ネットの歌詞を集めたサイトで好きな歌手の歌詞を読んでいると、美しいな、と思うことがある。
以前、人の発する言葉が美しいな、と思うことがあるってブログを書いた。
今日は、その歌詞バージョン。
どうして、歌詞ってこんなに美しいな、と思ったり、そのフレーズにはまってしまったりするんだろう?
いくつか考えてみたけど、まず一つ目は、メロディに乗せられているためか、その言葉の伝えたいニュアンスが文字以外からも伝わってくるから。
二つ目は、短い言葉で、極限まで無駄が削ぎ落とされているから。
三つ目は、二つ目と少し似ているけど、歌詞は文章と違って多少前後バラバラになっていても、それなりに伝えたいって気持ちが分かるから。
中でもすごいと思うのが、二つ目だ。
余分に付け足していくことは難しいように見えて実は簡単で、本当に難しいことって、いらないものを削ぎ落としていくことなんじゃないかと思う。
その場所に入る一番しっくりくる言葉を見つける作業の繰り返し。
もしかしたら、漢文もそんな感じなのかな。
無駄を削いだり、韻を踏んだり、そういうところが似ている気がする。
あなたは、これはすごい、と思う歌詞のフレーズってある?
わたしは、BUMP OF CHICKENのfire signという曲の冒頭を見ると、何故か毎回涙が出てくる。
『誰かの為に生きる という 思いを込めた旗を抱き 拾ってきた笑顔の中に 自分の笑顔だけ 見当たらない』
八小節の中にぎゅっと詰め込まれた歌詞で、いくつもの場面や人の機微、表情や温度などがぐわーっと2時間の映画を観るように伝わってくるのが不思議だ。
例えば、この人って、たくさんの笑顔をどんなふうに拾ってきたんだろう、とか。
誰かの為に生きるっていう旗を抱くに至ったエピソードって相当強烈だろうな、とか。
自分の笑顔が見当たらないっていう絶望、とか。
でも、誰かの為に生きるっていう思いには背いていないっていう矛盾する気持ち、とか。
そこで旗を抱えたまま立ち止まろうか悩んでいる人の表情、とか。
とか、とか。
考えだしたら、この八小節だけでも人一人の人生が語れてしまうんじゃないかっていう情報量になる。
同じように、椎名林檎のこの人生は夢だらけという曲も、冒頭からすごい。
『大人になってまで 胸を焦がして 時めいたり 傷ついたり 慌ててばっかり』
これは、言葉の入り方が絶妙だと思う。
大人になって「まで」というところで、子どもの頃からずーっと重ねてきた時間を想像できる。
その後の四つの動きは、誰しもが必ず持っているようなことなのに、自分とは離れたキャラクターの特徴のようにも見えるところが、言葉の選び方の絶妙なところだ。
こういう物語の人物がいるんです。
でも、ちょっとまって、あなたにもどこか似ていませんか? っていう感じで。
そして、最後に「ばっかり」を入れている。
ちょっとマイナス要素に聞こえる言い方から、決してそれでは満足していない様子も見える。
だからと言って、「ばかり」ではなく「ばっかり」っていう表現が少し子供っぽいことから、無理に飾ろうとはしていないんだろうな、ということも分かる。
そう考えると、言葉ってすごい。
たった数文字の違いで、がらっと世界観が変わったり、違う物語ができてしまったりする。
それが、制限された中で無駄を削ぎ落としながら並べられているのは、どう考えても美しいとしか思えない。
あなたの好きな歌詞は?
その中でも好きなフレーズは?
きっと、そのフレーズにも、たくさんの物語や見方が隠れていて、受け取る人の数だけ、その解釈が違ってるんだろうなあ。