初期の代表的なエピソードのひとつ。人と妖の間に生まれる「情」を描きます。
陽炎やセミの抜け殻、光と風の演出など、映像がものすごく美しい回でした。
ここからネタバレです。
つながりあうことへの前向きさ
妖怪達の夏目くんへのアプローチは、たいていかなり過激です。今回も、燕はいきなり取り憑いたり、垂申は祭りにおびき出して肴にしようとしたり、強烈なことをしています。
でも夏目くんはそんな彼らに対して、対話のチャンネルを閉ざすことをしません。
行為自体は遠慮なく拒絶しても、相手そのものを拒絶・否定するようなことはしない……相手が何であれ、フラットに自分自身であり続ける、そこに夏目くんの強さがあるような気がします。
それによって厄介な妖怪に引っかかったり、色々な失敗もしてきたでしょうが、これがあるからこそ、結べる絆があるんでしょうね。
幼少期に周囲の人に疎んじられ続けたにも関わらず、人を恨まずに自分の居場所を作っていけているのも、きっとその強さゆえなんでしょう。
それは「人を嫌いにならないでいてくれて、ありがとう」と言った夏目くんに「優しいものは好きです、あたたかいものも好きです、だから人が好きです」と返した、燕の前向きさにも重なります。
先生の情
燕に情を移して無茶をする夏目くんに呆れながら、結局手を貸してくれたニャンコ先生。
「先生は最後まで、側にいてくれるんだろう?」「先生もいつか、おれに情が移るかな」そう聞いた夏目くんは、先生からの情の存在を、もう確信しているのかもしれません。
それに対して答えずに「お前の方はどうなんだ」と返す先生の、まんざらでもなさそうな感じが嬉しいです。
垂申
「人間に情を移すとは、腑抜けたか斑」
そんなこと言って垂申も、なんだかんだ夏目くんに情が移っている感じですよね。「面白そうだからですよ、食べてしまうよりね」なんて言っていますけど……夏目くんの真っすぐさを見ると、そうなるのかなぁ。
レイコさんもまた、妖怪に好かれる魅力を持った人だったんでしょうね。
「どうしておれにしか見えないんだ」
第三話「八ツ原の怪人」では、他の人には見えないものが見えてしまうことの不安と恐さが語られていましたが……ここではそれとは違う切なさが描かれます。
そこに確かに心があるのに、届かない、共有されないもどかしさと寂しさ。
5期ではメインテーマとして扱われるこの感情が、この時点でもう既に出てきているんですね。
夏目くんの遠慮
心配する塔子さんに「すいません、迷惑かけて」と返す夏目くん。
垂申たちに対しては「夜中に出直してきてくれないかな」とストレートに希望を伝えており、それとの対比もあってやっぱりちょっと距離を感じます。
それでも、塔子さんがそれに全くひるまずにいてくれるのが嬉しいです。素敵な人だ!
一方で燕に対しても、言いたいことを上手く言えずに後悔するシーンがあります。
「つめたくて気持ちが良いって言いたかったんだ」
……言えばいいんだよ!それを!そのまま!
情が移って大切になるほど、どうしたら良いか分からなくなってしまうんでしょうか。
少しずつでも、言いたいこと言って大丈夫なんだって思えるようになると良いね。
自転車に乗れた日
最初にダムに行った日には西村くんの自転車の後ろに乗っけてもらっていた(なのに若干息切れしていた)夏目くんが、なんと最後には自分で自転車に乗ってダムまでやってきました!
自転車に乗れるようになるエピソードは、ちょっと先の3期九話で、回想シーンとして語られます。さりげなく描かれてはいますが、それを知ってから見ると、じーんと嬉しくなるシーンです。