これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊でご紹介 -8ページ目

人は見た目が9割

竹内 一郎
人は見た目が9割

タイトルを読んだだけで、軽く落ち込んでしまったのは私だけでしょうか。

見た目が9割なんて・・・。

もう終わってる・・・。

 

いかにも「美人じゃないと世の中キビシイ」みたいなタイトルで、

まさにそのインパクトを狙った本でしょうが、

内容はちょっと違っていました。

 

著者は漫画家で、舞台の演出などをされている方です。

 

たとえば、舞台で、「悲しい女」を演出するとき。

女優さんが、「悲しいです!!」というせりふを笑顔で言っては伝わらない。

だから、「悲しさ」を演出するために涙を流したり、

眉をしかめたりして感情を演出する。
そういう経験を生かして、人間関係を作る言葉によらない

コミュニケーションについて書いています。
 

確かにそうですよね。
立派なことを言っていても、なんだか胡散臭いと感じることは多い。
実際に心理学でも、情報が伝達されるのは、言葉によるのが7割、
言葉以外の、たとえば口ぶり、表情、声のトーンなどによるものが
9割以上なんだそう。
 

他にも、女性は嘘をつくときにじっと目を見る。だから、

嘘を見破りにくい、だとか、
選挙演説は、まばたきを多くしたほうが有利だとか、
雑学がたくさん。
 

あと、漫画家さんなので、コマ割の仕方とか、

目の位置でキャラクターが決まる、みたいなことも。
 

おもしろくなくはないんだけど、なあ。

書いてることが雑学、って感じなんだなあ。

なんだか、たいして集中せずに読めて、今ひとつ印象の薄い本でした。
  

アマゾンのレビューでも皆さん書いていますが、
まさに「タイトルが9割」の本でした。

 

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平日日刊、ビジネスにも(多分)お役立ち♪

くうねるところすむところ

平 安寿子
くうねるところすむところ
 

県庁の星、という映画がありますね。ご覧になった方、いらっしゃいますか?

実は、このブログでも、原作を取り上げたことがあります。

こちら↓

県庁の星

 

私はこういうタイプの本が案外と好き。ページとともに泣いたり笑ったり、

最後には「明日からちょっとがんばってみよう(何を、かは決めていない)」

と思う単純な人間です。

 

「ご都合主義」なんていう人がいますが、ほっときましょ。

いーじゃないの。人間のかわいらしさをたくさん詰め込んだ、

同じような読後感の小説のご案内です。

 

県庁の星では、公務員がスーパーに研修に行くお話しですが、

こちらは、30歳の元編集社員の女性が建築業界に転職します。

 

主人公利央は、求人広告の編集部勤務で上司と不倫中。

最初は頼もしく思えた男だけど、

次第に口先だけのどうしようもない人間と気づいている今日このごろ。

ある日酔っ払って登った建設中のビルの上で、運命の出会いをします。

 

これが、田所という鳶職人。

寡黙な彼に魅力を感じて、会社を辞めてしまう利央。

そして、田所の紹介してくれた工務店に転職。

 

そこは夫に逃げられて、しようがなく社長になった中年のバツイチの女性が。

社長は最初、会社をたたむ方向なんだけど、

利央のがんばり、家を建てるという仕事のおもしろさにだんだんと目覚めていく。

 

工務店というと男性の仕事場、という感じがするけど、

けっこう女性も多くなってきてるみたいですね。

閉鎖的に思えますが、実力主義で、

力仕事ばかりというわけでもないので、案外と女性にとっては働きやすい職場だそう。

 

さてさて、利央の就職した工務店のお話。

 

この本の面白い「スジ」は二つあって、一つが建設業界で働く男性の格好よさ。

荒っぽいが多いイメージがあるけど、

利央の恋する田所さんは、やさしくて口下手。

一度結婚に失敗しているのでどことなく女性に関してはガードが固い。

それでも、利央が仕事でした失敗には家を建てる同士として助けてくれる。

ちょっと奥手すぎていらいらもしたけど、

こんな硬派な男性のいるお話って新鮮。

  

