自習室にて.
(さあさあ、今日もしっかりやっていこう。お、周りに人が少ない。これは集中できそうだ!)
【挑!マイナス・トリロジー
~傲慢編{傲慢}~】
(ツー、カクン。ツー、カクン。あ!いけない、いけない。眠くなってきてしまった。でもとにかく考えなきゃ…ツー、カクン。)
今日も私は肩で風を切り、街を闊歩する。
すれ違う人々、とりわけ女性たちは皆が、私を注目する。
奇抜な格好でもしてる?
違う、違う。
変な動きでもしてる?
否!
そう、私が魅力的であるからだ。
(ツー、カクン。)
その夜―。
日課を終え、SNSを覗くと、彼女が日記に
「なんか、自転車のカゴにラブレター入ってた(笑)」
と書いていた。
僕は思わず頬を緩めた。
やはり、満足だったらしい。
そして、3回目に手紙を投函したときに
事態は、急変した。
彼女がSNSの日記に
「まただ…ストーカーかな?(笑)いや、被害妄想か(笑)」
思いがけない一言に、僕は狼狽した。
これまでそこそこ真面目に生きてきたつもりだった。
それなのに、それなのに、ストーカーだなんて…
すぐさま自白した。
「不快だったらごめん、捨ててください。」
黙ってフェードアウトさせておけば、何もなく終われたのかもしれない。
でも、その時の僕にはそんなことを考える余裕なんてなかった。
そうして僕は校内の一部の女子たちからの信頼を失った。
SNSって、恐い…
否。
本当に恐いのは、自分自身の心である。
彼女を見えない恐怖に晒しかねなかったのだから。
自らの欲求に支配され、
受け手の気持ちを推し量ろうともせずに突き進んでいった自分に非があることは言うまでもないことだ。
もちろん、今さら反省を試みても詮無いことであるし、言い訳がましいかもしれないが、色恋の類は、人間の行動原理を根本から変えてしまうものなのだ。
とっても、とっても、勉強になった。
僕の中に棲む、負の淵源に気付くことができたのだ。
彼女に対してはふたつの謝意を述べた。
―――――――――――――
年度が変わり、新入生が頬を紅潮させながら門をくぐる季節。
僕は、部活見学に来ていた女の子に、惹かれてしまった。
入部したのは一緒に来ていたその友人の方だった。
彼女には、想いを確かめ合った相手がいると聞いたが、
見学の短い時間で打ち解けることができた相手であったから
相談相手にでもなれればと、連絡先を聞いておくことにした。
少しメールを交わすと
その子は、あの彼女と同じ部活に入ったとわかった。
おかしな巡り合わせだ。
「あいつ、次は一年生を狙ってるらしいよ。」
そんな噂が流れたのも、同じ頃のこと。
あー!もう!
彼氏がいるって知ってるから、狙って連絡先聞いたわけじゃないってのに!
下心ではなく、純粋に…
一度失った信頼は、取り戻せないもの。
fin.
日課を終え、SNSを覗くと、彼女が日記に
「なんか、自転車のカゴにラブレター入ってた(笑)」
と書いていた。
僕は思わず頬を緩めた。
やはり、満足だったらしい。
そして、3回目に手紙を投函したときに
事態は、急変した。
彼女がSNSの日記に
「まただ…ストーカーかな?(笑)いや、被害妄想か(笑)」
思いがけない一言に、僕は狼狽した。
これまでそこそこ真面目に生きてきたつもりだった。
それなのに、それなのに、ストーカーだなんて…
すぐさま自白した。
「不快だったらごめん、捨ててください。」
黙ってフェードアウトさせておけば、何もなく終われたのかもしれない。
でも、その時の僕にはそんなことを考える余裕なんてなかった。
そうして僕は校内の一部の女子たちからの信頼を失った。
SNSって、恐い…
否。
本当に恐いのは、自分自身の心である。
彼女を見えない恐怖に晒しかねなかったのだから。
自らの欲求に支配され、
受け手の気持ちを推し量ろうともせずに突き進んでいった自分に非があることは言うまでもないことだ。
もちろん、今さら反省を試みても詮無いことであるし、言い訳がましいかもしれないが、色恋の類は、人間の行動原理を根本から変えてしまうものなのだ。
とっても、とっても、勉強になった。
僕の中に棲む、負の淵源に気付くことができたのだ。
彼女に対してはふたつの謝意を述べた。
―――――――――――――
年度が変わり、新入生が頬を紅潮させながら門をくぐる季節。
僕は、部活見学に来ていた女の子に、惹かれてしまった。
入部したのは一緒に来ていたその友人の方だった。
彼女には、想いを確かめ合った相手がいると聞いたが、
見学の短い時間で打ち解けることができた相手であったから
相談相手にでもなれればと、連絡先を聞いておくことにした。
少しメールを交わすと
その子は、あの彼女と同じ部活に入ったとわかった。
おかしな巡り合わせだ。
「あいつ、次は一年生を狙ってるらしいよ。」
そんな噂が流れたのも、同じ頃のこと。
あー!もう!
彼氏がいるって知ってるから、狙って連絡先聞いたわけじゃないってのに!
下心ではなく、純粋に…
一度失った信頼は、取り戻せないもの。
fin.
ちょうど橋の真ん中に差し掛かるときに
彼女に追いつくことができた。
そして、声をかけた。
こんにちは!…
彼女が利用する地下鉄の駅まで
20分くらいであっただろうか、お互い自転車を押しながら会話をした。
彼女の前だと、次から次へと言葉が紡ぎ出せる。
別れ際、彼女は僕が最も好む
ゆるめの口調でこう言った。
「こんなにしゃべってくれるなんて、意外だった!楽しかったよ。おつかれさま!バイバイッ!」
これが聞きたかったのだ。
自らの耳で、バイバイッ!って…
声、かわいかったな…
僕の欲求の糸が緩み始めたのは、このときからである―。
もう一度いっしょに帰りたくて、彼女の帰りの時間を予想して
校門に向かうようになった。
しかし
活動時間が定まっていないのか、なかなか出てこなかったり、友人と共に出てきたりと
うまく合うことはなかった。
スイミングクラブの時間もあるし、いつまでも待っていることはできない。
もどかしい毎日だった。偶然を装うのは難しい。
そしてある日、学校の駐輪場で、あの赤い自転車を見つけた。
あ、まだ帰ってないんだ…
…あ!
僕は思いついてしまった。
あの網目の細かいカゴなら、小さなものでも入れられる…!
明くる日、僕はそのカゴの中に手紙を入れた。
「おつかれさま!だんだん寒くなってきたね!ファイト!」
匿名で。
僕は
それで
満足だったらしい…