

何も無くても飲む。

スーパーで買って来た竹の子の天ぷらだ。

季節物だから味わって食べる。

「ポリポリ…」




ある意味こんな広い場所でキャンプするのってオーストラリア以来かも…。




川が近くに無ければあの頃のブッシュキャンプの様だね。

ビール一本飲んだのでもう大丈夫!

今日はここで寝るしか無い!

そう決心した。

釣りにでも出よう!



釣り竿を持って川まで歩く。

後ろを見るとこの広さ。

テントは何処だっけ?


浅くて釣れそうに無いね。

そのまま川沿いを歩いて潜水橋方面に下る。


岩が現れて水深がある場所を見つけたのでやってみよう。

スプーン。スピナーと投げても全く魚っ気無いな。

なにも追っては来ない。



野犬か?

後ろから飼い主が来たので飼い犬で良かった。


釣れそうな川なんだけどなあ。


諦めて流木を集めつつ戻る。

予想はしてたんだけどね。

広大な河原。本当に自分のバイクもテントも見失う。

一応対岸の木が切れた辺りから川に出たとか覚えてから離れたからだいたい場所はあってるんだろうけど。



何処だ?遭難ってこうやって起きるんだろうなあ。

でも大丈夫。ヘンゼルとグレーテルみたいに帰り道がわからなくならない様に川沿いに拾った薪を要所要所に置いて歩いて来た。

その薪を発見したのでこの辺りから陸地に進むばテントがあるはず。

あっ!見えた。見事に草に隠れてた。

俺。こういう事は抜かり無いんだよ。

昔オーストラリアで仲良くなったイスラエル人ライダーカップルと日本人ライダーと四人で道をだいぶ外れて荒野にテントを張った。



こんな感じに。

みんなで10数キロ離れた集落に買い物に行こうと自分達が砂地に付けて走って来たワダチを頼りに舗装道まで戻った。

その時にね。戻って来たら入り口が絶対にわからなくなりそうって2台は先に行ってしまったんだけど舗装道に出たとこにあった木に落ちてたビニール袋を巻き付けてから2台を追いかけた。

買い物しての戻り道。トリップメーターの距離と照らし合わせてそろそろだなと。

先頭を走るイスラエル人ライダーが止まったり進んだり…深刻な顔をして入口が分からなくなったと焦り出した。

何しろ数百キロ景色が変わらない様な場所だからね。

俺もね距離はあってるからこの辺りだったなと見渡すと50メートル程先に自分が巻き付けて来たビニールが見えた。

先頭でそこまで走りここだよ!印を付けといたって言ったら「オマエは天才か!」ぐらい英語で言ってた…英語良く知らんけど(笑)そこからはワダチを頼りにまたテントまで戻れたんだよねえ。

そんな事を思い出しながらテントへ帰還。

ちょっと風が出て来たね。



河川敷の乾いた草に燃え移ると怖いから今日は少しテントや草から放れて焚き火だ。

初めて買ったとろにしんの蒲焼。これがかなり美味かった。


ニシンは百年ぶりぐらいに資源量が回復して近年は松前の辺りでまた捕れる様になったんだよねえ。

サンマが捕れなくなったからこれからはこれが旅の常食!?




焼いてある焼き鳥を暖め直し焼き。

手抜きキャンプ料理の定番だ。


もう野宿の時はこんなで充分だ。

ビールが美味けりゃそれでいい。




明日またこの悪路戻るの嫌だな。

また深い砂のとこ気をつけなきゃ…。



まあ明日の事は明日考えよ。



風も無くなったから焚き火台をテントの近くに移動。

あまり火を大きくしない様に細々と焚き火。

火が消えるのを見届けたら寝ようかねえ…

明日は何処まで進もうか。

つづく。