2020年最初のピアノ練習の記事です。私はピアノの練習記事は1ヶ月に1回書くようにしています。以前は短い期間で書いていたこともありましたが、記事は1ヶ月に1回に留めて、その間は大いに集中してピアノを練習するのが、一番効率的なことに気付いたからです。

 

そして、曲の練習の目標は3ヶ月間で立てるのがちょうどいいことも分ってきました。昨年おおよそ3ヶ月間の練習で、難曲のスクリャービン/演奏会用アレグロ、そしてピアノ・ソナタ第2番(第1楽章)を弾けるようになったのは、かなり自信になりました。1年間でダラダラ練習するよりも、例えハードルが高くても3ヶ月ビシッと集中して追い込んで練習するのがいいでしょう。

 

 

 

さて、今年練習する曲の全体像はまだ固まっていませんが、作曲家は決まっています。もちろんベートーベン!生誕250周年の今年、ベートーベンの曲を練習し、その世界にたっぷり浸ることができる。ピアノを愛する者として、これ以上の喜びはありません!

 

では、最初の3ヶ月間にどの曲を練習するのか?これは全く迷いませんでした。

 

 

 

(1)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第27番ホ短調op.90

⇒目標:3月末までに全曲を仕上げる。

 

 

 

27番のソナタです!理由は単純で、大好きな曲だから、以前から弾いてみたいと思っていた曲だから、以上!分かりやすい(笑)。

 

 

(参考)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第27番ホ短調

https://www.youtube.com/watch?v=J8OcEuf7MfY (13分)

※ptnaの公式動画より、桑原志織さんの演奏。YouTubeの公式動画の中で、最も曲の雰囲気が出ている、とても素敵な演奏だと思います。

 

 

 

特に好きな場面を以下にご紹介します。

 

 

(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第27番ホ短調第1楽章の冒頭

 

 

 

(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第27番ホ短調第2楽章の冒頭(上記動画の5:49~)

 

 

この曲は第1楽章、第2楽章ともに、冒頭が多くを物語っているように思います。厳しい曲調の短調の第1楽章、美しく喜びの長調に溢れる第2楽章。特に、第1楽章のラストを短調で終えた後、第2楽章の弾き始めの長調は本当に痺れます!この世にはこんなにも美しく温かい音楽がある!

 

昨年、楽譜の途中にまで♯♭♮がてんこ盛り(笑)のスクリャービン先生の楽譜と格闘した成果か、第1楽章6ページ、第2楽章9ページの譜読みはスイスイ進み早々に終え、現在、どんどん弾き込んでいるところです。特に難しい箇所を以下にご紹介します。

 

 

 

(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第27番ホ短調第1楽章の左手が10度となる場面(上記動画の1:21~1:35

 

ここは左手が10度の跳躍をして上がっていく音形を4回×2セット素早く繰り返すところです。以前にこの曲を弾きたいと思ったものの、ここがあるために見送りましたが、スクリャービン先生の信じられない音域を飛ぶ左手のアルペジオで鍛えられたためか、練習したところ、まずまず弾けそうな感触を持っています。

 

いずれにしても、この曲の一番の難所。しかも、ゆっくりモタモタ弾いては雰囲気が出ないので、素早く歯切れよく弾くことが求められます。しかと練習できればと思います。

 

 

 

ということで、27番を3月までにしっかり弾き込んで仕上げたいと思いますが、今年はベートーベン生誕250周年。全くのアマチュアとは言え、ピアノを志す者として、やはりベートーベンの最高傑作を練習しない訳にはまいりません!ということで、2曲目の目標です。

 

 

 

(2)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調op.57「熱情」

⇒目標:3月末までに第1楽章を仕上げる。

 

 

 

熱情ソナタです!これはベートーベン生誕250周年の大きなチャレンジ!本来私なんかが弾きこなせるような生易しい曲ではありませんが、今年、自分がこの曲を練習しない姿は全く想像できませんでした。

 

 

あなたはベートーベンが好きなんでしょ?

特に熱情ソナタが好きなんでしょ?

じゃあ、いつ練習するの?