面白さのもう一つは、

家というものが人が生きるのに大切な役割を果たしている、ということ。

家を建てるのに、最初の打ち合わせがどんどんずれてきて、

客さんがあれもこれもほしいという話が出てくるのですが、

利央の心境の変化に伴って読む側も家に対する気持ちが変わってきます。

 

最初はぐずぐずして進まない打ち合わせにいらいらいする利央が

だんだんと家に対する立てる人の気持ちに同調していくのです。

 

賃貸住まいの私ですが、こうやって読むと家を建てるのっていいなあ、と思います。

(遠い夢ですが。)

 

主人公が最初から破綻していて、異業界に飛び込んでいく。

最初、いやな人に思えた人が後半に輝きだすのも同じ。

最後は、主人公がカンフル剤になって、みんな前向きに変わって行く。

 

地味な表紙ですが、オススメの一冊です。

 

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2008年 破綻する家計

荻原 博子
2008年 破綻する家計 生き残る家計―あなたの資産を確実に守る方法

これから日本はどうなるのか。

気にならない人はいないと思います。

私、経済とかってあまりわからないんですが、

どうしてこんな風になってしまっているんでしょうね。

日本は経済大国で、最近行ったメキシコなんかからすると、

夢のようなリッチな暮らしをしているはずなのに、将来が不安でしょうがない。

お金はたくさんあるはずなのに、なぜ国家破綻なんてことが言われているんでしょう。

そして、国家が破綻したらどうなるんだろう。

そんな気持ちから手に取った一冊です。

著者は、ワイドショーの家計簿チェックなどで有名な、萩原博子氏。

テレビで見る限りは好きじゃないんだけどね。

タイトルに強烈に惹かれました。

内容は。

1997年にお隣の国韓国で起きた経済破綻を例に取り、

経済が破綻した国がどうなるのかとまず説明しています。

終身雇用の崩壊、サラリーマンの大量リストラ、治安の悪化、など、

日本もこうなりつつあるのじゃないか、と怖くなります。

もっとも、外貨準備率の高い日本は、同じようにはならないそうですが。

 

次に、日本の国家経済が破綻している様子を説明してくれます。

タイトルに2008年とあるのは、この年が日本の経済にとって

大きな山場になるのだそう。

*補修、建替えの必要の出てくる中古マンション

*年金問題 

*2008年に完全自主運用になる郵貯

*団塊の世代の集団退職に伴う退職金の負担

*社会保障のための費用をになう世代の退職

などなど。

 

印象的だったのが、

家計は破綻しても、国は破綻しない。ということ。

つまり、年金制度を維持するには、年金支給年齢を上げ、徴収額を増やせばよい。

足りない分は増税、社会保険費用の負担増にすればよい、という考え方が、

小泉政権にはあるということ。

  

そのために、投資などよりも現金をためるのが良い、

金(ゴールド)を買うのもよい、と本書は締めくくっています。

 

これは本の内容ではありませんが・・・。

 

アメリカで、タクシーの運転手さんに言われました。

「日本で、年金や社会保険費用が足りないなんておかしい。

使い方を間違えているだけ。きちんと運用すれば、いまのままで

きちんとまわり始めるはず」

 


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前フリもおもしろい!!

金持学―年収3000万円以上をめざすアナタのための成功哲学

関口 房朗
金持学(かねもちがく)―年収3000万円以上をめざすアナタのための成功哲学

著者名のとなりに「日給84億円の男」とある。

恐れ入りました。

最近テレビで見たのは、ジャンクスポーツという、

スポーツバラエティで、でした。

番組の企画で、競走馬の馬主になって競馬をする、みたいなものです。

 

とにかく派手。ちょっと見た感じ下品にすら感じてしまう。

高そうなスーツ、白いマフラー、きらきらした時計、めがね。

はあ、お金持ってるパワーがばんばん出ている(出している)オッサンである。

 

その関口氏の、自伝というか、成功するまでの人生みたいな本です。

中小企業に営業に行っていると、必ず自分語りの社長がいて、

それがなかなかおもしろかったりするんですが、そんな感じの語り口調。

関西弁に違和感がある人にはちょっときついかも。

 

