令和6年度助成金のゆくえ(上) | 新労社 おりおりの記

令和6年度助成金のゆくえ(上)

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令和6年度、雇用関係助成金はどうなるでしょうか?一言でいうと「予算はきつく政策はゆるやかに」です。雇用調整助成金のコロナ特例ラッシュの影響があって、実務のチェックも多く、不正にも厳しいです。三位一体の労働市場改革の助成金はてこ入れされたり、見かけ横ばいだったり、しかしほとんど使われなくなった、あるいはヘンな事例が出た助成金は容赦なく切られたり要件が厳しくなったりします。例年通り新設、良化、悪化、廃止の4点を中心に分類します。(上)では新設と良化を列挙します。

 

ラブ  新設される(た)助成金

 

令和6年度予算要求のころからアナウンスがあって、令和5年度補正予算で前倒しされ、令和5年12月、令和6年1月から新設されたものも含みます。以前からあったものの打ち直し=名称変更がほとんどです。

 

★ 産雇金 産業連携人材確保等支援コース 

生産性向上のための人材雇用の助成金。経済上の理由により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、生産性向上に資する取組等を人材の確保・育成の面から効果的に促すため、当該事業主に雇用される労働者の雇用の安定の確保と新たな人材の円滑な受け入れを支援します。「ものづくり補助金」を受ける前提で、採択された上での2階建て助成金です。半年ごとに125万ずつ、1年で250万円支給。 

 

★ 両立支援等助成金 育休中等業務代替支援コース 

育休中の業務代替のための助成金です。新規雇用も、既存の労働者活用のどちらも選ぶことができ、金額が大きくなりました。 令和6年1月から前倒しで新設されています。

 

★ 両立支援等助成金 柔軟な働き方選択制度等支援コ-ス 

育児を行う労働者が柔軟な働き方に関する制度を選んで利用できるよう、仕事と育児に係る、始業時刻等の変更、テレワーク等、所定労働時間の短縮措置 、小学校就学前の子に係る保育サービスの手配・費用補助 、被保険者が就業しつつ小学校就学前の子を養育することを容易にするための有給の休暇(子の 看護休暇を含む。)の付与などにより労働者を支援した中小企業事業主に対して助成します。実施個数によって額が変わってきて、情報公開加算もあります。

 

★ 障害者雇用相談援助助成金 

障害者の新たな雇入れや雇用の継続が図られるよう、中小企業等に対して必要な雇用管理に関する相談援助の事業を行う者への助成を実施。中小・除外率設定事業主にはさらに上乗せします。令和5年2月の時点で1年後に新設しますよ~とアナウンスがありました。

 

 ★ 中高年齢等障害者職場適応助成金 

障害者作業施設設置等助成金・障害者介助等助成金の一部・職場適応援助者助成金の上乗せとして、加齢により職場への適応が困難となった障害者の雇用継続が図られるよう、事業主が行う①職務の転換のための能力開発、②業務の遂行に必要な者の配置又は委嘱、③業務の遂行に必要な施設の設置等への助成を実施。中小・多数雇用事業主に上乗せします。ちょっと珍しい既存助成金の上乗せの形です。

 

★人確金 人事評価改善等助成コース(受付再開)

昨年度の“受付停止”から2年ぶりの復活です。生産性向上に資する能力評価を含む人事評価制度及び賃金アップを含む賃金制度を整備し、定期昇給等のみによらない賃金制度を設けることを通じて生産性向上、賃金アップと離職率低下を図る事業主に対して助成します。目標(賃上げ、離職率低下)達成助成のみで受給額は80万円。

 

★エイジフレンドリー補助金 転倒防止や腰痛予防のためのスポーツ・運動指導コース

労働者の身体機能低下による「転倒」や「腰痛」の行動災害を防止するため、身体機能維持改善のための専門家等による運動プログラムに基づいた身体機能のチェック及び専門家等による運動指導等に要する費用を補助対象とします。専門家による体力チェックや運動指導を実施すれば費用の4分の3を上限100万円で支給します。

 

(キャリアアップは12月以来ほとんど変化なし)

 

ニコニコ よくなる助成金

 

令和5年度下半期の改正も入れています。

 

★ 早期再就職支援等助成金 再就職支援コース

労働移動支援助成金と中途採用等支援助成金を統合。もとの労働移動支援助成金 再就職支援コース。再就職支援のため労働者を「出す」ための助成金です。訓練加算、職業訓練実施支援の上限30万円を訓練時間数に応じた額にします。職業訓練実施支援の上限を3/4に引き上げ、OJTの実施助成を創設し、960 円<大企業480 円>/時間で支給します。

 

★ 人開金 人への投資促進コース 長期教育訓練休暇等制度

会社が与える訓練のための長期・短期の教育訓練休暇を与える制度適用への助成ですが、賃金助成について支給額(1時間960円)、限度額(1,600円)にアップします。日単位の休暇取得に加え、時間単位の休暇取得も助成対象とし「10日以上連続とし、1回は30日以上連続して取得すること」の要件が「1日単位の休暇を10日以上連続で1回以上取得し、合計30日以上取得すること」としました。 

