月末になったので、毎月末に書いているピアノの練習記事です。どうしてこんなことを始めたのか?どうしてベートーベンのピアノ・ソナタを練習しているのか?については、以下の記事をご参照ください。

 

 

(参考)2020.1.31 ピアノ練習(2020年3月の目標&1月末時点)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12571968320.html

(参考)2020.2.29 ピアノ練習(2020年2月末時点&4月の目標)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12578996972.html

(参考)2020.3.31 ピアノ練習(2020年3月末時点&5月の目標)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12586437559.html

(参考)2020.4.28 ピアノ練習(2020年4月末時点&5月の目標)

https://ameblo.jp/franz2013/entry-12592900531.html

 

 

 

(1)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調op.57「熱情」

⇒年初の目標:3月末までに第1楽章を仕上げる。

⇒3月末時点:ほぼ弾けるようになりました!

⇒3月末の目標:5月末までに第2楽章を仕上げる。

⇒4月末時点:ほぼ弾けるようになりました!

⇒4月末の目標:5月末までに第3楽章を仕上げる。

5月末時点:ほぼ弾けるようになりました!

 

 

5月末までを目標として練習していた熱情ソナタ第3楽章ですが、予定通り、5月末で、弾けるようになりました!やったー!

 

とにかく速くて激しくて難しい第3楽章。すんなり終了した訳ではなく、部分練習、片手練習、繰り返し練習などなど、かなりみっちり練習して、何とか終えることができました。それでも感じたのは、

 

 

第1楽章に比べると、第3楽章の方が断然取り組みやすい。

 

 

ということ。おそらく、ピアノを弾かない方々は、聴いただけの印象だと、第1楽章よりも第3楽章の方が常に速いので難しいように感じると思いますが、私にとっては第3楽章は指さえ回れば比較的弾きやすく、第1楽章の方がはるかに難易度が高く、難攻不落という印象です。

 

 

そうは言っても第3楽章も難しい曲。特に難しかった場面、繰り返し練習した場面をいくつかご紹介します。

 

 

 

(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調第3楽章の第1主題展開部、左手のダブルのトレモロがきつい場面

 

ここは第1主題がいよいよ踏み込んで劇的になる場面ですが、左手のダブルのトレモロ(15→23(24)→15→23(24)→…)を小刻みに速く強く弾かなければいけないので、なかなか大変です。繰り返しスタッカートで弾いて、レロレロにならずキレが良くなるように練習しています。

 

また、どうしても左手が気になりますが、あくまで旋律は右手。高音をフォルテでしっかり弾かなければいけないので、両方注意しなければなりません。

 

 

 

(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調第3楽章の2回目の第1主題の2巡目

 

ここは第1主題を弾きつつ、シ♭~ラ~シ♭~♪の副旋律(紫の丸)を左手→右手→左手でリレーする、とても印象的な場面ですが、弾くのは大変です(笑)。特に赤枠のところが3の指で主旋律のファ、5の指で副旋律のシ♭を弾くのが、白鍵と黒鍵のバランス上とても弾きにくく、難儀しました。

 

 

 

(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調第3楽章の展開部、第1主題がフーガになる場面

 

ここは右手が第1主題を、左手が1拍遅れて同じく第1主題を弾いてフーガになり、やがて同期してユニゾンで降りていく劇的な場面です。左手が指の持ち替えや指くぐりが頻発して、とても難しい場面です。

 

しかし、ユニゾンで豪快に降りてピタッと決められると、その後、右手がオクターブをガンガン弾いて上がっていく時の喜びたるや、半端ないものがあります。

 

 

 

以上、難しかった場面をご紹介しましたが、これらは左手に集中しています。昨年11月・12月にハノンを集中的に練習して、さらにショパン/革命のエチュードをさらいましたが、これは実は熱情ソナタの第3楽章の左手対策が目的でした。左手を鍛えておいて、本当に良かったと思いました。やっぱりエチュード(練習曲)ですね。

 

 

 

そして、第3楽章が弾けるようになった、ということは、

 

 

熱情ソナタを全曲弾けるようになった!!!

 

 

ということなんです!遂にここまで辿り着けた!一人のアマチュアのピアノの愛好家として、心の底からの喜びと感動!!!

 

 

 

思うに、ベートーベン/熱情ソナタは難易度といい、29ページもある長大さといい、ベートーベンの人生が投影された激しい曲想といい、数あるピアノ曲の中で、間違いなく一つの頂点だと思います。その頂点の曲を、遂に通しで弾けるようになりました!

 

私はピアノを習ったのは小学校3~6年の4年間で、その後はずっと独学でピアノを練習してきました。仕事をするようになってからは、毎日遅くまで残業残業で全く弾けなかったり、弾けてもクタクタの土日にレパートリーを何とか1回さらって力尽きて終わり…、というような時期も長らくあったので、熱情ソナタを全曲弾けるようにまでなれたのは、とても感慨深いものがあります。ようやくここまで来れた!万感の思いでいっぱいです。

 

 

ただし、そうは言っても、とても難しい曲、そして体力が必要な曲。(全曲を通しで20分ちょっとで弾くと、1回だけでもうどっと疲れます、笑) ベートーベン生誕250周年はまだ7ヶ月あるので、これからもしっかり弾き込んで、完成度を高めて行きたいと思います。

 

 

 

(2)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第24番嬰ヘ長調op.78「テレーゼ」第1楽章

⇒3月末の目標:5月末までに第1楽章を仕上げる。

5月末時点:ほぼ弾けるようになりました!

 

 

4月に思ったよりも練習が捗らなかったのはテレーゼ・ソナタでしたが、こちらも無事に終えました。やったー!

