第1期の最終回。「妖怪が見える」という夏目くんの秘密……その隠しごとと、近しい人との関係を掘り下げていく回。

第十一話に続き、キャラクター総登場のお祭りエピソードとしても楽しめます。

ここからネタバレです。

 

田沼くんとの関係

田沼くんに対して「妖怪が見える」という秘密は共有しているものの、具体的に何が見え、何に悩まされているのかは話そうとしない夏目くん。

 

「話したくなきゃ、別にいいんだ」と言われて、話したくないと突っぱねるのも違う気がして、でもやっぱり隠していたいと思う、その理由はたぶん夏目くんの中でも整理されきっているわけではなくて。

考え考え言葉にした本音は「普通に話したかった」「嫌な思いをさせたりとかは――」。

 

「妖怪が見えると伝える」ことと、「それによって迷惑をかける」こと、「迷惑をかけるのを良しとする」ことはまた別の話。

「妖怪の存在がわかる」という同士を初めて見つけたばかりの二人は、これから少しずつ手探りで、そういうステップを踏んでいかないといけないんですよね。

 

その第一歩として、隠し事があること、それを話していいか悩んでいること……今の時点での正直な気持ちを伝えられたのが今回のエピソードで、結果、ニャンコ先生のファインプレーだったのかもしれません。

 

池の魚の色や、妖怪のせいで花火が見えないこと、まずはそんな他愛のないことから少しずつ、隠さなくても良くなっていく。

そうやって距離が近づいていくことが必ずしも良いことか分からないというのも、この先のエピソードでは示されていきますが……ひとまずここでは、田沼くんと少し心を通わせ合えた、その温かさが嬉しいです。

 

藤原夫妻との関係

「お互い気を遣い合ってるなんて、家族じゃないだろ」

 

気を遣って隠し事をして……大好きな人たちを相手にも、どうしてもそんな風にしか振る舞えない夏目くん。彼を引き取ってくれたのが藤原夫妻で、本当に良かったなと思います。

 

愛情をまっすぐぶつけてくれる塔子さんと、どっしり構えて夏目くんのありのままを受け入れてくれる滋さん、そして何より、それをちゃんと話し合える夫婦のあり方が素敵です。

 

ニャンコ先生&笹田さん

今回の先生は、先生と笹田さんがコンビを組んでのギャグ要員になっています。

メインストーリーが夏目くんのすっぱり割り切れない悩みを描いているので、こういう軽妙なシーンが差し挟まれるのは楽しくて良いですね。

その分、笹田さんの行動がぶっとんでしまっている感じもしますが。良いのか笹田さん、そのキャラで。

 

先生の顔芸とアクションも振り切っていますね。冒頭、先生が田沼くんに突っ込んでいくシーンのダイナミックさがものすごいです。

 

ところで「ニャンコ先生」という名前、……田沼くん的には「なんか恥ずかしい名前」なんですね。まぁ男子高校生からするとそうかもしれない。

むしろ、そういう名前を平気で付けて呼んでしまえる、夏目くんの擦れていなさ加減が際立ちます。

 

子狐&名取さん&柊

子狐再登場ですよ!わーい待ってました!!可愛い!!!

 

このエピソードは、妖怪がらみの隠し事をめぐる夏目くん・田沼くんの会話をメインに据え、勢いとギャグで突き進む先生・笹田さんの軸があり、そしてもう一つ、子狐の可愛い冒険に、名取さん・柊たちがからむ軸があります。

 

なんかもうとにかく子狐が可愛くて、それに全部持っていかれそうになりますけどね!焼きもろこし食べるシーンなんかもう……!

 

夏目知ってる?と子狐に尋ねられて、当然のように「知らない」と嘘をつく名取さん。でも、そうやって妖怪への警戒心が沁みついているのに、子狐を助けて気にしてあげる優しさもあったりして。

色んなスタンスを自分の中で同居させる器用さは、さすが夏目くんに比べて年季が入っているなぁという感じです。

 

柊に「気味悪がられるぞ」と忠告されて「構わないよ」と返す、目の前の相手に真っすぐ向き合う夏目くんとは好対照ですね。

 

ちなみに、さらっと七瀬さんが初登場しています。

 

最終話

前話「五日印」のような話を最終話に持ってくるのもひとつの形だと思うのですが、原作の短編を膨らませたこの「秋の夜宴」が、記念すべき第1期の最終エピソードに選ばれました。

 

夏目友人帳は一話完結のエピソードが基本で、一つの事件は一つの回で収束し、そこで出会った妖怪も、多くが夏目くんの前から姿を消してしまいます。

 

でも、それを次々に見送る夏目くんの中には確実に蓄積されていくものがあって、第一話と最終話を見比べると、夏目くん自身も、周囲の人との関係性もかなり変わってきています。

 

その緩やかで自然な変化……夏目くんの成長を見守れるのがこの作品の大きな魅力で、だからこそ、最終回にそれをしっかり振り返って反芻できるエピソードが入るのは、まさに夏目らしいと言えるのかもしれません。

お話としては地味さもあるのですが、最終話に相応しい、大好きなエピソードのひとつです。

 

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