 

★ 人開金 人への投資促進コース 自発的職業能力開発訓練

訓練時間数要件について、「20時間以上」から「10時間以上」とし、助成対象訓練の内容について、「職務関連以外の訓練」も助成対象としました。

 

★ 人開金 人への投資促進コース 高度デジタル人材訓練

対象となる訓練に、「DX推進スキル標準(DSS-P)」のレベル3及び4となるものであって、「DX推進スキル標準(DSS-P)と認定試験・資格とのマップ」に掲載されている認定試験・資格の取得を目標とする訓練を追加するとともに、当該認定試験・資格の受験料も助成対象としました。

 

★ 人開金 人材育成支援コース

書類を簡略化します。人材育成支援コースの計画届提出時に必要であった「対象労働者(有期契約労働者等)に関す る確認書(様式第17号)」を廃止し、「職業訓練実施計画届(様式第1-1号)」の様式内の記載事項に統合しました。 定期的なキャリアコンサルティングの実施について事業内職業能力開発計画等で定めていることを確認するための書類の提出が不要になりました(個別に労働局から規定のある文書の提出を求め、実地調査時は原本を確認します)

 

★ 人開金の共通要件見直し…上がるもの

・公共特定の訓練機関の場合、修了が確認できれば「実訓練時間数の8割以上の受講」の要件を満たします。 

・「OJT実施状況報告書」と「OJT訓練日誌」の2つの様式を「OJT実施状況報告書(OJT訓練日誌)」に統合。

・特定の訓練機関が実施する訓練の場合「訓練で使用した教材の目次の写し」の提出が不要になりました。

・令和6年3月に創設された「団体等検定」の受検料等を助成対象としました。

 

★ 障害者介助等助成金 

助成金内で、事業主が行う①障害者の雇用管理のために必要な専門職の配置や委嘱、②障害者の 職業能力の開発及び向上のために必要な業務を専門に担当する者の配置又は委嘱、③ 障害者の介助の業務等を行う者の職業能力の開発及び向上への助成を新たに実施します。 

 

★ 職場適応援助者助成金 

この助成金内にもいくつかコースがあるのですが、ジョブコーチ助成金について、助成単価や一日当たりの支給上限、事業主の利用回数の改善を行う。 障害者作業施設設置等助成金 企業からのヒアリングで、個別に要望のあった事項(個々の機器、設備等に十分な 助成額を支給)を改善しました。

 

★ 特定求職者雇用開発助成金 特定就職困難者コース

主に高齢・父子・母子家庭の方を雇った場合の助成金です。令和5年12月からウクライナ避難民の他、アフガン難民、シリア難民も支給対象に入れています。

 

★ 人確金 作業員宿舎等施設設置コース(建設分野)

作業員施設の整備を行うことへの助成です。本来岩手、宮城、福島県の限定ですが、能登半島地震の石川県において、建設労働者を確保しようとする中小建設事業主が工事現場で作業員宿舎等を賃借する場合の費用について新たに3月1日から対象としました。

 

★ 人材確保等支援助成金 テレワークコース

機器導入助成が30%から50%に値上げ、一方そのあと申請する目標達成助成は20%から15%に値下げ。差し引き5%ほどの値上がり。

 

★ 出生時両立支援コース

受給に必須になっている雇用環境の整備措置は選択肢が4つから5つに増えます。「育児休業の取得が円滑に行われるようにするための業務の配分又は人員の配置に係る必要な措置」です。またその5つの整備措置の行う個数(3つ以上、4つ以上)によっては、助成金の対象者2人目、3人目について各10万円加算が付くようになります。またプラチナくるみんの加算措置も新設されます。ただ、代替要員加算は別の助成金に。70%を超えて増えた加算が廃止になりました。

 

★ 両立支援等助成金 育児休業等支援コース

「オプション」(申請してもしなくてもいい)である職場復帰後支援を廃止。新設の別助成金「柔軟な働き方選択制度等支援コース」にコンバート。実質的な拡充。なおコロナ加算(制度導入の措置)は正式に廃止になりました。

 

(両立支援は種類増加)

 

新設と「よくなる」助成金を押さえると、国が何を特に推奨するかが見えてきます。昨年12月に拡充した非正規雇用と教育訓練の他に、育児介護に法改正のある障害者、労働移動です。もっとも労働移動は最後っ屁というか、なかなか進まないので最後のテコ入れをする感じです。ホテル業のようにコロナで衰退産業になって、また復活して成長産業になるような例もできてしまったからです。アベノミクス時代に次いで、少子高齢化でコロナ中には思いもしなかった人手不足になっているのです。

 

今季おススメの助成金は、正規非正規の定義がムツカシイものの、いったんレールに乗れば連続した受給が期待できるキャリアアップ助成金 正社員化コースですが、それに「新しい資本主義」⇒「三位一体の労働市場改革」政策的につながる教育訓練、賃上げ、労働移動の助成金にも注目・活用していきたいものです。

 

令和6年度助成金のゆくえ:下に続きます>