 

この曲は♯が6つという嬰へ長調の譜読みに難儀した以外は、そんなに引っかからずに行けました。やはり好きなのは途中、冒頭の主題に戻っての、鳥のカップルの掛け合いを思わせる場面。4月5月と外出自粛で、鳥の声を聞く機会もほとんどありませんでしたが、その代わりを十分に果たしてくれました。

 

 


(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第24番嬰ヘ長調第1楽章の第1主題に戻るところ。赤枠はその好きな場面の中から、2巡目で転調する場面。ほとんどキュン死しそうになるくらい美しい!

 

 

 

 

 

さて、5月末までの課題曲は無事に終了できました。これらの曲は今後も引き続き練習して行きますが、次の課題曲へとまいりましょう!いろいろ考えましたが、この曲にしました。

 

 

(3)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第21番ハ長調op.53「ワルトシュタイン」第1楽章

⇒5月末の目標:8月末までに第1楽章を仕上げる。

 

 

ワルトシュタイン・ソナタです!他の選択肢として、この初夏の季節に合っているピアノ・ソナタ第15番ニ長調op.28「田園」、いわゆる田園ソナタの第1楽章を練習しようかな?とも思いましたが、決定打になったのは、

 

 

ワルトシュタイン・ソナタがハ長調だから!

 

 

 

(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第21番ハ長調「ワルトシュタイン」第1楽章の冒頭

 

 

4月5月と♯が6つの嬰へ長調のテレーゼ・ソナタを練習しましたが、ト音記号とヘ音記号の右に何もない、ハ長調の曲が無性に弾きたくなったのです(笑)。

 

 

ベートーベンのいろいろな曲をたっぷり練習して、指がよく動いてくれるので、今なら難しい第1楽章も行けそう。また、ワルトシュタイン・ソナタは指の訓練になる規則的・機械的な音形が連続するので、熱情ソナタをよりしっかり弾くのに相乗効果も期待できそうです。以前に第3楽章を弾いたことはありますが、第1楽章は初めて。とても楽しみです。

 

 

 

そして8月末まで、と3ヶ月あるので、もう1曲練習しましょう。年初の予定では、熱情ソナタを9月までに仕上げて、残りの3ヶ月でこの曲を練習できたらいいなと思い描いていましたが、熱情ソナタを4ヶ月前倒しで一区切り付けることができたので、間を置かずに、この曲を始めることにしました。

 

 

(4)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第30番ホ長調op.109第3楽章

⇒5月末の目標:8月末までに第3楽章を仕上げる。

 

 

その曲とは、ベートーベン/ピアノ・ソナタ第30番第3楽章。私のベートーベン生誕250周年の課題曲の、熱情ソナタと並ぶ「本命曲」です!

 

 

(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第30番ホ長調第3楽章の冒頭

 

(参考)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第30番ホ長調第3楽章

https://www.youtube.com/watch?v=uyhfzQEuzQc (13分)

※Benjamin Goodmanさんの公式動画より。こんな雰囲気のあるピアノを弾いてみたいものです。

 

 

ベートーベンの後期のピアノ・ソナタ、中でも最後の第30番・31番・32番が特別な位置付けにあることはよく知られています。なので、この3曲によるリサイタルもたまに見かけます。

 

激しい中期のピアノ・ソナタを好んでいた若い頃は、その良さがさっぱり分かりませんでしたが(笑)、今は晩年のベートーベンが辿り着いた境地、特別な思いを持って聴くようになった3曲です。

 

私はブログで曲想について「深い」という言葉はなるべく使わないようにしています。なぜなら、曲に対する感想を上手く説明できない時の、安易な逃げの言葉のように思えるから。しかし、この3曲は「深い」という言葉を堂々と使うことができ、さらには「深い」としか形容できないような雰囲気に満ちています。

 

 

中でも、私は第30番の第3楽章が大好き。ピアノを弾かれる方には第31番が人気があり、第32番は最後のピアノ・ソナタということもあって、3曲の中でも、また一際特別な位置付けの曲ですが、私は第30番をこよなく愛しています。

 

この曲は第1楽章と第2楽章は短く、第3楽章が大半を占めています。いずれ、前の2つの楽章も練習するかも知れませんが、まずは大大大好きな第3楽章を練習したいと思います。

 

ベートーベン・イヤーに大好きな第30番を真っさらなところから練習できる喜び!熱情ソナタを頑張って前倒ししてひとまず終了させることができたのは、もしかすると、その次の第30番を一刻も早く弾きたかったから、なのかも知れません。

 

しかも、この曲は1820年に作曲された曲です。つまり、今年2020年は作曲からちょうど200年。ベートーベン生誕250周年に、作曲されてから200年のベ-トーベンの曲を弾く!これもとても思い出深い出来事となりそうです。

 

 

ところで、この曲は熱情ソナタと違って、例えばストリート・ピアノで弾いても、全く感心や反応が得られない可能性の高い、シンプルで静かな曲想の曲です。いわゆる「受ける」ために練習するような曲ではありません。

 

第30番は自分のために弾きたい。練習を通じて、ベートーベンの晩年の境地を体感したい。今は、そんな気概と期待でいっぱいです。

 

 

 

ということで、8月までにワルトシュタイン・ソナタ第1楽章、第30番第3楽章をしっかり仕上げたいと思います。そして、熱情ソナタ全曲、テレーゼ・ソナタ第1楽章、第27番全曲、スプリング・ソナタ第1楽章も引き続き弾いていきたいと思います。

 

 

それでは、全国のアマチュアのピアノの愛好家のみなさま、お互いに練習頑張りましょう~!

 

 

 

(写真)今年の1月6日に訪問して、ベートーベンのピアノ・ソナタをしっかり練習します!と意気込みを語ってきた、ウィーン中央墓地のベートーベンのお墓