その夜―。
日課を終え、SNSを覗くと、彼女が日記に
「なんか、自転車のカゴにラブレター入ってた(笑)」
と書いていた。
僕は思わず頬を緩めた。
やはり、満足だったらしい。
そして、3回目に手紙を投函したときに
事態は、急変した。
彼女がSNSの日記に
「まただ…ストーカーかな?(笑)いや、被害妄想か(笑)」
思いがけない一言に、僕は狼狽した。
これまでそこそこ真面目に生きてきたつもりだった。
それなのに、それなのに、ストーカーだなんて…
すぐさま自白した。
「不快だったらごめん、捨ててください。」
黙ってフェードアウトさせておけば、何もなく終われたのかもしれない。
でも、その時の僕にはそんなことを考える余裕なんてなかった。
そうして僕は校内の一部の女子たちからの信頼を失った。
SNSって、恐い…
否。
本当に恐いのは、自分自身の心である。
彼女を見えない恐怖に晒しかねなかったのだから。
自らの欲求に支配され、
受け手の気持ちを推し量ろうともせずに突き進んでいった自分に非があることは言うまでもないことだ。
もちろん、今さら反省を試みても詮無いことであるし、言い訳がましいかもしれないが、色恋の類は、人間の行動原理を根本から変えてしまうものなのだ。
とっても、とっても、勉強になった。
僕の中に棲む、負の淵源に気付くことができたのだ。
彼女に対してはふたつの謝意を述べた。
―――――――――――――
年度が変わり、新入生が頬を紅潮させながら門をくぐる季節。
僕は、部活見学に来ていた女の子に、惹かれてしまった。
入部したのは一緒に来ていたその友人の方だった。
彼女には、想いを確かめ合った相手がいると聞いたが、
見学の短い時間で打ち解けることができた相手であったから
相談相手にでもなれればと、連絡先を聞いておくことにした。
少しメールを交わすと
その子は、あの彼女と同じ部活に入ったとわかった。
おかしな巡り合わせだ。
「あいつ、次は一年生を狙ってるらしいよ。」
そんな噂が流れたのも、同じ頃のこと。
あー!もう!
彼氏がいるって知ってるから、狙って連絡先聞いたわけじゃないってのに!
下心ではなく、純粋に…
一度失った信頼は、取り戻せないもの。
fin.