専用のスタイリストをつけているとか、

買う車はフェラーリやそのほかのとにかく高い車だとか、

おうちを建てたときは、近所の人に美術館ができると思われていたとか、

とにかく豪快なエピソードが満載。

 

ただ、いやな話になっていないのが、案外とこの人真面目なことを考えているのだ。

お金は稼いで、使うもの。

派手なスーツや、マスコミへの露出は広告費と考えている。

営業は普段からの人間関係が大事。

などなど。

 

一度名刺交換した人には、必ず年に一度挨拶状を出してているそうだ。

 

ゼロから起業し、何度か倒産し、上場させた会社では社長解任されてしまう。

それでも、ひたすら負けず嫌いの一心で「もっと派手なこと」を

やってしまうとにかくパワフルなオッサンの話です。

 

競馬にかける情熱なんかもなかなかおもしろい。

最近景気悪いなあ、と思うときに読んでみてもいいかも。

でも、この金遣いを普通の人が真似したらなかなか大変そう。

 

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イヌが教えるお金持ちになるための知恵

ボード シェーファー, Bodo Sch¨afer, 瀬野 文教
イヌが教えるお金持ちになるための知恵
 

ちょっと古い本なので、

「えー?いまさら??」の方も多いと思いますが、

投資のお話が続いているのでご紹介してみました。

 

小学校高学年くらいから読めちゃうんじゃないかな。

簡単な文章と親しみやすいイラストの本です。

お話も、イヌがお話をして、女の子にお金との付き合い方を教えるというもの。

イヌが話すんだから、そんな複雑な内容ではなく、すごくわかりやすい。

 

内容としてはこんな感じ。

11歳の女の子、キーラが主人公。キーラのうちは、

両親がローンに苦しめられていて、お小遣いも満足にもらえない。

パソコンがほしい、留学したいという夢はあるけれど、

実現するわけもないとあきらめているいます。

そんなある日、イヌを助け、飼う事になります。

マネーと名づけられたイヌが、ある日突然キーラに話しかけました。

 

もらったお小遣いを全部すぐに使ってしまうキーラに、

お金を3等分にし、3分の2を貯金するように教えるマネー。

金の卵を産むガチョウの話をして、

すぐに使ってしまうことはガチョウを殺してしまうことに等しい、と言います。

それから、キーラは「成功日記(その日、成功したことだけを書く日記)」

により自信をつけ、ビジネスを起こします。

(イヌの散歩なんだけどね)

 

マネーの教えどおり、お金を貯め、やがて投資信託を買うことを知ります。

 

キーラが成長するにしたがって、いろんなお金持ちの大人が出てきて彼女を助けます。

投資信託についても詳しく説明していて、

私はこれ以上に投資信託について簡単に説明した本を読んだことがありません。

最後には、両親のお金の問題も片付いて大円満。

ドイツの本らしい、堅実なお金の本です。

 

よく売れた本なので、今ではBOOK OFFで105円で買えることが

あります。アマゾンでは中古でよければ90円くらいでした。

その値段で読めるなら、読んでも損はない良書かと思います。

 

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細野真宏の世界一わかりやすい株の本

細野 真宏
細野真宏の世界一わかりやすい株の本
 

賛否はあるみたいですが、私は割と好きだなあ、この本。

 

最初に、音楽の教師からもらった手紙が紹介されています。

「先生の言うことを素直に聞くのが、伸びるコツです。

素直に聞くので、成功する方法をもっとくわしく教えてくれ」

みたいなものだったと思う。

 

これを「その通り!」と思う人は、株に向いていないんだとか。

 

結局、株で儲けるにはその人なりのやり方というものがあって、

それを早く確立した人が、株で成功できる人なんだそうだ。

 

いろいろ本を読んでみて思ったのだけど、

結局「コレが決定版」というものはなかった。

それぞれ一理あるようだし、

かといって同じことができるかと言うと、それも難しい。

参考になりました、という程度でしかないものばかりだった。

 