 

今でしょ!!!(林修先生風、笑)

 

 

とは言え、難しくかつ長い曲(29ページ!)。これを3ヶ月単位で弾けるようになるのはとうてい無理なので、この曲は1楽章ずつ、9ヶ月かけて練習することとしました。

 

実は熱情ソナタは10年以上前にトライしたことがあります。第3楽章は最後まで何とか弾けるようになりましたが、第1楽章はとても難しく、途中でギブアップした苦い思い出があります。

 

疾走する第3楽章の方が一見難しそうに聴こえますが、実は第1楽章の方がより難易度が高い、という印象です。曲の順番もありますが、その難しい第1楽章から練習していくのがいいでしょう。

 

第1楽章だけで15ページもある長大な曲ですが、1月末時点で、譜読みは既に終えて、時々ゆっくりになりながらも、最後まで通しで弾けるようになりました!その昔に途中まで練習したことがあるのも一因ですが、私、以前に比べて、譜読みが飛躍的に速くなったかも知れません?特に好きなところを以下にご紹介します。

 

 

 

(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調第1楽章の冒頭

 

おそらくピアノを弾く方で、ここを弾くことに憧れを持たない方はいないんじゃないか?と思われる、瞑想的な深い響きの冒頭の場面です。弾く前には神妙な気持ちになり、実際に音に出すと大いなる喜びが湧いてきますが、すぐにトリル4連発となるので、全く気が抜けません…。

 

 

 

(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調第1楽章の展開部

 

情念を感じさせるような、非常に印象的な場面。右手と左手を躍動させつつ、右手で旋律を出さなければいけないので注意が必要ですが、ここも弾いていて大いにカタルシスを感じる場面です。

 

 

 

続いて、難しい場面。この第1楽章はここが超絶に難しくて全く歯が立たない、という場面こそないように思いますが(むしろ、一昨年に弾いたドビュッシー/喜びの島の方が、瞬間風速では難しい)、全般的に基礎体力系の音型が続くので、まるでマラソンを短距離走のように速く走らなければいけないような、難しさ、そして大変さがあると感じます。中でも、特にここが弾きにくいというところを。

 

 

 

(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調第1楽章のトリルの場面

 

もうとにかく、トリルが頻発します!私は23のトリルはOK,34のトリルもまずまずですが、お恥ずかしながら、45のトリルが弱い。ただでさえ弱いところに、12を押えながら45のトリルを弾く場面が出てきます(12がアンカーになるので、45を弾きやすいポジションで動かすことができない)。かなり難儀するので、弾きやすい35のトリルにしたくなりますが、ここは45トリルのいい練習になると思って我慢我慢。しっかり練習したいと思います。

 

 

 

(写真)ベートーベン/ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調第1楽章の単音連打の場面

 

そして単音の連打も頻発します。しかも、35を押さえつつ、21で単音の連打の繰り返しなど、バリエーションがいろいろあり、音抜けしてしまいやすい場面。1音1音しっかり弾くことが求められます。

 

 

あれっ!?この音型はどこかで見たような?

 

そうなんです!実はこの単音の連打は、ハノンの44番の練習曲そのものなんです。

 

 

(写真)ハノン44番(3つの同音の連続)

 

しかも、ドの音だけでなく、後に音階を弾くパターンが続くので、重心をずらしながら単音を連打するいい練習になります。昨年11・12月にハノンを集中的に練習しましたが、この44番を見た時に私が思ったのは「これは完全に熱情ソナタ対策だ!」でした(笑)。

 

 

実はハノンはこの44番だけでなく、トレモロの練習の60番だったり、多くの練習曲が、熱情ソナタの練習のためにあるのでは?と思えてきそうなほどに、熱情ソナタを弾くのに不可欠な曲ばかり、という印象です。昨年ハノンの練習にかなり熱が入ったのは、今年、熱情ソナタを練習する気満々だったことも大きな理由でした。

 

 

 

ということで、いよいよスタートしたベートーベン生誕250周年でのピアノの練習。まずは3月までに27番と23番の第1楽章をしっかり練習したいと思います!

 

それでは、全国のアマチュアのピアノの愛好家のみなさま、お互いに練習頑張りましょう~!