アニメ夏目友人帳の感想を、1期から順に書いていこうと思います。
基本はネタバレです。
これさえ見ればおさらいはOK
改めて第一話を見直して思ったのが、30分で完結する物語として、そしてシリーズの世界観を説明する初回として、非常に完成度が高いなということでした。
ひとまずこの第一話さえ見れば、夏目友人帳のことはほぼ分かると言っても過言ではありません。
長く続いたシリーズに途中から入るのは敷居が高いものですが、夏目友人帳に関しては、基本が一話完結であること、そしてこの優秀な第一話で基本設定のほとんどを把握できるおかげで、これさえ見ればすぐに新しいシリーズに入ることができます。
第一話で語られる設定をざっと挙げてみると……
・夏目くんには妖怪が見えて、そのせいでたびたび困らされている。
・幼少期は親戚の家を転々としており、妖怪が見えることは理解されなかった。
・今は妖怪が見えることを秘密にしている。
・祖母レイコも同じように妖怪が見え、孤独を抱えていた。
・レイコの遺品である友人帳には、名を書かれている妖怪を従える力がある。
・友人帳を狙って襲ってくる妖怪がいる。
・レイコの孫である夏目くんは、妖怪に名前を返すことができる。夏目くんはそれをやり遂げたいと思っている。
・ニャンコ先生は夏目くんの用心棒をして名前の返還に協力する代わりに、夏目くんの死後に友人帳を譲り受ける約束をした。
・ニャンコ先生は、本体の斑が招き猫の依り代に封印された姿。レイコとも面識がある。
こんなところでしょうか。
あとは、えのきパンチがけっこう強いとか、七辻屋のお饅頭が美味しいとか、塔子さんがすごく良い人だなんてことも、第一話の時点で既に出てきています。
これだけの設定を盛り込みながら、柔らかくて優しい絵と音楽で作られる世界に浸ることもでき、緊迫感のある展開もあり、夏目くんと先生の個性もがっつり出ていて、ゲストキャラの心情にも共感でき……それがたったの一話に収まっているんだからすごいです。
ひしがき
記念すべき第一話のゲストキャラはひしがき。
レイコさんの子分になって、名を呼ばれることをずっと待っていたのに一度も呼ばれず、寂しさを募らせてしまった妖怪です。
レイコさんがなぜ名を呼ばなかったのか、アニメでは明確に語られていませんが、原作では夏目くんのモノローグで「レイコさんはたぶん 友人帳を取り返しに、妖怪達が自分の所へ訪れるのを待ったのだ」と推察されています。……不器用ですねぇ、レイコさん。
名を返された時、自分の孤独ではなくレイコさんの孤独を慮ってくれたひしがきの優しさが沁みます。こんなに思ってくれていた人がいたなら、確かにレイコさんは「独りではなかった」んでしょう。それがレイコさん本人に伝わっていたなら嬉しいのですが。
夏目くんの決断
夏目くんはこの第一話で、大きな決断を下します。
友人帳を継ぎ、妖怪たちに名前を返していくこと。そして、ニャンコ先生を信用して相棒にすること。
友人帳を継いだ理由は、似た境遇だったレイコさんとのつながりを持っていてあげたいから。現在放送中の第6期まで来ると、友人帳に名を縛られた妖怪たちへの責任も負っている夏目くんですが、この時点ではまだそういう視点はありません。
同じ境遇だっただろう、会ったこともない亡くなった祖母が、夏目くんに大きな決断をさせる一番の理由だという事実。それは、夏目くんの(そしてレイコさんの)それ以外の他者との縁の薄さを表してもいるようで、少し寂しくもあります。
でもそれが結局は、様々な妖怪との、そして人との出会いを呼び、夏目くんの世界を豊かにしていってくれるんですよね。
さあそしてニャンコ先生、第一話から飛ばしてますね。可愛くてかっこよくて面白いです。
「妖怪のことはあいかわらず好きにはなれない」と語る夏目くんは、先生のどこを見て、信用に足ると思ったんでしょう。
初めて会った時に、レイコさんの孤独を理解していた風だったからでしょうか。
実際、先生が友人帳を欲しがる背景にはレイコさんへの情が多分にあって(これも原作第一話で語られています)、そんなニャンコ先生にとって、夏目くんがレイコさんを大事に思っていることは、きっと嬉しかったでしょうね。
「レイコには遭えたかい?」「やれるかい?」の声がとても優しいです。
そのほか
・ふすまの穴を直せる夏目くん、意外と多芸。
・なんでニャンコ先生が饅頭注文するんだ。
・親戚のおじさん役に、後に名取役で登場する石田彰さん。