その意味ではこの本もそう。

でも、著者は実際に4ヶ月で2000万資産を増やしたそうで、

その「思考回路」みたいなものを説明してくれている。

 

たとえば、

試写会でファインディング・ニモを見た。

   ↓

おもしろかった。

   ↓

アメリカでの評価と、ヒットしたかどうかを調べる。

   ↓

日本でもヒットすると思った。

   ↓

配給会社とオモチャ会社を調べ、株を買った。

   ↓

株価値上がり。

 

「新聞に載った時にはそのニュースは古い」とよく言われま

すが、私たち素人はどうしても情報に関しては遅れをとるもの。

それなら、生活者としての実感を生かして、

ヒットを予測しましょう、というのには納得。

 

新聞記事を多用して、「この人ならどう読むか」を説明してくれいています。

一読してみてもおもしろいかも。

イラスト多数、読みやすいのも助かりました。

 

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「株」のオートメーショントレードで儲ける本

山本 有花
「株」のオートメーショントレードで儲ける本

主婦雑誌でも株について書いている、カリスマ主婦トレーダー。

見た目は普通のおばさん(失礼)なんだけど、

株で資産を3千万にしたのだそうです。

ある一日の様子を取材されていましたが、

子供さんを幼稚園(保育園だったかも)に送っていく前に、

PCに向かって、

「今日の利益9万円確定です」ってにこっと笑っていたのが印象的でした。

ああ、うらやましい。

株をやりたいと思ってみたものの、何を買えばいいのか、

さっぱりわかりません。

四季報を見ると、これでもかというほど会社の名前がたくさんあって、

この中から選べと言われても無理な話。

そう思っていた私は、著者の名前と「オートメーション」という言葉に惹かれて

この本を選びました。

内容は。

ケンミレソフトというサイトの宣伝、案内みたいな感じでした。

「ケンミレ」で検索すると出てくると思います。

証券会社ではありませんが、株の情報を分析する会社のようです。

会費が一ヶ月で1万円。

それで、独自の方法により「これから上がる予定の株」を

自動的に選び出してくれるというもの。

要は、長期にわたるチャート分析の結果、

株価が下がっている株をピックアップして、

そろそろ反転して上がりそうというものを検索してくれるサービスみたいなんですね。

その中から、自分の条件に合うもの

(扱われる市場や、資金などを考慮)を選んで売買してみましょうね!!

というものでした。

まあ、悪くはないんだろうけど。

本当に儲ける手段と言うのは、なかなか話したくはないようですね。

当たり前だけど。

参考にするのはいいけど、立ち読みでOK。


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国家の品格

藤原 正彦
国家の品格

確かに、日本はいい国だと思う。

水はきれいだし、気候も過ごしやすい。世界を旅している外国

人はみんな、日本ほど安全できれいな国はない、と言うそうです。

それでも、ここ何年か日本人は、

日本は外国に比べて劣っている、と考えてきたのではないでしょうか。

特に欧米に対しては、大変なコンプレックスを感じてきたような気がします。

最近、日本を見直そう、

日本はいい国だという本がよく店頭に並んでいるみたいです。

その中でも話題のこの本、読んで見ました。

著者が、海外の社会で過ごしてみて感じた

「欧米=優れているではない」こと、日本のよさを書いた本。

講演を手直ししたものらしく、確かに読みやすいです。

主張としては

徹底的な実力主義は間違いである。

論理だけでは社会はまわらない、そこには情緒という人間らしさ

を汲み取る能力が必要。

ダメなことはダメ、と教える。

そこに理屈をつけようとするからおかしなことになる。

武士道精神を復活させよう

という感じ。

私が一番強くうなずいたのはこちら。

「英語の教育より、国語の教育をきちんとしよう」

英語ももちろん大切ですが、読書をさせて、情緒をはぐくむ

事の方が大事、とおっしゃっています。

本を読みましょ。

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ブッシュ妄言録

フガフガ・ラボ, 村井 理子
ブッシュ妄言録
 

昨日までメキシコ一色でしたが、アメリカにも行ったんですよ。

忘れるところでした。


アメリカでは、私、「カード」を見に行くのが好きなんです。

クリスマスカードに始まり、いろいろなイベントでカードを送り

あう人たちですから、種類もたくさん。

ちょっとしたコンビにでもカードのコーナーがあります。

  

