vol.10より続く。
競売の失敗談を。
ある長期延滞者がありました。この方はもう高齢で、農業はやっていけない状態です。
かといって、放置できる状況にないので、保証人たちを集めて面談しました。
ある保証人が、「保証人として責任があるのは分かるが、お金を払ってそれだけというのは納得できない。代わりに土地が欲しい」
と言い出しました。
法的にはなんら意味のない発言ですが、気持ちは分からないでもありません。
よって、
「担保物件を高めで買うなら、その相談に乗りましょう」
と応えました。
しかし、その担保物件、サラ金の抵当権が後順位に設定されていました。
こうだと、まず任意売買は無理です。高いハンコ代を請求されて終わりです。
そこで、競売申立することにしました。
当然、競売費用もプラスして保証人が払うというスキームです。
競売ですと、評価額がきっちり出ますので、それプラス競売費用、プラス保証履行分として、いくら請求しますので、よろしくね、という形でした。
そして競売開始決定となり、入札期間も決まりました。
そこで悲劇が起こったのですね。
なんで誰も気づかなかったんだろうと思うのですが、その保証人は農家ではなかった。
つまり、買受適格証明が出なかったのでした。
農地を競売するときに、入札する人は、農業委員会から「買受適格証明」をもらい、それをもって裁判所に行って入札します。
それが取れなかったのですね。
このお話はオジャンとなりました。
競売した物件は、知り合いの農家が買ったのでよかったのですが、保証履行についてそのあといろいろと話がもめました。
「早期整理のため」ということで、適当な金額で着地した記憶がありますが、苦い思い出です。
続く。