ちょうど橋の真ん中に差し掛かるときに
彼女に追いつくことができた。
そして、声をかけた。
こんにちは!…
彼女が利用する地下鉄の駅まで
20分くらいであっただろうか、お互い自転車を押しながら会話をした。
彼女の前だと、次から次へと言葉が紡ぎ出せる。
別れ際、彼女は僕が最も好む
ゆるめの口調でこう言った。
「こんなにしゃべってくれるなんて、意外だった!楽しかったよ。おつかれさま!バイバイッ!」
これが聞きたかったのだ。
自らの耳で、バイバイッ!って…
声、かわいかったな…
僕の欲求の糸が緩み始めたのは、このときからである―。
もう一度いっしょに帰りたくて、彼女の帰りの時間を予想して
校門に向かうようになった。
しかし
活動時間が定まっていないのか、なかなか出てこなかったり、友人と共に出てきたりと
うまく合うことはなかった。
スイミングクラブの時間もあるし、いつまでも待っていることはできない。
もどかしい毎日だった。偶然を装うのは難しい。
そしてある日、学校の駐輪場で、あの赤い自転車を見つけた。
あ、まだ帰ってないんだ…
…あ!
僕は思いついてしまった。
あの網目の細かいカゴなら、小さなものでも入れられる…!
明くる日、僕はそのカゴの中に手紙を入れた。
「おつかれさま!だんだん寒くなってきたね!ファイト!」
匿名で。
僕は
それで
満足だったらしい…