アメリカのちょっとした文房具屋さんや、雑貨屋さんでよく見か

けた「ブッシュネタ」のカード。

ブッシュ大統領の写真と、ふしぎな言葉のふき出し。

英語がわからない私でも、「尊敬している雰囲気じゃない」ことはわかりました。


自国の大統領をこんなにからかってる国ってすごいなあ、と思いながら帰国。

帰って来て、こんな本を見つけましたよ。

ブッシュ大統領の発言の中から、失言、いい間違いなどを集めたもの。

 

原文もついています。

漫才のツッコミみたいな解説もなかなか笑えます。

ブッシュ氏のいい間違いは今や、アメリカでは「ブッシズム」

と言って、一定の地位を確立しているようです。

上記のふき出しカードも「ブッシズム」を皮肉ったものだったんですね。


誤訳もあるようだし、芸人のネタ本みたいですぐに読めてしまう

という批判はあるようですが、話のタネには目を通しても損のな一冊。

それでは、ブッシュ大統領の破壊的コメントをいくつかご紹介。


「我々が、自由を愛する限り、彼らは我々を憎み、傷つけよう

とする。これから迎える21世紀において、これが現実なんです」

2002年、21世紀中になされた発言


「ブラジルにも黒人はいるの?」

*ライス国防長官がたしなめたのだとか。


「今、我々アメリカが直面してる現実を伝えなくてはいけない

と思っています。その現実とは『テロリストが隠れているのは

洞窟だ』ということです」

*洞窟って・・・。


とどめに有名どころをひとつ。

イギリス滞在中に、子供に「ホワイトハウスってどんなところ?」

と聞かれて


「白いよ」

*そのまま・・・。


アメリカはこのままでいいんでしょうか。
 

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午後の行商人

船戸 与一
午後の行商人
 

船戸与一好きな人、手を上げて!

私は、「砂のクロニクル」をはじめて読んで以来、

船戸さんの作品はちょこちょこ読んでいます。

直木賞作家となった今では、ずいぶん作風が優しくなったようですが、

私はこの人の、とにかく全員死んじゃうラストシーンが大好き。

こちらの作品も、最後に火種が爆発する船戸節爆発です。


舞台はメキシコ。

日本人留学生の主人公は、夜道で強盗に襲われ、


 

大事な時計を盗まれてしまう。

「タランチュラ」と呼ばれる老人に取り返してもらったことがきっかけで、

主人公はタランチュラと一緒にメキシコを縦断する行商の旅に出る。

行先はチアパス州。民族運動が行われている土地で、 

サパティスタという先住民による抵抗組織が力を持っている土地です。

スペインに占領されて以来、メキシコの先住民は自分たちの文化を否定され、

キリスト教を強制されてきました。

社会的な権利などもそうです。いちがいに、反政府=悪いとは描かれてはいません。

そういう、メキシコの不安定なところをよく描いた小説です。

船戸与一は、サパティスタに実際にインタビューを行うなど、取材もばっちり。

この辺のリアリティが、小説を盛り上げています。


さてさて。

先住民の青年、オチョアに出会い、

いかに自分が日本という文明国で甘やかされて育ったかを感じる主人公。

この辺は船戸氏らしい日本批判が伺えます。

やがて、タランチュラの行商の旅の目標が、

娘を殺された復讐の旅であることがわかります。

娘を殺した8人の男を次々と殺していく老人。


過酷な旅の中で、ぼんやりと旅を始めたはずだった主人公の内心に変化が訪れ、 

日本のパスポートを焼き捨て、銃を構えるところがクライマックス。


最後、タランチュラなる人物は本当はいなかったのか?

と思わせて、すべて一連の出来事を幻想のように終わらせている。

メキシコという国の見えない現実。

なかなか示唆にとんだ終わり方もGOODです。


船戸与一のサパティスタについての文章はこちらに納められて

います↓ 

船戸 与一
国家と犯罪
 

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